台湾企業の紹介  

 ここで紹介する台湾の企業の多くは,筆者の興味もありメインボード会社なのですが,わが国ではASUSTeK,GIGABYTE,SOYO COMPUTER,Tekram Technology,EPoX,ABIT,Iwill,Shuttle,TMC,FIC,RISE,MSI,GCT,Aopen,SuperPower,JETWAY,A-TREND,DFIといったような名前を思い起こすことができます.
 しかし,この中でも大きなシェアを誇る数社を除くと,残りはすべて販売量もまだ少なく,本格的な日本へのマーケット参入はまだまだといった感じです.  ところが,実際にメインボードメーカーとして台湾の企業で登録しているところはもっと多くあります.実際の取材結果からすると,メインボードの設計は1人でも行うことができるため,つまりメインボードのようなパーツは1人で設計しないとある意味では何がなんだかわからなくなってしまうという側面もあるため,基本的には1人で行います.また,その1人で行った設計を後でチェックしたりとかテストを行うために複数のエンジニアが必要といえます.
 とはいえ,エンジニアは設計者が1人,サブが2人の3人もいればよく,また,台湾は非常に分業化が進んでいるため,製作を専門とする工場と契約することにより,工場で実際のボードを作ってもらうことで,まったく問題なくメインボードを製作できます.販売できるところまで行うには,会社の規模として最低人数は20人といったところのようです.筆者の知っている最も小さなメインボード会社は,その意味で20人という数字になります.
 ただし,これは最もまともな意味での会社は20人ということです.例えば20人の会社,UNICORN COMPUTERなどを考えてみると,ボードを製造する工場はUNICORN COMPUTER社のみの製品を作っているわけではありませんし,また完全に別会社です.ただ,UNICORN COMPUTER社の重要なことは主要パーツはUNICORN COMPUTER社が厳選して渡す,そしてもうひとつは製品完成後のクオリティコントロールをちゃんと行うということさえすれば,まったく問題なくメインボードメーカーとしてやっていけるわけです.
 しかし,ここには中華民国の一つのビジネススタイルとして,グループ企業に分ける,という方法も考えられています.つまり,専属の工場ではあるが,別会社にする,という考え方です.工場と本社,設計部門などをすべて別会社とすることによって,メインボードを作るのだとすればヘッドクォータに必要な最低人員は1人,ということになります.もっとも,1人で行っている,という会社を筆者は知りませんが,しかし,それでも1人でメインボードメーカーを運営することは可能なのです.
 これは,日本の企業では少し信じられないような形態ですが,グループ化によって細分化すれば,このようなことができるということです.またもう一つ,通常の日本の企業という形態から考えると実際には20人もいればメインボードメーカーを設立することは可能,ということになるでしょう.

●メインボードは薄利多売

 今回紹介する企業は,多くがメインボードメーカーですが,メインボードメーカー以外も含まれています.また,注意として,今年の2月から11月までのデータを再び整理しましたので,一部はこの春に発表した原稿と重なる部分もありますし,なおかつ訪問が6,7月であった場合は,その時点でのデーターということもあり得ます.これは,この原稿の趣旨が台湾の企業というものの全体像を知ってもらいたい,ということが主たる目的であるからで,あくまでも各企業の11月現在の現状を示そうというものではないからです.とはいえ,できる限り最新のものを掲載したいと思います.
 筆者が,このような注意をするのは,実は非常に重要な出来事が生じたからです.完全確認情報ではないのですが,今回紹介する企業の中のひとつが倒産したというのです.完全に確認できていない情報のため,筆者としてはどの企業が倒産したのか,ということについてあえて触れることはしません.なぜなら,Webページがまだ稼働しているからです.しかし,Webページを紹介しておきますので,Webページのある限り一度アクセスしてみてください.
 倒産したならしたで,何らかの情報が掲載されているはずです.
 興味深かったのは,ある大手メインボードメーカーの副社長が筆者の友人Jordan氏の作っているCPUマルチメディアアップグレードキットについてどのくらいマージンがあるのか,ということを尋ねたとき,筆者の回答に,その金額ならメインボードよりマージンがいいじゃないか,ということで笑っていたということを思い出します.それほどメインボードというのは,競争が激しいものなのだということに改めて感じました.

●工業区

 さて,台湾の企業の特色として,各メーカーが集中して工業区を作っている,ということです.これはもちろん,政府の政策ということもあるのでしょうが,工業区と呼ばれる名前で集まっているところは,汐止,三重,五股,新竹,中和,土城,などがあります.比較的この工業区から離れたところにあるメーカーといえば,北投のASUSTeKや淡水のPROCOMPなどがあります.
 また,ヘッドクォータ(本社事務所)と工場を一緒に併せ持つ自社ビルを持っているところ,工場とヘッドクォータと集合ビルの中にあるけれども同じ工業区内にあるところ,少し離れたところに工場を持ち,ヘッドクォータは比較的近代的なオフィスビルの中に持つ所などいろいろがあります.
 なお,現在の台湾における経済の発展は著しく,企業は拡張のため住所移転などがひんぱんに行われます.本文中のデータと実際のデータとが異なる可能性もあります.そのような事情もあり,住所を掲載できない場合もあります.そのような場合は,Web上からメールアドレスを確認するなどの方法で住所を調べてください.編集部では対応できないのでご注意ください.


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