DFI (DFI Inc. ) www.dfi.com.tw
100 Huan-Ho St. Hsi-Chih Town Taipei Hsien, Taiwan R.O.C. Tel: 886-2-2694-2986,Fax: 886-2-2694-3226

 DFIは,汐止の少し郊外にある工業区に工場兼ヘッドクォータをひとつのビルで持っています.工場とヘッドクォータが一緒なので,エンジニアがオフィスと工場を往復する必要なく設計できるところがよい,とのことです.

 設立は1981年で,グラッフィクスカードの生産からです.製品の印象は質実剛健といったもので,PCBも重く頼もしいです.実際に,PentiumU用のP2XBLが高信頼性で評価が高いです.クロックアップにも強い,という噂を聞きました.五つの国にブランチオフィスがありますが,日本法人はありません.

 従来は一部のマニアだけが知っているメーカーでしたが,秋葉原,日本橋でも見かけるようになってきました.


1999-9月号

 AOpen社をあとにして何とかDFI社に向かいましたが,着いたときも土砂降りの雨でした.同社の工場にはEMI(不要輻射,Electromagnet Interference)関連のテストを行うための電波暗室があります.この電波暗室というのは,最近さるメーカーに入ったとかいうことが新聞に載るように,一般的な設備ではなく,筆者はASUSTeK社に電波暗室があることぐらいしか知りませんでした.

 この電波暗室というのは,簡単にいうとコンピュータシステムから発生する電磁波を計測する設備のことです.つまり,電磁波が多く発生すると人体にも影響を及ぼすということで,日本ではそれほど強く規制されていませんが,アメリカやヨーロッパではEMIの規制が実施されています.たとえば,ATXメインボードの場合でもそうですが,筐体に取り付ける際にはバックパネルに薄い金属板を取り付けますし,キーボードコネクタの個所にはコの字型の薄い金属片が付いています.これは,金属片をシャーシと確実に接触させることにより,シールドを確実にしようとするものです.

 この電磁波というのは目には直接見えませんから,ある意味で企業はこの問題について手を抜きやすいといえるのです.また,メインボードメーカーの中には,電波暗室を持っていないところもあるようです.

 DFI社の話によると,電波暗室を用意して筐体のカバーを外した状態で測定し,その状態である一定の基準に満たないものは出荷しない,という方法を採っているとのことでした.水晶発振子の実装レイアウトやアースの引き回しがきっちりと設計できていれば,EMIはかなり減るはずです.筐体のシールドが良好であれば,多くのメーカーが筐体に入れたときの基準値を満たすということでは,問題はないものと思います.問題があるのは,筐体に入れなかった場合で,そのあたりを満たすことができるんだ,というのがDFI社の意見でした.その意味でいうと,電波暗室を持っている会社は常に繰り返してテストができますから,良心的なメーカーであるといえるわけです.もちろん,規制をクリアするために,どの会社も試験設備のあるテスト機関に行って測定はしているでしょうが.

 話は変わりますが,今回DFI社でおもしろいものを見つけました.工場の出荷エリアでは,紙の箱を組み立ててその中にメインボードなどを収めていくのですが,もともとその箱はただの平たい紙の板です.この板を百枚単位くらいにくくった束が印刷所から納品されてきますが,その束の一番上と下にMSI製の6163の印刷ミスになったものが当てられていました.

 奇妙に思ったのでDFI社のスタッフに尋ねたところ,全然不思議そうな顔もせず「輸送の際にDFIのパッケージが傷まないように,単に印刷ミスになった紙を上下に当ててあるだけですよ」と教えてくれました.DFI社とMSI社は同じところでパッケージを印刷しているのかもしれません.

 それから,メインボードとまったく関係なく,知り合いの会社の1つを訪ねたとき,地下の倉庫でASUSTeK社のメインボードP3B-Fのマニュアルの製本前の状態のものを発見しました.場所を書くことはできませんが,ASUSTeK社のマニュアルはここで作っているということがわかりました.さらに,友人の話によると,この印刷所は故宮博物院のカレンダなども印刷しているとのことでした.


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