コラム ● 用語解説

<編>

● Net PC

 Net PCとは,会社などの環境において管理の容易さを狙いとした,シンプルなWindowsベースのPCである.その規格は,1997年3月に,MicrosoftとIntelが中心になって発表した「Network PC System Design Guideline」に基づいている.この規格は同年4月に完成し,その後この規格に沿って,ハードウエアメーカー各社がNet PCを発表してきている.
 Net PCは,ユーザーが今まで使っていたPCで得ていた性能を維持しつつも,中央集権的な管理を容易にするように設計されている.また,MicrosoftのZAW構想を完全にサポートしていることが,その特長として挙げられる.
 以下のものが,Net PCの必要項目と任意項目である.

◆ 必要項目

・CPU:Pentium 133MHzと同等かそれ以上
・RAM:16MB(推奨32MB)
・すべてのハードウエアが,ソフトウエアから探知および構成可能
・OnNow機能
・ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)
・Wakeup on LANのサポート(1998年1月1日以降)
・密閉された筐体
・Platform instrumentation
・内部HDD
・USBのサポート
・Unique system ID structure
・マウス,キーボード

◆ 任意項目

・RAMおよびCPUは,それ以上の性能でも良い
・CD-ROM,FDD
・オーディオカード
・グラフィックアクセラレーターカード
・シリアルおよびパラレルポート

 これらの項目には,Windows 98やPC 98の仕様に通じるものも多く,今後のPCというものの方向性を感じさせる.

● Hydra

 Hydraとは,Microsoft Windows Based Terminal Serverの開発コードネームである.これは,Windows NT Serverをマルチユーザー対応に拡張した,まったく新しいOSである.
 この場合,すべてのアプリケーションはサーバー上で動作する.クライアント側に必要とされるのは,CPUとメモリー,入力装置(キーボード・マウスなど)と出力装置(ディスプレイなど)程度である(専用端末の場合).異機種のデスクトップでの表示・入力もサポートするようになっているので,非Windows系のクライアント上で32ビットのWindowsのアプリケーションを動かすことができる(Citrix社からの提供となる).
 マルチユーザー技術は,Microsoft社とCitrix社との提携によって可能となったものである.複数の同時ユーザーによる(拡張)Windows NTへの会話型ログオンをサポートすべく,さらに開発が進められている.原理としては,サーバーで実行されたアプリケーションのUI(User Interface)が,接続を介してクライアントで表示される,というものであり,UNIXのX Windowと似た形になっている.
 クライアントには以下のような種類がある.

◆ Windows Based Terminal(専用端末)
 限定した機能での提供となるので,購入コスト・管理コストとも軽減される.Windows CEをベースとし,OEMを通じて提供される.

◆ Windows Based Terminal Emulator(ソフトウエア)
 通常のWindowsアプリケーションとして実装される.

◆ ICAクライアント(非Windows系)
 コードネーム“pICAcco(ピカソ)”.Citrix社から提供されることになっている.DOS,UNIX,MAC,NCなどに対応する.

 とは言え,上記はすべて予定であり,実際にベータ1(英語版)が出たのが1997年11月17日(COMDEX/FALL),ベータ2およびRTM(Release To Manufacture)が1998年前半という予定である(Microsoftの発表より).実際運用できるのは,まだ先の話である.    

※ OnNow機能とは,電力投入後に短時間でパソコンを使用可能状態にしたり,きめ細かい電力制御で熱や騒音の発生を抑えることができる新しい省電力管理機構です.