中国人は友人関係を非常に大切にします.田中角栄元首相にこだわり続けるのは,国交回復をした古い友人だからです.
中国に派遣された人やその家族は,極力多くの人と付き合い,カタコトでよいから中国語を学び,中国の文化や考え方を尊重するのがよい,というのが新漢電脳の林社長の助言です.
できれば,台湾人を間に入れて,大陸の中国人の考え方や行動様式を知り,日本や米国の仕事に対する方式を台湾人を通して相手に伝えるのが,誤解に基づくつまらない紛争を避けるためにはよい方法である,とも教えていただきました.
デモがあって危険だから,街に出るときに極力日本語を使わない,あるいは家に引っ込んでいるというのは愚策です.日本人だけで群れずに中国人の友人と出歩くようにしたほうがよいでしょう.危険からは友人が守ってくれます.
筆者も,上海で中秋節のときに宴会場からホテルまで用意してあったバスに乗らずに,街を見ながら歩いて帰りたいと言った際,繁華街の大通りを歩いて一直線なのに,友人を危険な目に逢わすわけにはいかない,と先方の人がいっしょに付いてきてくれた経験があります.
4半世紀以上にわたる対中活動の経験からも,中国人は2回目に会うと「朋友」と言い,3回目に会うと「好朋友」,一年ぶりに会うと「老朋友」と言います.本当にそう思っているわけではないと思いますが,友人関係の上に仕事関係が成り立つというのが,中国人の基本的な発想です.
一衣帯水とはいえ,同じ漢字や箸を使うなど表面上の文化ではなく,その基礎となっている考え方を相互に知ることが必要でしょう.日本では戦前の知中派がことごとく引退してしまいました.中国も周恩来首相など日本留学組はすでにいません.
日本の政治家や企業家も中国のことをあまり知らないで発言や行動をしています.中国の若者も同じことです.文化の伝達の断絶が今回の事件の背景に潜んでいると思われます.
集団買春や街中で酔っぱらって大声を出す,留学生が悪ふざけをする,金持ちぶって現地の人を見下す,などの行為は,日本で外国人でなく日本人が行っても気分が悪いものです.中国でなくても,謹むのが常識でしょう.
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