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ASUSTeK製ホイットニメインボードMEWのテストと
新BXメインボード紹介

 ASUSTeK製のMEWは,ソケット370タイプ810ホイットニチップセットメインボードです.810DC100を使い,システムバス100MHzに対応し,4MBのSDRAMをグラフィックスキャッシュとして搭載しています.
 ASUSTeK社からの出荷製品には,PCI5本とISA2本(1本は共有)を搭載したものと,ISAはなくPCIを6本搭載したもの,PCI5本のみのものがあります.P3BがSONYのVAIOに使用されているからか,ボタン電池はSONYのものが使用されています.

29-155.jpg (57125 バイト) リヤ

 810自体は,ISAには対応していません.また,PCIは正式には5本までの対応です.また,もし,PC99セルティファイを取るならPCIオンリーで,カラーコネクタを使う必要があります.ASUSTeK社も含めISAをオプションにしているメーカーも多いのはこのようなことが原因なのでしょう.

 また,ネットワークチップIntel82559搭載モデルもあります.なお,DIMMソケットは3本搭載していますが,すべてのソケットにDIMMを取り付ける場合には使用できるDIMMに制限があるようです.安全のためには,2本のみ使うようにしたほうがよいかもしれません.デジタル出力なども備えています.また,ASUSTeK製UPDATE UTILITYというツールでBIOSアップデートを容易にしています.これは,810では,BIOSは4Mビットになり,BIOS自身もチップセットの一部となっているため,従来のような方法ではアップデートできないことになるからです.さらに,RAMへのサスペンドにも対応しているようです.

29-157.jpg (27560 バイト) パッケージ

 さらに,ジャンパーを使わずにCPUの設定をすることができ,これを「JumperFree」とASUSTeK社は呼んでいます.この点については,以前P2L97でこの仕様をジャンパーレスとして採用していましたが,ジャンパーレスはABIT社にライセンス(表現が正確でないかもしれない)があるため,P2L97をジャンパーで設定する仕様に変更したという経緯があります.
 しかし,すべての設定をJumperFreeにしているわけではなく,オンボードオーディオを有効/無効にする設定などは,ジャンパーを使用します.
  
 では,ベンチマークを取ってみましょう. 

テストの環境
 ハードディスク FBST3.2GB ATA33
 メモリ 64MB
 CPU Celeron366MHzソケット370
Fogcity2 Direct3D 23.45
OPENGL ドライバの関係か動作せず
HDBENCH 12790

感想
 HDBENCHの12790は810メインボードとしてかなり優れています.306というスクロール性能もダントツです.しかもD3D性能23.45はTNTクラスです.ほかのスロット1Pentium2よりも優れています.メインボード自体の設計というよりも,グラフィックスの設計ドライバが優れているようです.他社の製品ではドライバが未完成でしたから,最後に届いたMEWの性能が光っています.
 ASUSTeK社はTNT2グラフィックスカードもリリースしています.グラフィックスドライバはお手の物でしょう.しかし,MEWが売れるとTNT2カードが売れなくなるのでは,という問題もあります.しかし,810チップセットをインテル社から買わないと,BXも売ってもらえなくなる可能性もあるのです.このように書くと,インテル社を悪く書いているように見えますが実はそうではありません.
 インテル社としては,半導体メーカーですから,チップを数売らないと商売になりません.従って,たくさん買ってくれるところから優先的に納品されてもおかしくありません.聞いた話では,台湾メインボードメーカーでインテル社から直接チップセットを購入しているのは,ASUSTeK社,GIGABYTE社,マイクロスター社などごく一部だそうです(問題は,世界一メインボードを売っているPC CHIPS社がどうかですね).
 しかし,810のような統合型チップセット搭載メインボードと,BXチップセットで高性能グラフィックスカードを取り付けてマシンを構成するというのは,別のマーケティング,つまりお客さんが考えられるので問題は大きくないとジュリアスは考えています.
 なお,810からドライバの変わるので,専用のインストーラ付きのCD-ROMが付属しています.ASUSTeK社ではこの中でもグラフィックスドライバを最適化しているようで,これをASUS Linear Driverとよび,垂直リフレッシュレート250Hzまで対応しているようです. グラフィックの設定(1),(2)

● テストについて
 今までテストした中で最速なのはASUSTeK社が優れているからと,即断することはできません.DFI社など,Julius Iwamura Hardware Pageのために特別に製品を出してくれています.ドライバなどの完成度が不十分でも,Julius Iwamura Hardware Pageの趣旨に賛同し,協力してくれています.今回は,DFI副社長さんの好意で,R&Dがまだ早いというののを,無理をして出してくれたので,この点はFIC社,チェインテック社も同様です.そうでないとこの時期に写真ではなく,動作テストをすることはできません.
 台湾各社もJulius Iwamura Hardware Pageを見るために,日本語環境Webを準備してくれたそうです.これからも,努力を続けたいです.写真として,チェインテック社の社長さん(左)と私の友人エジソンさん社長さんとジュリアス.ASUSTeK社の受付電話オペレータリンリンさんと撮った写真を記念に紹介します.


       29-rinrin.jpg (13326 バイト)

CODEC(コーデック)
 810の出現とともによく目にする言葉がCODECです.CODECは,元来,符号化・復号化をする回路・装置を意味し,coder-decoderの複合語です.
 メインボード自体にはこの機能は搭載されてはいないのですが,810ではチップセット内にこのデーター変換機能が搭載されているため,サウンド機能やモデム機能をCPUで処理することができるようになっているのです.従って,拡張バスにサウンドカードを取り付ける場合には,チップセットのCODEC機能を無効にする必要があるのです.そして,810に搭載されているAudio CodecをCODEC97といいます.

 

新BXメインボードP3Bシリーズ
 ASUSTeK社は新BXメインボードをP3Bとしてリリースする予定です.現時点では,SONY製のVAIOに搭載されているOEMタイプの製品版P3B-1394があります.

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 写真は台湾ASUSTeK本社内で撮影したものです.まだ実際には動作していないとのことでしたが,IEEE1394がアップル社へのライセンス問題で揺れ動いていましたから,このメインボードが,日本で正式発売されるかどうかは不明です.VAIOなどソフトウェア付きで発売されているシステムの場合には良いのですが,メインボードだけ購入してIEEE1394が使えても実際にビデオカメラなどと接続してデータを転送するソフトウェアが無いと実用性が期待できないわけです.
 さらに,ASUSTeK製のP2B-Fも絶えずリビジョンアップし,PCBも変更されています.例として,システムバスを66MHzにしてもAGPクロックを下げないようにするジャンパーなどが搭載されています.もちろんPentium3にも対応しています.P3B-1394が出たわけですからP3B-Fと名称変更しても良いような気がするのですが.

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Copyright 1999 岩村 益典