フジワラヒロタツの現場検証(58)

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温泉紀行
 先日,研修を受けるため,久しぶりに東京に行ってきました.地方のソフトウェア業界の顧客は,どうしても東京が多くなってしまいます.地元でのお仕事が理想なのですが,やはり開発案件は東京圏を中心に動いています.地方のソフト会社は東京ばかりを向いていて,同じ県に属していてもお互いを知らないといわれているようです.

 そんなわけでよく上京はするのですが,最近は日帰りが多かったので,宿泊は久しぶりでした.

 せっかく久しぶりなのでインターネットで検索して,格安なビジネスプランのある日本旅館を予約しました.なかなか風情がありそうなたたずまい.しかも露天風呂まであるとのこと!

 日頃仕事に追われる憂さを晴らせそうです.唯一の不安は料金が安すぎるということだけでした.そうです,かなり安いのです.しかし,このデフレの時代です.案外掘り出し物かもしれません.期待してはいけないと思いつつも,ああ,心の奥底で温泉へのあこがれが膨らんでいくのを止められません.

 仕事をある程度片づけて新幹線に飛び乗り,宿に到着したのは夜11時頃でした.期待に胸を膨らませて着いた旅館は…….

 いや,それなりに風情のある宿ではありました.しかも,古き時代を思い出させる,テーマパークのような趣さえあります.昔の日本人って,こんな狭いところで暮らしていたんだろうなぁとか,こんな狭い土地に,まるで部屋が複雑にレイアウトされているのは,盆栽的だなぁとか.

 露天風呂は,大人が2人入るといっぱいの感じで,なぜかマイペット(あの,家庭用洗剤です)が置き忘れられた体で岩の上に置いてあります.きっと毎日掃除をする清潔な宿なのでしょう.そういえば部屋にもマイペットの香りが漂っていました.清潔さはなによりありがたいもてなしです.

 雑念を遮断すべく目を閉じると,屋外の風呂ならではの冷たい空気が心地よいです.しばし,露天風呂につかった後,5人はゆったりと入れそうな大浴場に戻ると,どうやら大阪からの出張者らしき男たちががどやどやと入ってきました.若いのなどは,なかなかむちむちした筋肉の持ち主で,しきりにCD-Rがどうとか年輩の,これまたがっしりした部長風情の方に言っています.関西の言葉は,商売にとても向いているなぁと裸の男たちを眺めながら感心することしきりです.

 なんだか一気にわびさびの心も低減し,早々に部屋に戻ってメールを読もうとノートPCを立ち上げました.すると,いきなりハードウェアウィザードが走り出してPHSカードのドライバを探しはじめるのです.そういえば,前回使った後,またOSの再インストールをしていたのでした.大丈夫でしょうか.なんとかうまく認識してほっとしたのもつかの間,プロバイダにつながりません.そうだ,ADSLの導入にともなって,もっと安いところにしようと,プロバイダを替えていたのでした.

 露天風呂で一応のんびりしたのもつかの間,盆栽的日本旅館のビジネス和室で,深夜,パソコンの環境設定をしていたのです.

藤原弘達 (株)JFP デバイスドライバエンジニア,漫画家

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