経営者のためのデータウェアハウス入門


 午後の講義は日本インテグラート(株)代表取締役,北原康富氏による「経営者のためのデータウェアハウス入門」から始まりました.
 企業の情報システム担当部門の人間やコンピュータを販売するベンダー側の人間が,データウェアハウスに関する商談を行う上での参考になることを目的とし,以下の4点に関する説明が行われました.この中からビジネスニーズ,事例,仕組みについて振り返ってみます.
・データウェアハウスのバックグラウンドとなるビジネスニーズ
・事例
・データウェアハウスの仕組み
・データウェアハウスを身近に使う
◆ あなたは,月曜のスーパーマーケットで一番売れる商品が
  何か分かりますか?
 最初はデータウェアハウスのバックグラウンドとなるビジネスニーズについてです.ここではヒトの「感じ」がいかに重要かという点についての話がありました.
 例えば日曜の夜にテレビ番組でゴマなどの食材を取り上げます.すると,翌日スーパーマーケットの棚からゴマがなくなったりすることがあるそうです.フロア担当者が感じた,この「なぜ今日はゴマがこんなに売れるのだろう?」という感じ方をデータに基づいて分析すること,これがデータウェアハウスを活用していく上での入り口であると考えられるという話でした.
 また企業上層部はフィルタのかかっていない,正しいデータを見る必要があり,そのデータは必要に応じて集計元の明細レベルも取り出して見ることができるべきである,という点にも触れていました.
 データウェアハウスは仮説検証型マネジメントであり,人間の立てた仮説を検証し,対策を立案するための仕組みととらえることができるとのことです.明細データを対話的に扱える必要があり,集計データをもとに固定形式のレポートを使用するような従来の情報系システムとは異なるものです.またシステム部門ではなく,エンドユーザーが使うツールなので簡単な操作性が求められる,という点にも触れていました.
 2番目の事例については,バスケット分析,顧客の購買パターン/属性(氏名,性別,誕生日...)からの分析による顧客サービスの向上,通販業務でのDMのヒット率などについて紹介がありました.ここでのポイントはデータの鮮度と精度が重要であるという点でした.これは事実ベースのデータ蓄積の重要性と言えそうです.
◆ データウェアハウスの仕組み
 データウェアハウスを構成する主な機能について説明がありました.機能としては,データ収集,データ品質,データ管理,オンライン分析,データマイニング(編注:データマイニングは今回のセミナーでは取り上げていない)についての説明がありました(図3).
 データ収集では基幹系のデータや外部の市場情報,公開情報,調査情報などを取り込み,データ品質ではビジネスルールの妥当性,一貫性を保証していきます.データ分析の対象とするデータの量と品質をどのあたりで妥協するかも重要な点になるとの説明がありました.

<池田 力也>



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<図3> データウェアハウスの主な機能