フジワラヒロタツの現場検証(55)

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プレゼン現場にて
 プレゼンテーションをする機会が増えてきていますが,どのようになさっていますか.

 たいていはノートパソコンを,やおらプロジェクタに接続してプレゼンを始めることになるかと思います.

 技術者のスキルとしてプレゼン能力が重要になってきている昨今,プレゼンはスマートにこなさなくてはなりません.

 さりとて,どうもプレゼンというもの,TVの生放送や演劇の上演にも似た緊張がともないます.これ1回の勝負.リアルタイムでの作業は,プログラマの仕事には普段ない種類のストレスです.通常は,デバッグもなし一発勝負のプログラミングなんてことはまずありえませんから(ないですよね?……笑).

 ここに悲喜劇が生まれます.まず襲い来るのはマシンの不調.マーフィーの法則よろしく,持ち込んだノートパソコンのバッテリ切れから始まり…….プロジェクタ接続というものは一発でうまくいった試しがありません.

 ノートパソコンの内部ディスプレイ(LCD)と外部ディスプレイ(プロジェクタ)の切り替えでまずトラブります.ノートパソコン用の特殊キーを押下しながらファンクションキーを押して切り替えるという操作が,聴衆を目の前にしてしまうと,ついプロジェクタが走査周波数に追随する時間を待ちきれずに何回も押下してしまい,切り替わる前にディスプレイのみのモードになってしまったりするのはよくある話です.

 最近の横長タイプのコンパクトなノートパソコンはディスプレイドライバの設定がややこしくて,事前に確認しておかないとうまく表示できなかったりもします.

 このような場合,見ているほうもとてもはらはらします.プレゼン現場に,一種緊張をはらんだ沈黙がたちこめます.

 こんなときにプレゼンする方が軽妙な話でつないでくださると,皆ほっとするものです.もっとも,こういった場合に平静に話をするのは難しいものですから,よほど話に自信のある方以外は接続が今どうなっているかなどの状況説明をするのが良いでしょう.聞いている人も経過がわかりますし,あわよくば知恵を拝借できるかもしれません.

 また,予定した時間を超過してしまうこともよくある話ですね.これについては,時計をチェックしつつ,端折るべきところは思い切って飛ばして時間内に収めなくてはなりません.

 このように,臨機応変にすることがプレゼンでは大事ですが,リアルタイム応答性が良くない筆者などは,あらかじめ話すことを要点だけでなく,全部書いておき,本番ではそれを読み上げるだけにしています.もちろん事前にちゃんと時間を計って読んでおくのです.こうすれば本番では,読み上げるだけですから安心です.棒読みにならないように,強調すべき箇所は抑揚をつけて読むように気をつけています.

 こうすれば口べたでもなんとかプレゼンをこなすことができます.もっともプレゼンする内容がちゃんとしていないといけないのはもちろんで,プレゼン上手が中身を糊塗する虚飾であってはならないことは論を待たないのではありますが…….

藤原弘達 (株)JFP デバイスドライバエンジニア,漫画家

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