1. ディジタル放送システムとは
放送は,社会に不可欠な情報インフラとして20世紀後半に広く発達しました.しかし,これまでの放送はアナログ技術をベースとしたものでした.ところが,1990年代に入って,情報技術の発展を背景に衛星波,地上波,ケーブルなどによるディジタル放送システムの開発が急速に進んできました.
そして日本では,1996年からCS(Communication Satellite)ディジタル放送が開始されています.また,2000年12月からはBSディジタル放送が開始され,2003年からは関東などで地上波ディジタル放送も開始される予定です.
すなわち,今後数年間のうちに放送されるコンテンツはディジタル情報となり,視聴者は高品質のマルチメディア情報を受信し利用できるようになります.そして,ディジタル放送の受信機は,ディジタル圧縮された高品質な映像,音声を扱うだけでなく,データ放送コンテンツとしてのマルチメディア情報をインタラクティブに提示・操作・処理するインテリジェントなコンピュータ機能を有する端末となります.
また,モデムやIEEE1394などのネットワーク接続機能も装備されています.さらに,ハードディスクなどの大容量の記憶装置と組み合わせてホームサーバとして機能させることにより,視聴者は放送されたディジタルコンテンツをいつでも簡単に利用し,楽しめるようになります.
以降では,インターネットと並ぶ21世紀の主要な情報インフラであるディジタル放送システムの基本的な枠組みについて説明します.
1.1 ディジタル放送のシステムイメージ 1.2 現在の開発動向 1.3 ディジタル放送のサービスイメージ 1.4 システムモデル 1.5 プロトコルスタック 参考文献 |
Copyright 2000 吉村 俊郎