まかせて安心 あなたの街のMCSP--- No.3

(株)名鉄コンピュータサービス

新保 尚二氏 高木 哲治氏 鈴木 敦氏

 

 (株)名鉄コンピュータサービスは,名鉄グループの情報処理全般を担当する会社です.1976年の設立当初より,メインフレームベースでのシステム構築,運用を行ってきていますが,ここ数年は,これまでの経験で得たノウハウを生かして,効果的なダウンサイジングを推進しています.
 グループ内の業務が7割以上を占めていますが,グループ外にも業務を拡大すべく,現在,EC(エレクトロニックコマース)を含めてさまざまな試みを行っているとのことです.

■名鉄グループの情報処理センターとして設立

---- まず会社概要から教えてください.
 当社は,名鉄グループが各社で行っていた情報処理を,1ヵ所にまとめてスケールメリットを追求するために,1976年に設立されました.名古屋鉄道と名鉄運輸,名鉄百貨店がその中心になっています.業務内容としては,名鉄グループ各社の情報化の推進が中心であり,現状では全業務の7割以上がグループ内の仕事です.しかし,21世紀に向けてグループ外に仕事を広げていくという会社の方針があり,現在,新たな試みに着手しています.

---- 業務の中心はメインフレームですか?
 従来はそうでしたが,ここ数年はダウンサイジングに対応してPCでのシステム構築が中心になってきています.もちろん,メインフレームの膨大な資産がありますから,現在の技術者の割合は,メインフレーム系4割,PC系6割程度です.いずれにしても新しく作るシステムはどれもクライアント/サーバー系です.既存のメインフレームは,データベースサーバーと位置付けて接続することが多いですね.

■グループ内のダウンサイジングを進める

---- ダウンサイジングへの取り組みについて具体的に教えてください.
 当社では1993年,社内にダウンサイジング委員会を作って,メインフレーム系からPC系に移るためのスキルの向上などを図ってきました.
 名鉄グループでは,基幹業務は現在もメインフレームが中心です.これを現在,メインフレームはそのまま残して,クライアント側をPCで構築しているところです.
 具体例を挙げれば,財務系のシステムは,メインフレームとクライアントの間にNT Serverを置いて,メインフレームからNT Serverにデータをコピーして蓄え,それをクライアントパソコンで利用するという仕組みを構築しています.大規模な基幹業務の処理はメインフレームで行い,結果だけをNT Serverにコピーして利用するのです.今後はユーザーが帳票を参照したり活用する必要がありますから,このようなシステムを構築しました.

---- 情報系のシステムはいかがですか?
 名古屋鉄道の情報系システムMOAは,NT Serverで組んでいます.3年前から構築がスタートして今年でひととおり終了します.グループウェアには日立のGroupmaxを利用しています.データベースはORACLEとSQL Serverがあり,クライアント管理にはSMSも利用しています.SMSでは,テスト的にソフトウェア配布を行っています.
 また,従来メインフレームでデータを持っていた名古屋鉄道の電車とバスの時刻表や運賃表を表示するシステムも,NT Serverで作り替えました.これはWebを使用してインターネット上に公開すると同時に,顧客の問い合わせにこたえるテレホンセンターの端末でオペレータが参照するものです.これも1つのダウンサイジングの例ですね.

---- グループWANセンターを運営されているそうですね.
 当社がNT Serverを使用してセンターを作り,グループ企業にサービスしています.現在は120社ほどが接続しており,さらに増えつつあります.
 1997年4月に立ち上げたのですが,グループには小さな会社が多く,また,ほとんどが名古屋近辺にあるので,私どもで設営に出向いたりしました.各社を啓蒙したりするのには時間がかかりましたが,システム自体にはそれほど時間はかかっていません.
 グループウェアとしてはGroupmaxを使用し,IISでWebを立ち上げています.掲示板は,グループ内での営業も自由に行っていいことになっています.1例を挙げれば,グループのゴルフクラブによるコンペへの勧誘などもあります.

先進的なEC事業にも関わる

---- グループ外の業務としてはどういったことをされていますか?
 グループ企業以外の顧客としては,大学,学習塾,自治体,大型スーパーマーケットなどがあります.システムの維持・運用をまかせていただくアウトソーシングも行っています.これらについても,基幹業務についてはメインフレームが中心ですが,その周辺のシステムや情報系の新しいシステムは,NT Serverで組むものが大半ですね.
 そのほか,インターネット上でのECの構築・運営も行っています.システムとしては,NT ServerとIIS,ASP,SQL Serverなどで構築している部分と,UNIXとNetscape,ORACLEを使用している部分があります.

---- ECはどういった内容ですか?
 「メディアポート日本」というWeb上のショッピングモールです(http:// www.cjn.or.jp/ mpn/).通産省のEC推進プロジェクトから始まったもので,1年前から稼動しています.インターネット上で買い物ができ,クレジットカードで決済します.物流システムとも連動し,利用者が買った品物がどこにあるかもチェックできます.

---- インターネット上でクレジットカードを使用することに,利用者の抵抗はありませんか?
 一般論としては不安があるでしょうが,私達のシステムではそれは感じませんね.通産省のプロジェクトからスタートしていることや,クレジットカード番号の送信にはVISAとMaster Cardが開発した公開鍵暗号方式のSET手順を使用していることなど,利用者には信頼感を持っていただいています.
 今年9月にはSETのバージョンが1.0に上がり,より多くのカード会社との相互運用性が確保できます.それに合わせて,当社もモール上にショップを持ち商品を売る試みを始めます.そこで得たノウハウを各ショップに伝えようと考えているのです.そして,来年度くらいにはショップの成功事例を作っていきたいですね.

■グループ内で蓄積したノウハウをローコストで提供

---- 他社と差別化しているのはどういう点ですか?
 まず,名鉄グループの一員としての信頼感です.顧客に役立つシステムを開発し,フォローも誠実に行うといった点ですね.
 また,グループ内で開発コストを消化したシステムは,ローコストで提供できるメリットもあります.グループ内での経験でノウハウを構築し,それを外部に提供できるということです.
 例えば,当社が開発した観光バス予約システム「楽々道中」は,観光バスの貸し切り管理を行うパッケージです.空いているバスを営業所をまたいで参照し,手配できます.以前は紙の台帳で見て,営業所に電話で確認していましたが,それをネットワークでシステム化して,ほかの営業所の空き状況などもパソコンから確認できます.

---- 全社的にWindows関連のスキルアップを図ってらっしゃるそうですが?
 はい,1年前から全社的制度として,Windows関係の教育や資格を人事考課の対象としています.それが将来の配置や待遇に有利に働くのです.
 具体的にはVisual Basic,Access,Windows NT,Windows 95などの教育ですが,専門家として設定やインストールなどを行うための教育です.

(インタビュ/松永 晃)

Information

● 設立:1976年 ● 代表:高木 昇一 ● 従業員数:400名  ● 所在地:愛知県名古屋市中村区 ● TEL:052-582-3125 ● URL:http://www.meitetsu.co.jp/mcs/ ● 担当部署:第一事業部 ● 担当者:鈴木 敦 ● E-mail:mcsp@mcs.meitetsu.co.jp
● 主な事業内容:インターネット事業,教育事業,LAN構築事業,パッケージシステムの開発と販売,学校システムの開発,施設利用予約システム,流通業システム,アウトソーシング,物流システム,旅行業システム,ほか ● 取得MCP:Windows 3.1,Windows 95,Windows NT Workstation,Windows NT Server,Systems Management Server,SQL Server,Internet Information Server,TCP/IP,Access,ほか

1998年11月号掲載