ABIT(http://www.abit.com.tw/)
ABIT Computer Corp.
3F,No.79-7, Sec.1, Hsin Tai Wu Rd., Hsi-Chi, Taipei Hsien, R.O.C.

 ABIT社は台北懸の汐止にあります.Tekram社の入っているビルの隣のビルで,AOpen社のビルから見ても真向かいにあります.設立は1989年で,今年でちょうど10年になります.1994年には台湾のトップ10メインボードメーカーとなり,1995年には今の汐止に移転しました.ABIT社が有名になったきっかけは,1996年にリリースしたジャンパーレスメインボードです.ジャンパーレスのためBIOSの中でオーバークロック設定がやりやすかったのが特徴です.現在ジャンパーレステクノロジは,ソフトメニュー2というかたちで継承されています.

 1999年にはISO9001を取得し,株式の上場も近くある可能性があります.イメージ的にはあまり大きな会社という感じがしないのですが,作っている製品や製品マニュアルの細部にいたるまでの構成が非常によくできているため,システムインテグレータというよりはDIYユーザーをうならせる魅力を持っています.

 アメリカやイギリスにブランチオフィスがあります.日本でも,今回はスタッフの幸田さんという女性を交え,マーケティングのスタッフといろいろと話をしました.

 その際,よりよい製品とそれを紹介するためのマーケティングの両方がかみあっていなくては,たとえ良い商品を作っても世に広めることはできないということを基本的な方針としていることが伝わってきました.桃園懸にある中正国際機場(飛行場)から台北市内に入る高速道路の脇にも大きなABIT社の広告看板が立っていますし,台北市内を走るMRT新交通システムの主だった駅にもABIT社の広告があります.このように,メインボードはABIT,というものがきちんと要所要所でみんなの目にとまっています.

 今まではメインボードBH6のジャンパーレスオーバークロックばかりが取り上げられ評判になりましたが,最近ではBE6というATA66用のチップを搭載した新メインボードをリリースしています.ハイポイントテック社の366UltraDMA66 IDEコントローラを別途搭載し,BXチップセットと併せて使用するようになっています.その結果,BXメインボードでありながらメインボードだけでATA66を実現しているわけです.

 とはいえ,ここで問題となるのは価格のことです.その点についてスタッフにたずねてみると,「たしかに,ハイポイントテック社のチップを搭載する分価格は上昇しますが,それよりもATA66ケーブルを付けなければならないというところで価格の上昇があるので,BXメインボードとして見た場合に割高になるのではないかと考えています」とのことで,日本のユーザーがどう見ているのかということをしきりにたずねられました.また,最近ではBP6というデュアルSocket370メインボードも評判で,デュアルCPUの本格的な需要はWindows 2000からでしょうし,Celeronはデュアル機能がないということになっているのでそのあたりIntel社との関係はどうなんだろうと心配をしてしまいます.

 しかし,比較的今までのABIT社のカタログを見ても,過去にSiS製チップセットを使ったメインボードが紹介されていたことがあるもののそれ以外では互換チップセットを使った商品を出していないため,Intel社とは非常に緊密な仲のメーカーという位置付けだと思います.このデュアルSocket370についてたずねたところ,もし問題があればほかのメインボードを出すことはできないし,すぐに調整すべきところは調整するという回答でしたから,逆にいうとマーケティングの観点からユーザーが欲しいと望んでいるものをできるだけ努力して提供する,という姿勢を貫いているようです.また,ATA66への思い入れは強いようで,UltraDMA IDEコントローラカードもリリースしています.筆者はこの製品のテストも行いました.Julius Iwamura Hardware Page TRY!PC版を参照してください.

 まだ工場を見たことがないので,どういう会社かははっきりつかめない状態です.ただ,広告をきちんと出しているということで派手なイメージがありますが,事務所自体は落ち着いていて静かなこじんまりとしたイメージです.堅実なメーカーという印象を受けました.

1999-10月号


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