コラムB 2次降伏現象(セカンダリ・ブレークダウン) 図Bに示すように,1次降伏つまりブレークダウンの後さらに電流を増加させると,ある電圧,電流ポイントで,チップの一部分に電流が集中して温度が上昇します.この部分をホット・スポットと呼びます.
ホット・スポットができるとコレクタ−エミッタ間電圧VCE が急激に低下しはじめ,数μs程度の速さで低インピーダンス領域に突入しトランジスタが破壊します.この現象のことを2次降伏現象と呼びます. コラムC アバランシェ破壊 図C-1は,パワーMOSFETの等価回路とアバランシェ測定回路です.
トランスなどのインダクタンス負荷を高速にスイッチングすると,ドレイン−ソース間最大電圧VDSSを越える逆起電圧がパワーMOSFETに供給されることがあります.すると,図C-1に示す電流ルート(2)を通ってTr1のコレクタからベースに向かって電流が流れ,RB に電圧が発生します.RB は素子全体としては1Ω以下の低抵抗ですから簡単にはONしません.しかしゲートを低インピーダンスで高速に駆動(OFF)すると,ドレイン−ソース間電圧が急激に上昇し,パワーMOSFETを構成するたくさんの小さいMOSFET(セル)に寄生している任意のNPNトランジスタの特性,ばらつきや,内部配線パターンによってはONし,破壊することがあります.これをアバランシェ破壊と呼んでいます.パワーMOSFETの記号の中に,ツェナ・ダイオードが書いてあることがありますが,これはアバランシェ耐量保証を意味しています. なお,多くのパワーMOSFETの記号の内部には普通のダイオードの記号が記されています.この場合,アバランシェ耐量やダイオードとしての特性が保証されていないことがあるので注意が必要です. オン抵抗とVDSS はトレード・オフの関係にあるため,アバランシェ領域を利用してVDSS ぎりぎりのパワーMOSFETを選択して,低消費電力化あるいは低価格化を実現するケースも見受けられます.
Copyright 2000 トランジスタ技術編集部 編 |
|
Copyright 1997-2001 CQ Publishing Co.,Ltd.