第5章

ローカルネットワークの運用

DNSDHCPWINS による名前管理

 

内容

 Windows NT Serverでは、システムのインストール時にIPアドレスやホスト名などを設定します。ここまでは、Windows95など他のクライアント用OSと同じです。しかし、NT Serverでは、アドレスや名前などのネットワーク資源をサーバ側で管理する機構も備えています。これらの機構を利用することで、SOHO 環境に接続されたコンピュータを効率よく管理することができます。

 この章では、DNSDHCPWINSなど各種サーバサービスを用いて、ローカルネットワークの名前やアドレスを管理することに挑戦します。

インターネットドメインとは?

 インターネットサイトの名前をインターネットドメインと呼びます。これは、インターネット上の住所と説明されることもあります。例えば、CQ出版社のWebサイトは、www.cqpub.co.jpというドメインで表わすように、インターネット上のサーバやホストの位置を指定するときには、IPアドレスの代りにこのドメインを使います。インターネット上では、インターネットドメインは、IPアドレスと同じくらい大切な識別子です。

 

NOTE:

 Microsoft ネットワークの独自の概念には、ネットワークグループとドメインと呼ばれる2種類の形態があります。このMicrosoftのドメインは、NTサーバが管理するネットワーク単位のことで、この章で紹介するインターネットドメインとは全く関係ありません。紛らわしいところですね。両者を区別するために、前者をNTドメイン、後者をインターネットドメインと呼ぶことにします。

 

 

コンピュータに名前を付けたい

 インターネットでは、どうしてIPアドレス以外にもインターネットドメイン名のような識別子を使うのでしょう?

 人間の記憶力について、面白い統計があります。人間は、平均して7桁くらいの数字しか覚えていられないというものです。電話番号の桁数もこの限界を考慮して決められているという説もあるようです。

 ご存知の通り、TCP/IPプロトコルでは、ネットワーク上のコンピュータを識別するためにIPアドレスを用います。でも、これを幾つも暗記しておきなさいというのは無理ですね。そこで、コンピュータに組織構造を階層的に反映させた名前をつけて、それをIPアドレスの代りにネットワークの識別子として利用できるように工夫しています。

 ホームページの閲覧を思い出してください。NASAのページを見たいなら、http://www.nasa.org/ を開きますし、日経新聞を読みたいなら、http://www.nikkei.co.jp/ にアクセスします。このように、日常インターネットを利用するときには、IPアドレスを意識しないで済みます。どこかに自動的にインターネットドメイン名とIPアドレスを変換するしくみが働いているわけです。

 DNS(ドメインネームサービス)は、インターネットドメインとIPアドレスを相互に変換するための分散データベースシステムです。インターネットサイトを運営する場合には、自分のサイトのドメイン名を必ずDNSに登録することになります。インターネットに直接接続しないイントラネットの場合も、DNSを用いて名前を管理することをお勧めします。だって、すべての端末のIPアドレスを覚えておくのは大変でしょう。

 では、どのようにドメイン名をつけるのか見てみましょう。

ドメインの名付け方

 インターネットドメインは2つのパートから成り立っています。例えば、www.cqpub.co.jp では、cqpub.co.jp は組織を表すドメイン名です。JPNICのようなネットワーク管理団体によって割り当てられます。www は、各サイトの管理者が自由につけられるホスト名です。ちなみに、wwwというのは、外部利用者向けにWebサービスを提供していることを示すための別名で、本当のホスト名は他にあることが多いです。

 JPドメイン(ドメイン名がjpで終わるドメイン、jpは、もちろん日本の意味)は、InterNICの日本支部であるJPNICが総元締めに成っています。(JPNIC の正式名称は、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターです。) ここでは、JPドメインについて説明します。詳しい情報は、JPNICのホームページから入手できます。

http://www.nic.ad.jp/index-j.html

 

第2レベルドメインの種類

 JPドメインの第2レベルドメインには、ご存知の通り、次のように組織ごとに分類されたドメインが用意されています。

ac.jp

学術ドメイン(大学など高等教育機関)

co.jp

企業ドメイン(一般企業)

go.jp

政府ドメイン(政府機関)

ad.jp

管理ドメイン(ネットワーク管理団体)

or.jp

団体ドメイン(社団法人など)

ne.jp

ネットワークサービスドメイン(プロバイダ)

gr.jp

新しくできた個人、任意団体向けドメイン

 更に、あまり見かけませんが、地域性の高い団体のために tokyo.jpyokohama.jp のような地域ドメインも用意されています。(小学校などは、ac.jp ではなく、地域ドメインをつけるらしい。)

 JPNICにドメインを申請する場合、問題は第3レベルです。第2レベルまでは、JPNICが予め用意した組織・地域ドメインから適切なものを選ぶだけですが、第3レベルは自由に決めることができるからです。実際は、いろいろ細かいルールがありますが、基本的に「早いもの勝ち」の先願主義です。現在では、良く似た名前の会社が多いために、いろいろ問題が生じています。

 

 

コラム:あるドメイン名がどこの団体か調べるには?

インターネット人名録と呼ばれるwhoisデータベースを使えば、あるドメインが実際どの組織・団体が所有しているか調べることができます。UNIXシステムであれば、標準コマンドとして、whois が用意されていますが、Windows Macintosh にはそんなコマンドありません。JPNICのホームページに用意されている whois ゲートウェイサービスを利用するといいでしょう。

http://www.nic.ad.jp/cgi-bin/whois_gw

 

 

イントラネットやホームネットワークの場合はどうするの?

インターネットに正式に接続する場合は、必ずNIC承認のインターネットドメインが必要です。しかし、インターネットに直接接続しないようなネットワークでは、自由にドメイン名を作っても特に問題はありません。

 


以下省略.出版されている内容とは少し異なります.Copyright 1998 Kuramitsu Kimio


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