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最新チップセット


チップセットの参照表
 AladdinPro2メインボードを紹介したので,チップセットの比較をしてみましょう.



まず,表の修正からはじめましょう.表では一部N/Aとなっていますが,次のようになります.

  ノースブリッジ
Apollo ProMedia VT8601
Apollo ProMedia133 VT8601A
Apollo PM133(ProMediaII) VT8605


ApolloPro133+はApolloPro1333Aとなり,ノースブリッジはVT82C694Xとなります.
サウスブリッジにあるVT28CはVT82Cが正しいです.

 分類の基準にもよりますが,チップセットは,大きく分けると,従来型と統合型に分けることができます.統合型と一般に言われているものは,従来のチップセットの機能に加えて,サウンドやグラフィックス機能を搭載しているものを言います.しかし,必ずしもサウンドを搭載している必要はありません.グラフィックスの搭載されているものをJulius Iwamura Hardware Pageでは統合型と呼ぶことにします.


追加情報

● インテル製
 BX・ZXの製造を中止したので,820が出るまでは従来型システムバス100MHzチップセットはない状態です.しかし,820メインボードは高価だ,RIMMが高いといったような理由から,810eに期待する声もあります.
 
◆スロット2
 スロット2では,今年は新チップセットProfusionと840,2000年にColusaというチップセットが予定されているようです.Profusionや840では,RDRAM以外にもSDRAMサポートが予定されていますが,ColusaではRDRAMのみとなります.ただし,サーバーでもAGP4xになるようです.

◆スロット1・ソケット系
>>>810e
 統合タイプ
 システムバス133MHzサポート
 i752グラフィックス
 ACP7サウンド,ATA66サポート
 AGP2x

 このあたりの項目はどうも不確定ですが,810eでは確実にi752相当になっているようです.ただ,台湾からのメールでは,820よりも810eの方にみなさん手こずっているようです.もしかしたら,820メインボード開発に力を入れて,810eが手薄になっているのでしょうか?
 いずれにせよ,810eのグラフィックスには注目です.なお,多くのメインボードメーカーが,810eメインボードにはスロット1を搭載する予定であることもここで,強調しておきます.もちろん,スロット1とソケット370のジェミニタイプを採用するメーカーもあるでしょう.

>>>820
 従来タイプ
 システムバス133MHzサポート
 DRDRAM(Direct Rambus Ram)サポート
 AGP4x
 Advanced Hub Archtecture(AHA)・・・高性能なマルチメディア処理を実現
 SDRAM/RDRAMを使用可能なプラットフォーム(Memory-Repeater-Hub):SDRAMx2・RDRAMx2予定

 820のポイントは,AGP4xとメモリです.特に,メモリについては,SDRAMを使用することができるようになりましたが,どうもRDRAMの方が速そうといったことが言われています.仕様上どのようになっているかも重要ですが,820設計がRDRAMに最適化されていると実際のテスト結果はRDRAMが有利になるでしょう.
 ただ,RDRAMは高価なので,この点が問題なのです.1年も経過すれば価格も落ち着く,台湾メーカーの見方ではSDRAMの1.5倍程度まで下がるということですから,この1年間どうするか,という問題です.

>>>Solano
 2000年半ばにリリースされる次世代統合型チップセットです.

 システムバス(FSB):100/133MHzサポート
 メモリ:DIMMx3で最大512MB
 組込型グラフィックス:i75x相当133MHzディスプレイキャッシュサポート
 その他,外部AGP4x対応AGPスロットサポート
 CPC(Command Per Clock)PC100メモリサポート・・・グラフィックス性能が向上
 その他は810eと同じ

 統合型に分類されますが,注目すべき点は,外部AGP4x仕様スロットをサポートしている点です.好みに応じて,グラフィックスカードを交換することができるようになっているのです.820との棲み分けもできそうなので,810eを止めてこちらを早く出して欲しいような気がします.


● VIA社
 2000年には Apollo PM266Hというチップセットがリリースされ,AGP4x対応はPM133からで,Servage4相当のグラフィックスが予定されているようです.また,Apollo ProMediaやApollo ProMedia133のグラフィックスがどうなるのか,Trident社がVIA社を契約違反で訴えているため何ともいえません.今後の動向に注目しましょう.

>>>Athlon用
 今ホットな話題は,Athlon用チップセットKX133です.AMD製のチップセットIronGateでは通常6層基板を要求しましたが,VIA製のKX133では4層基板でOKということです.AGPもx4です.また,2000年には266DDR似も対応したKX266Hもリリースされる予定です.

>>>Super7
 Super7がどうなるのかはAMD次第といった感じがします.とはいえ,VIA社では,ATA100に対応し,モデム機能を搭載したVT8231,VT8233とリリースしていくことになっています.MVP4のグラフィックス機能が思うほどに向上しなかったので,Apollo ProMediaのSuper7版などが出ないかと期待しています.


● SiS社
 現在は620を出荷しています.SiSではグラフィックスにSiS300相当を搭載した,P6系のSiS630とP5系のSiS540がリリースされます.機能的に,この2種のチップは非常に多機能で,かなり期待できる内容です.ブロックダイアグラムも参照してください.

SiS300相当128ビット 2D/3D Graphics Accelerator
 DVD再生対応
 Ultra-AGP
 DirectX 6 完全対応
  UMA技術でメインメモリ上に2/4/8/16/32/64MBをVRAMとして使用できる
 解像度最大1920x1200 256/32K/64K/16M Color
 OS/2, Windows95/98,Windows NT4.0, Windows 2000
 デュアルディスプレイ対応
 NTSC/PAL TV ・セカンダリCRT・TFT Digital LCD モニター

 3D Audio コントローラ
 Ethernetサポート IEEE802.3, 10BASE-T, 100BASE-TX
 On-Now, Wake-On-LAN, PCI Power Management 1.0aサポート

Modem
- AC'97 AMR/MDC HSPモデムサポート

PC133 SDRAMサポート
Virtual Channel Memory (VCM) サポートSupport
Suspend-To-RAM(STR) サポート

ACPI 1.0, APM 1.2 準拠パワーマネジメント

 Ultra 33/66 IDEサポート


MediaGXmと統合化チップセット

 台湾でいつもお世話になっているプロコンプ社のピーターさんが,810メインボードと一緒に持ってきたのが,B598というMediaGXmメインボードです.今ではもう生産していないのだけれど,810とういう統合化チップセットのことを話するときの参考として持ってきてくれたのです.

 このB598は,MediaGXmメインボードとしては,比較的後に開発されたため,合理的な作りになっているそうです.MediaGXmは,MediaGXシリーズの最新CPUで,本当なら300MHz製品がリリースされていてもよいのですが,サイリックス社の動向に応じ,現状での最速のものは266MHzとなっています.
 MediaGX系のCPUは,図を参照していただければわかりますが,CPU内にグラフィックスエンジンなどを搭載しているため,サポートチップひとつで,グラフィックス・サウンドも実現できるという非常にお買得なチップです.MediaGXmは通常ソケット7に取り付けるようになっていますが,ほかのソケット7CPUとの互換性は全くありません.低価格マシンを実現する切り札なのです.

 ちなみに,MediaGX系のCPUは,サイリックス5x86から進化したものなので,CPU性能としては486とPentiumの中間に属します.最初にMediaGXmメインボードを見たのはRISE社のものでしたが,低価格という割には,部品点数が多いな,という印象でした.しかし,プロコンプ社のものを見ると,なんと部品の少ないことか.しかも,その部品の多くにはNS(ナショナルセミコンダクター)のマークが付いています.つまり,CPUからサポートチップ(いわゆるチップセット),その他のチップもNSなのですから,回路的にも設計しやすいでしょうし,その分,コストも下がるわけです.
 今でも,台湾各社がMediaGXmメインボードを作っていますが,今では,多くはネットPCなどの簡易端末用やローコストマシン用がほとんどです.CPU込みで2万円くらいですから,確かに安いのです.ただ,今年に入ってインテル810の性能が良いのとCeleronが安い関係で,MediaGXmのありがたさが薄れてきた感じがします.たしかに,日本人は速いマシンが好きなので人気は今ひとつという感じです.

 要するに,CPU内で統合するよりも,チップセット内で統合しCPUはユーザーの選択にゆだねる,という方法のほうが,コスト的にはMediaGX方式よりも不利ですが,性能とのバランスがよいのでしょう.しかし,MediaGXの180MHz搭載のメインボードはCPU込みで1万円しないので,とにかく安く数世代前のパーツと組み合わせて作るなら魅力的な感じがするのですが.

コラム:810eとグラフィックス

 810eは統合型チップセットで,チップセット内にAGPグラフィックスを搭載しています.そして,外部AGPスロットは搭載していません.ASUSTeK製のMEW(810)などはこのAGPをBIOS設定で無効にすることができます.しかし,これは無効にできるだけなのです.つまり,チップセット内のグラフィックスを切るとAGPそのものも切ってしまうことになるのです.
 そのため,チップセットの仕様として,外部にAGPスロットを搭載できないようになっています.このようなチップセット組み込みグラフィックス以外に,外部AGPスロットを搭載できる仕様は,2000年半ばにリリースされる予定のSolanoからということになります.
 なお,外部AGPスロットはありませんが,PCIグラフィックスカードは使用できます.その際,推奨できるのはBanshee搭載のカードか,Voodoo2をPCIに取り付けて3Dを強化するのです.Voodoo系のカードは,たとえAGPスロットに取り付けるタイプのグラフィックスカードであっても,技術としてのAGP仕様ではないので,PCI取り付けタイプでも同じなのです.

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