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消滅近しか?電話「網」、放送「網」、携帯電話「網」 | |
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ルート株式会社製品セミナー |
無料セミナーにもいろいろあるが、製品紹介、事例紹介に終始して、結局Web情報でよかったなんてものも少なくない。企業である以上商売だから自社製品のアピールに力をいれるのはあたりまえだが、正直言って最近は食傷ぎみで「無料セミナー」は敬遠していた。しかし、今回参加したセミナーは、久々のヒットであった。
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2/9東京・渋谷にて,ルート株式会社主催で開催されたこのセミナーは、同社の主力新製品無線IPルーターをはじめとする製品のアピールが狙いだが、2つの基調講演は興味深いものだった。
■ 21世紀のインターネットインフラ
東京工業大の講師 太田昌孝氏の基調講演は「21世紀の無線インターネット」と題していたが、内容は、無線に限らず同氏の描く近未来の通信インフラ。のっけから「インターネットが唯一の情報通信基盤になる」「電話網、BSデジタルを含む放送網、携帯電話網は消滅する」と断言。氏はIT革命の本質をここに見いだし「電話や放送はインターネット上に移行する」という。
■ 電力会社のブロードバンドサービス
具体的には、電話は低価格常時接続によってインターネット利用者間で直接通話するインターネット電話に、放送はIPマルチキャストパケットを電波に乗せて配信する衛星インターネット放送に、携帯電話は無線インターネットサービスの利用に移行するというもの。
そして「これまでのVoIP(編注:Ciscoのも同様)は、電話網技術者が設計」「電話網事業者の期待は交換機経由のインターネット電話」「放送の都合しか考えない放送網のデジタル化」「携帯電話網はしょせん電話網でしかない」等々の断言が続いた。
電話網、放送網、携帯電話網事業者が聞いたら、なんとも気分のよい話ではないが、インターネット常時接続の本質的な意味が見えてくる話ではないだろうか。
九州電力 電子通信部長 嘉村晃也太氏の基調講演は「当社のブロードバンドサービスへの取り組みについて」。同社は、低圧配電線と電柱に無線ルータを設置したインターネット接続サービスに力を入れている。
低圧配電線とは、家庭用電灯線を使用した伝送方式(とりたてて新しい技術ではない)。技術宅内配線工事が不要であるため、コストダウンが図れるという。伝送速度は最大1Mbps。これは法規制により使用できる周波数帯域が10kHzから450kHzまでとなっているための上限。海外では、2MHzから30MHzを使用した最大11Mbpsの伝送も行われているのであるが、同周波数帯は短波帯、つまり短波ラジオやハムに割り当てられているため、国内法では思うようにいかないようだ。
電力線は、本来電力を供給するために使用する線であるから、データ通信には不都合な点もいくつかある。その1つが低インピーダンス。インバータ機器の増加でこれは避けられない。PC本体の電源もスイッチング電源であるし、蛍光灯の利用も明らかに線インピーダンスを下げている。もう1つはノイズ。インバータ機器によるノイズは、離散的に狭帯域ノイズが分布し、データ通信を妨げることになる。常時稼動が当たり前の冷蔵庫はその最たるノイズ源だ。
無線ルータ方式は、同社の光ファイバ網を利用し、電柱に設置した無線ルータ(ルート製品)で見通し300mをカバーしようというもの。すでに、福岡市、北九州市で実用化されている。伝送速度は、最大6Mbps。
電力会社も各種サービスで顧客の囲い込みを行いたいと考えているように思えるのだが、考えすぎだろうか。例えば、低圧配電線に加入すると、電力自由化により安い電力を他社から購入したい場合に不都合が生じると思われる。
・・・ 参考URL:ルート株式会社 ・・・