従来型の産業なら,低賃金で働く労働者の確保が立地の大きな条件になっていたのですが,ハイテク産業に転換するためには,高熟練な職人や高学歴な従業員を確保できることが立地の大きな条件となります.そこで,大都市周辺か理工系の大学・研究機関が存在する周辺が候補地になります.
そのような目論見の一つとして,日本では高度成長期の国土開発の波に乗り,米国Calfornia州のStanford大学を中心としたハイテク産業の集積地Silicon Valleyを模して,現つくば市に研究学園都市が作られました.東京教育大学を改組して筑波大学として移転するとともに,おもに工業技術院傘下の国立試験研究機関を核として,ハイテク産業を集めようとしたのです.
ここでの産学協同による新産業の創設の成果は,研究学園都市の完成後20年以上経った今でも定かではないにもかかわらず,国内では同じような考えから,いくつかの同じような構想が形を変えて提案・実施されました.実現したものや計画中のものを含めると十指に上ります.
京阪奈(京都・大阪・奈良)にまたがる関西文化学術研究都市や北九州の旧筑豊炭田地帯の再生をめざした飯塚地区などが大規模な情報産業の集積地としてできあがりつつあります.また,細かいものでは表1に示すように,いろいろな地域が旧来の製造業中心の産業振興では中国などの外国の安価な労働力と対抗できないため,情報産業やナノテク,バイオテクなどのハイテク産業に活路を見い出すそうとしています.なぜか「何々パーク」という名称が多いようです.
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