フジワラヒロタツの現場検証(67)

目次 戻る 

周期
 寒い日が続いていますが,風邪などお召しになっていませんでしょうか.凍てついた季節,まどろみの布団から抜け出して出社するのは本当に辛いものです.しかも仕事による慢性的な睡眠不足に加え,ストレス発散のために時折飲みに出ちゃったりするものですから,なおさら自分の首を絞めています(夜になると目が冴えるものですから,ついつい朝の事情を忘れてしまうというわけで……).

 季節も,日本経済も,ついでに自分の懐も冬の時代.せめて仕事だけは順調に……と思うのですが,やはりそうはいきません.うまく動かないプログラムを前に,思わず嘆息してしまいます.筆者は近頃でこそ物事を前向きに考えるようになってきましたが,SF好きでマンガ描きであり,コンピュータもハードじゃなくてソフトを選んだことからもおわかりになるように(?!),悪いほうに物事を考えるほうが得意です.

 冬,寒さに身をさらして鉄道のレールを凝視しつつ通勤電車を待っていたりすると,思わずそういった「本性」がむくむくと身をもたげてきます.

 こんなにデバッグが進まないのはやはり才能がないからなのだ,やはりこの仕事は向いていないのだと,何もかも嫌になって,転職する自分を空想していきます.ハンバーガーショップでひたすらハンバーガーをつくる自分,古本屋で働く自分,年金暮らしをする自分(さすがに年金をもらえるのはまだまだ先の話).なんてすばらしい自分でしょう! もうそこにはバグ表も,単体テストも,なぜかいつも線表から二日遅れになる進捗報告すらないのです!!

 こういった「へこむ」時期は,筆者にとって周期的に訪れるようで,そのたびに自らの才能のなさと適応できない職業生活を思って絶望的な気持ちになります.青雲の志に燃えて購入したソフトウェア工学の冊子群は「序」と「日本語版に向けての序」を読んだだけで日経**の下に埋もれていますし,目の前のデバッグに追われつつの食べ物は,カップラーメンとカップうどん,牛丼とカツ丼,カレーライスとライスカレーばかりです.

 ソフトウェアのテスト工程の打ち切り方の一つに,テストで出たバグの個数をプロットしていき,その個数がある程度落ち着いてきたならば品質が安定したと見てテストを終えるという考え方があります.はて,筆者の品質は安定しているのでしょうか? いつも慣れたあたりでほかの分野に手を出して,初期不良が多いテスティング初期のバグ件数をキープしたまま,安定期にはほど遠い職業生活を繰り返すのではありますまいか.

 しかし最近,良いストレス解消法を見つけました.夜中にこっそり,自宅の皿洗いをするのです.皿洗いはやればやっただけ,確実に成果が上がります.決してデバッグのように後戻りしないのです.これは素晴らしいことで,デバッグではとうてい得られない達成感を獲得することが,才能のないプログラマ風情にも存分に味わえるのです! さらには,コビトさんがきたコビトさんがきたと家人が喜んでくれるという,これまたプログラマには滅多にない,感謝まで味わえることも確実なのです.

藤原弘達 (株)JFP デバイスドライバエンジニア,漫画家

Copyright 2003 藤原弘達


Copyright 1997-2017 CQ Publishing Co.,Ltd.