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メインボード紹介&テスト AZZA PT810 DM

● AZZAについて
 AZZAというのはブランド名で会社名はPRO TEAM COMPUTER CORPORATIONといいます.では,AZZAとはどういう意味かというと,Aspire to Create(新しいものを創造する熱意):Zeal for Technology(技術の追求):Zest for Quality(高品質を維持する):Always to serve(変わることのないサービス)の頭文字を取ったものです.場所は台北縣汐止ですが,Aopenなど多くのメインボードメーカーの集まっているところではなく,少し離れた工業ビルにあります.

● AZZA PT810 DMとAIR BUS
 AZZA PT810 DMの第一印象は「これは使えるメインボード」です.まずは,仕様を紹介します.パッケージ

仕様
チップセット:Intel810DC100
BIOS:Award
スロット1,ソケット370プロセッサ対応
拡張スロット:PCIx3,AMRx1
メモリソケット:DIMMx3
フォームファクタ:MicroATX


 標準的なMicroATXでサイズは少し大きめですが,その分DIMMソケット3本であったりと拡張性も考慮されています.グラフィック,サウンドについてもチップセットとAC97Codecを使用している典型的な810メインボードです.
 AZZA PT810 DMに限らず,多くのAZZA製品に共通の特長として,AIR BUSとVirtualDriveがあります.VirtualDriveは,CD-ROMドライブをメモリにキャッシュすることにより,CD-ROMドライブアクセスを高速化するツール+仮想CD-ROMドライブをハードディスク上に作成し高速化,CD-ROMドライブサーバー的な使い方を実現するものです.最大22ディスクまでを仮想CD-ROMドライブ化することができるようです.なお,このソフトウェアは,日本でも市販されていますが,それと全く同じフルバージョンが付属しているそうです.CD-ROMドライブ自体がいくら速くなっても,最初にアクセスし始めてデータを読み込み始めるまでの時間は必要なので,その意味でこのユーティリティの意義は大きいです.

AIR BUSコネクタ

 もう一つの機能はAIR BUSです.AIR BUSは,BUSとあるように新しいインターフェースで,メインボード上には,AIR BUS用の端子が用意されています.AIR BUS自体はインターフェースなので,ここにはいろんなものを接続することができるようです.実際にはこの端子にフラットケーブル付きファイルベイアダプタを接続するのが現実的で,このアダプタにより筐体のカバーを取り外すことなく,AIR BUS端子に機器を接続することができるようになります.このAIR BUSに接続するものとして,今回は,KeyBIOSを入手することができました.

 
Key BIOS:これがプラスチックのケースに入っている

 KeyBIOSの基本的機能は,KeyBIOS上のBIOSチップにBIOSデータを保存し,メインボード上のBIOSの内容がウイルスなどにより破壊されたとき,KeyBIOSを利用して,データを復活することができます.しかも,メインボード上のBIOSが物理的に破壊された場合には,KeyBIOSをプライマリBIOSとすることにより,メインボードを修理に出すことなく作業を続けることができます.KeyBIOSカードを取り付けてシステムを電源オンすると自動復旧されるので,使用法は至って簡単です.
 このKeyBIOSでBIOSデータをバックアップ/リストアする方式のメリットは,大きいものがあります.メインボード上にはBIOS ROMは1個しかなく,あるのは端子のみなので,AIR BUS機能を必要としないユーザーは,メインボードのみを購入すればよいのです.つまり,コストアップが端子分のみで少ない,ということです.また,KeyBIOSは必要でない限り,メインボードには接続されないので,通常のBIOSを2個搭載したメインボードのように,2つのBIOSを同時に破壊するウイルスにより破壊されることはありません.
 しかも,AIR BUS・KeyBIOSを利用することで,より高度な応用機能が実現することになります.まず,KeyBIOSというように,鍵として使用することができます.つまり,KeyBIOSカードを取り付けないとシステムを起動しないようにすることができるのです.このことで,システムのセキュリティが向上します.
 しかし,AZZA社のエンジニアの言葉では,それだけではなく,もっと凄いことが生じるのだそうです.それは,ハードディスクのブートセクターをKeyBIOSに保存しておき,起動時にハードディスク内のブートセクターとKeyBIOS内のブートセクターを照合し,もし,問題があれば,KeyBIOS内データを使って,ブートセクターを復旧するというのです.また,余ったROM領域にOS込みのWebブラウザを格納し,KeyBIOSを取り付けて起動すると,Webブラウザが起動し,ハードディスクへのアクセスはなく,子供でも老人でも自由にハードディスク内データにアクセスすることなくインターネットを楽しむことができる,というのを開発中とのことです.
 現時点ではっきりしないのは,ひとつのKeyBIOSカードにすべての機能を搭載し,取り付ける向きで各機能を切り替えるか,機能ごとのKeyBIOSカードを使用するかです.しかし,今後も注目していきたいメーカー・機能であることには間違いありません.

● テスト
 付加されたAIR BUS機能についてはよいとして,メインボードとしての基本機能が良くないと使うわけにはいきません.早速テストしてみましょう.

 

テスト環境
 CPU Celeron400MHz
 メモリ 64MB PC100仕様
 ハードディスク クアンタム FBCR4.3GB ATA66

 

HDBENCH   15463
Fogcity2 Direct3D Normal Detail 22.77
OPENGL サポート外のためかベンチマーク起動せず

HDBENCH

ALL Text Scroll DD Read Write Memory
      
15463         
32563 25835 22650 2106 11313 464 30 14104 14669 20732


 メモリアクセスもよく,ハードディスク性能もATA66の性能が出ています.グラフィック性能も810DC100として十分なものです.近日入手できる新ドライバを試すとどうなるかが楽しみです.

● 組立感想:AZZA PT810 DM
 スロット1とソケット370の切り替えは自動で,ジャンパー設定などは不要です.CPUの設定は,BIOS設定で行いますが,ベースクロック66MHz・100MHz・Autoをディップスイッチで切り替えます.マニュアルの記述が少し複雑なので,目的の箇所を見るのに少し時間がかかります.
 また,ドライバに関する記述が簡単で,付属CD-ROMも仮想CD-ROMドライブユーティリティのみが自動インストールで,ドライバなどは手動になります.しかも,全製品共通タイプのようで,必要なドライバは英文マニュアルを読まなくては理解困難です.この点のみ改良されれば,ボードも広く組み立て作業も簡単です.
 ただ,810メインボードだけに,個人DIYユーザーを対象とせずシステムインテグレータなどを前提とすれば,全く問題ありません.

  デモ中 AZZA本社にて
AZZA PT810 DM AIR BUS
 フロントベイアダプタとKeyBIOS

AZZAの社長さんと

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Copyright 1999 岩村益典