Boardtek(http://www.boardtek.com.tw/)
Boadtek Electronics Corp.
16, Ching Chien 1st Rd., Kuan-Yin Industrial Park, Taoyuan, Taiwan

 今回,筆者の親友ジョーダン氏の紹介で,PCB (Print Circuit Board:プリント基板)のメーカーであるBoardtek社を訪ねることができました.中正国際機場の近く大園にあります.観音山工業区と呼ばれるところで,海側にあります.PCBの製造には薬品を使用するので,安全や公害対策のために広い敷地を必要とするなどの理由により,政府が新竹の工業地区などへこの種の会社の進出を止めていることが原因のようです.まわりには化学系の工場がたくさんありました.

 PCBはメインボードだけではなく,グラフィックカードや携帯電話,ラジオ,車の制御装置などさまざまなところで使用されています.メインボードでは一大メーカーであるASUSTeK社でさえ,PCBだけは自社で製造していません.設計やレイアウトはASUSTeK社で行いますが,実際にはPCBメーカーに依頼しています.世界でPCBを自社製造しているメインボードメーカーは,PC CHIPS(ブランド名ではPC 100)のみです.それほど,PCBはメインボードの設計に対して重要であるけれども別物であると考えるべきでしょう.簡単にいうと,メインボードを作る場合でも,普通はコネクタ類や電解コンデンサ,チップセットなどはメインボードメーカーが作っているものではありません.それと同じような考え方のようです.

 Boardtek社の最初のお客さんにATI社があったため,現在でもATI社のグラフィックカードはここで作っているそうです.1927年に設立されたY.F.Y.グループ中に属しており,グループ全体では1万人以上の人が働いています.Boardtek社自体は1987年3月の設立で,1988年の9月より創業を開始しています.同社だけで500人が働いていて,26,700m2の土地に広大な工場を構えています.

 同社のスタッフによると,メインボードのPCBなどは比較的簡単なほうで,より大変なのが携帯電話の基板や車の部品として使用するものなど,過酷な条件下で使用される製品のPCBだそうです.また,同社ではより高い周波数を扱うボードや部品の実装密度の高いボードを作っているとのことです.6層基板などはお手のものという感じです.通常のメインボードは4層ですが,まれにデュアルでSCSI付きのメインボードには6層基板のものもあります.

 実際のところでは,簡単な2層は全体の4%,6層が50%,4層が38%,8層以上が8%と,6層系を多く作っています.このことからもわかるように,比較的小さな企業では作ることの難しいものを多く扱っているようです.コンピュータ系のパーツが60%,自動車のメーターなどに使用する基板が5%,通信系が15%,工場用の機器系が10%,おもちゃの中に使用されるものが10%となっています.セールスのターゲットは,アメリカが52%,台湾が10%,ヨーロッパが16%,アジアが22%とあり,この中には日本のSONYも含まれているということです.

 最初の印象では,PCBというのは小さな工場で作られていると思っていましたが,全くそうではありませんでした.また,ISO9002だけではなくISO14000なども取得しており,環境を考えたつくりになっていることを強調しておきたいです.

1999-10月号


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