今回紹介するのは,日本からのドイツへの玄関口であるフランクフルト市から南西40kmほどにある,マイン川とライン川の合流点に位置するマインツ市(Mainz)です(図1).
人口は約18万人ですが,全般に生活水準も高いうえ,歴史的に名高い大聖堂があり,都市の規模の割には有名な都市です(写真1).
成田から空路で約11時間,フランクフルト空港に降り立つと,マインツまでは空港直結の列車で35分,車だとアウトバーン経由でやはり35分程度です.
ところで,フランクフルト空港は,ヨーロッパの主要ハブ(乗り継ぎ)空港の一つですが,設備は古く,ゲートの案内板がわかりにくいうえに,大規模なため,乗り継ぎにはけっこう苦労します.さらに乗り継ぎ時間が1時間程度だと,チェックインしている荷物が間に合わないケースが多いように思います.筆者の場合,フランクフルトで乗り換える場合は,2時間は取るようにしています.
また,通関して(といっても,パスポートをちょっとチェックするくらいだが)到着ロビーに着くと,大きなポルノ・ショップが店を構えており,妙にヨーロッパに来たことを実感させられます.
マインツは,大聖堂を中心に中世の趣を残す街ですが,実際には第二次世界大戦で爆撃を受け,大部分の建物が破壊されているため,多くが大戦後に建て直されました.大聖堂も例外ではなく,戦後復興建築されたものです.
ドイツと言うと,ライン川沿いの「古城めぐり」で有名ですが,大部分の中核都市はマインツ同様に破壊されたそうです.日本も第二次大戦中,多数の都市が爆撃されていますが,ドイツの場合は地上戦もあったので,より徹底していたようです.
大聖堂前の広場ではさまざまな催し物があり,ビール祭りやワイン祭り(けっこう有名だそうだ)などで賑わいます.夏場はライン川河畔のカフェが賑わいます.とくに5月〜7月は日が長く,夜10時過ぎまで足元が明るく,高緯度にあることを実感させられます.もっとも,反対に冬場はどんよりとした空と底冷えのする寒さに身震いします.
今回紹介するソフトハウスは,このマインツに本社を置くSYSGO社です(写真2).
SYSGO社は1991年にCEOのKnut Degen氏を中心に3名のエンジニアで設立されたリアルタイムOSの開発,販売を行っている会社です(写真3).フランス,スウェーデン,チェコに関連会社があります.
当初は,米国製のリアルタイムOSの代理店として設立され,筆者も前職で,この製品の日本の代理店として付き合いを開始し,以来15年の長きにわたり交流を続けています.
現在では,日本でもSYSGO社独自の組み込みLinuxのElinOSと複数OSの並存を可能にするPikeOSを販売しており,ロシアの組み込みRDBMS「リンター」の搭載を協議中です.
今回は,このSYSGO社との経験,ドイツの通信機産業某社,航空機産業を代表する某社と日本の顧客の合弁会社との経験を基に,ドイツのソフトウェア産業事情を紹介します.
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