8/8

ホイットニ3兄弟テスト Tekram製S381-M

● はじめに
 ホイットニには次のようなバリエーションが用意されています.再度確認します.

810e システムバス133MHz・ATA66・オンボードディスプレイキャッシュあり
810DC100 システムバス100MHz・ATA66・オンボードディスプレイキャッシュあり
810 システムバス66MHz・ATA66・オンボードディスプレイキャッシュなし
810L システムバス66MHz・ATA33・オンボードディスプレイキャッシュなし

 この状況からわかるように,810eはスロット1やこれから出るソケット370システムバス100MHz対応CPUを考慮している高性能版で,8月終わりくらいに入手できると思います.しかし,高性能810eといえどもグラフィックスを切ることはできませんから,グラフィックスを内蔵していないAGP4x対応の820に期待している人も多いかもしれません.しかし,810eではグラフィックスは強化されている可能性があり,今後のテストが楽しみです.
 現状では,810DC100と810との違い,ディスプレイキャッシュの効果を知りたいところです.
 また,ATA33とATA66との違いについては,1999年1月ごろでは,大きな性能差は出ませんでした.これは,データー転送速度の上昇に応じたドライブ自体の速さ向上がなかったためと思われます.しかし,7200回転のドライブが一般化し,内部のデータ転送レートの向上したモデルが登場するにつれて,ATA66のメリットが出てきたように思われます.
 また,今後リリースされるハードディスクが多くATA66対応となるようです.ABITはATA66用チップを搭載したBXメインボードをリリースしていますし,どこかからBXチップセットでありながら,ATA66をサポートするBXeというチップセットの噂も聞こえてきます.
 ただし,個人的には,820について,ラムバスメモリのことをのぞいてもATA66とAGP4xに対応しているわけですから,BXeよりそっちを早く出して欲しいと思います.もっとも,ATA66ディスクをATA33インターフェースに接続することはできるのですが,このとATA66用ケーブルを使用することになるので,結局高価なものとなります.
 810Lが安いのは,

 チップセットが安い
 グラフィックスキャッシュ用のメモリがない
 ATA66ケーブルを添付する必要がない

という理由になります.
 うまくいけば4000円くらいの差になります.
 今回のテストでは,Tekram社YJ Tsai氏Eric氏の協力により,ソケット370ホイットニメインボード810eをのぞく3兄弟を入手したので,テストしました.

今回紹介のTekram製ホイットニ3兄弟

 今回テストするメインボードは次のものですが,すべてが日本に入ってきているわけではありません.台湾からジュリアスが直送したものです.これは,810Lが主にシステムインテグレータ向けであることと,日本人は高性能メインボードが好きだ,ということが原因のようです.もちろん,810Lが安いのですが,少数を仕入れるとなると,その分コストが割高となり,メリットは少ないかもしれません.
 

S381-M+ 810DC100
S381-M 無印810
S381-ML 810L
DIMMスロット X2
PCI x3
AMR x1

 以上の3モデルは同じPCBを使っています.このあたりが810のいいところです.また,スロット1を取り付けるコストを考えてソケット370のみの構成になっているようです.また,Tekram製のメインボードはPC99仕様を満たしていて,RAMへのサスペンドに対応しているところが特徴です.

テストについて

 ATA33とATA66の違いについては,別の記事で扱うため,今回はATA33ディスクでのテストとします.
 なお,ベンチマークテストのFogcity2ですが,今回は通常のNormal設定のみではなくHigh設定でのテストも行いました.また,過去のホイットニテストとのデーター統一のためCPUは366MHzにしました.
 

テスト環境
 CPU ソケット370 Celeron366MHz
 メモリ 64MB PC100仕様
 ハードディスク クアンタム FBST 3.2GB ATA33

● Tekram製S381-M+ 

HDBENCH 13766
Fogcity2 Direct3D Normal Detail 22.45
High Detail 8.51
OPENGL サポート外のためテスト不能

HDBENCH

ALL Text Scroll DD Read Write Memory
      
13766         
29794 23637 22607 1822 11287 451 29 10311 10218 19084

 2Dスクロール値が速いことは,画面を見ているだけでも実感できます.メモリアクセス,ハードディスクアクセスともいい線を行っています.自分のメインシステムにしてもよいパフォーマンスです.

● Tekram S381-M
 無印810でシステムを起動すると正常に画面が表示されません.やはり,DC100のディスプレイドライバとは異なり,オンボードディスプレイキャッシュを使用しないように調整されたドライバが必要のようです.
 メインボード付属CD-ROMからドライバをインストールし直しました.

HDBENCH 13726
Fogcity2 Direct3D Normal Detail 21.06
High Detail 7.97
OPENGL サポート外のためテスト不能

HDBENCH

ALL Text Scroll DD Read Write Memory
      
13726         
29792 23633 22628 1942 11309 405 29 10108 9990 19091

 確かにDC100よりは劣っていますが,それでもなかなかのものです.ただし,3D性能は確実に落ちています.ビジネスで使うなら全く問題のない2Dパフォーマンスです.

● Tekram S381-ML
 I/O関係が異なるため,再び異なるドライバを要求してきます.しかし,

HDBENCH 13754
Fogcity2 Direct3D Normal Detail 21.07
High Detail 7.95
OPENGL サポート外のためテスト不能

HDBENCH

ALL Text Scroll DD Read Write Memory
      
13754         
29784 23630 22619 1857 11295 365 29 10270 10218 19081

 見ておわかりのとおり,ATA66ディスクを使用しない限り,無印810との違いを見いだすのは困難です.ディスプレイ性能は無印810と同じパフォーマンスといってよいでしょう.

● 結論
 よりグラフィックスを使用するソフトウェアを使用するともっと差が出てくるかもしれません.しかし,810Lはかなりの出来映えで,この状態だと,これから出てくる統合チップSiS530,SiS620のメインボードとどれを選択するか悩んでしまいます.しかし,SiSのほうはATA66対応です.本当に難しくなってきたメインボードの選択です.
 810の場合だと,ATA66を重視するなら810DC100か無印810を,ATA33で良いなら810Lということになるのでしょうが,ATA66ケーブルは高いので,どうせATA66を使うなら810DC100が無難ということでしょうか.確実にグラフィックスの差はあるようです.サブマシンでハードディスクの手持ちがある,といった人の場合には,810Lも魅力です.いずれにせよ,このパフォーマンスに勝つには,TNT2 Ultraクラスでも持ってこないとどうしようもないですね.

● 組立感想:Tekram製ホイットニ3兄弟 
 AC97Codecを搭載しているので,AMRに取り付けるモデムライザーカードは安いセカンダリタイプを使用できます.また,デジタルパネル用のコネクタもあります.標準的なMicroATXの構成です.
 Tekram社の場合には,INFファイルも含め,Intel810チップセットドライバと呼んでいるようで,それをインストールすることで810メインボードとして使用できるようになります.そして,VGAドライバ,サウンドドライバとインストールしてください.
 なお,BIOSは3兄弟共通のものが使用されていました.ウイルスチェックなどがEnabledになっているのでOSのインストールが進まないこともあります.BIOS設定でウイルスチェックをDisabledにしてから,再度OSのインストールを進めましょう.

Archtek社モデムライザーカードテスト

 今回は,JATE認証済みで,日本で自由に使用できる,世界初のモデムライザーカードをリリースしたのがArchtek社です.モデムライザーには,プライマリタイプとセカンダリがあり,セカンダリタイプのほうがボード上のパーツが少ない分低コストです.しかし,セカンダリを使用するには,メインボード上にAC97Codecが乗っていなければなりません.

0808-339.jpg (29932 バイト)


 なお,もう一つ注意があります.モデムライザーカードを使用するにはPentium133MHz以上のCPUパフォーマンスが必要とのことです.それは,電気的な接続をのぞき,処理自体はCPUやチップセットが行うのですから,CPUパワーが必要となるのも当然です.製品にはモジュラーケーブルとドライバディスクが付属しています.今回は,Tekram製S381-MLに取り付けて実際に使用してみます.

0808-343.jpg (25213 バイト)


 取り付けは非常に簡単で,ただAMRスロットに挿すだけです.モデムライザー上のジャンパー設定も不要です.ただし,メインボード側のBIOS設定をしなければなりません.
 

AC97 CodecをEnabledに設定する

0808-345.jpg (23649 バイト)


 なお,今回入手した製品のドライバは,ZIP圧縮されているので,ハードディスク上にコピーした後,解凍して使用しました.注意としてはその程度で,後はWindows 98起動時に自動的にモデムライザーカードを認識してドライバをインストールするウィザードが表示されますから,ドライバを解凍したフォルダを指定すればよいのです.56K,V90ボイスモデムとしてドライバがインストールされます.デバイスマネージャでもコンフリクトなくCOM3に設定されました.ここから先は,通常のモデムと同じでダイヤルアップの設定をして,インターネットに接続しました.

 使用感は,ほかのモデムと全く異なることがなく,価格的にカードモデムの半額くらいとなると,こんなに便利なものはありません.日本では,インターネットをしていると電話ができない,というような理由でISDNユーザーも増えてきているようですが,台湾では電話回線を一本引く初期費用が日本円で8,000円くらいですし,日本円4円で3分使用できるので,ISDN回線の問題もありますが,モデムユーザーが多いのは当然です.

戻る 


Copyright 1999 岩村益典