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　 Ham Journalシリーズ 9

はしがき

　　筆者とそのグループは，アマチュア無線の楽しさを追求する一環として，手作りによる無線機器類を製作してきました． 　そして1992年頃からは，魚釣り用の竿を用いたアンテナ作りに興味が移り，試行錯誤を繰り返しながら，ローバンドを中心に短波帯の海外交信で実用になるアンテナの製作・実験を続けています．釣り竿の持つ軽量・強靱・安価というメリットを，短波帯のアマチュア無線用アンテナとして活かさない手はないと考えたからです．
　ところがいざ実験を始めてみると，釣竿をアンテナのエレメントやエレメント支持に使うことに起因するトラブルにめぐり会いました．とりわけカーボンファイバ竿は，奇妙な振る舞いを示しました．しかしその都度，仲間で議論を重ねたり，シミュレーション技法を用いたり，実験と実戦で確かめたりすることで，その困難も克服することができました．また議論を重ねることで，自らも含めて短波帯のアマチュア無線家に共通する迷信のいくつかをくつがえすこともできました．
　本書は，現在までに得られた釣竿アンテナ作りのノウハウを１冊にまとめたものです．多くの記事や単行本が出版されていることからもわかるように，アンテナ作りには創造性があって，非常におもしろいものです．そして釣竿は，そのアンテナ作りの楽しみを倍加させ得る材料であると確信しています．
　本書の目的は，この面白さを読者の皆さんに，できるだけ多くお伝えすることです．いまこの本を手にしているあなたも，釣竿を使ったアンテナを手作りして受信・送信能力を向上させ，アマチュア無線による短波帯通信の醍醐味を味わってみませんか．本書が電波をうまく飛ばす工夫を実現するなんらかの助けとなって，遠くの無線局との交信をよりたくさん楽しんでくださることを願います．
　世界中のアマチュア無線愛好者があなたの参加を待っています．アマチュア無線は工夫次第でおもしろさをいくらでも引き出すことのできる趣味です．ぜひ読者のみなさんも，お仕着せでないご自分なりの楽しみ方を持って，この国境のない趣味を楽しんでください．きっと同胞とめぐり合えることがあると思います．

2000年11月
著者しるす

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