コラム ● 最新情報:MVP4と新規格VCメモリ

 これからのチップセットは,機能が統合化されていく方向にあります.特に,SiS530やSiS620,そして,Intel製Whitneyなどのようにノースブリッジに,グラフィックス機能を持たせるだけではなく,サウンドまで持たせようという傾向が見られます.
 MVP4もこの傾向を進めて,ノースブリッジにグラフィックスを搭載しています.しかし,3月半ばのサンプルでは,このグラフィックスのバグはまだ取れてはいなくて,周辺機器メーカーは,PCIグラフィックスカードを使って,テストしているという段階です.

 ところで,WhitneyやMVP4などで注目されるのは,システムバスの133MHz正式対応です.この状態では,メインボードの設計も難しくなってきます.今回筆者が入手した情報では,不正確ですがWhitneyやMVP4でシステムバスが133MHzになっても,メモリアクセスは100MHzの非同期だということです.PC133メモリが必要になるのは,1999年秋からということになるでしょう.
 しかし,高速メモリといえばNECの開発したVC SDRAMがあります.これもMVP4からのサポートです.このVCS DRAMの特徴は,現在のSDRAMの設計を大きく変更することなく製造ができることで,すでにメルコ社が商品化準備を終了しています.正確なところは筆者にもわからないのですが,従来からと比較すると30%以上の速度アップになるそうです.
 VCというのはバーチャルチャネルのことで,内部のメモリアレイとI/Oの間に大きなデュアルポートレジスタを置くことで,バス幅を広げ,データ転送レートを上げようというものです.レジスタでヒットすれば,Bankを使用せずに処理できるので,HitLatencyの削減,Hitレートの向上だけではなく,電力消費も下がるそうです.

 

 100MHz仕様や133MHz仕様などがありますから,100MHz仕様なら使ってもPC100メモリと変わらないのでは?,と考える人もいるかもしれません.しかし,AGP機能をチップセットがこのVC SDRAMに対応すると特に効果が期待できると思います.つまり,AGPは大きなテクスチャをメインメモリに置いて使いますから,VC SDRAMのバンド幅の広さが大きなメリットになってくるのです.
 MVP4だけではなく,VIAはApollo Pro 133なる新チップセットも開発中です.このチップセットもVC SDRAMに対応しています.効果のほどは,メインボードを入手してからということになります.しかし,メーカーの話では,チップセットだけではなく,BIOSのカスタマイズも必要で,VC SDRAMを認識させるルーチンを3月中旬段階では必死で書いているそうです.メルコ社でも128Mバイトの製品を作りましたが,まだ64Mバイトまでしかメインボードの側では認識してくれないそうです.それに,3月末の噂では,秋に出るはずのCaminoチップセットが廃止され,別のチップセットが出るかもしれないなどという話もあります.

 筆者は,4月2日に台湾に戻ります.VIAチップセットといえばやはり真打はEPoX社です.早速EPoXとそしてVIAにも行って最新情報を入手したいと考えています.EPoX社に問い合わせたところでは,MVP4搭載のメインボードはEP-MVP4シリーズといい,3機種が予定されているそうです.基本的にすべてMVP4の特徴を活かしたオールインワンタイプで,中にはTV出力付きにものも出るようです(販売店問い合わせ先;アーテックスジャパン03-5816-1721).


Copyright 1999 岩村益典  1999 3/26