● オーバサンプリング・ロールオフフィルタ 次に,ディジタル信号処理によるロールオフフィルタの実現について述べる.一般のシステムでは,シンボルレートfTとサンプルレートfs には,fs >fT なる関係がある.この場合,単純に図10のようにシンボルをサンプルレートfsでサンプリングしてロールオフフィルタを通すとアイが開かない.
そこで,図11に示すように零補間,すなわちアップサンプルしてフィルタリングするとアイが開く.これはちょうど,マルチレート信号処理におけるインタポレーションと同じ原理である.このように,インタポレーションを利用して実現するロールオフフィルタを,ディジタル通信の分野では一般にオーバサンプリング・ロールオフフィルタと呼んでいる.
● ルートロールオフフィルタ 通信システムでは,一般的に送信側ばかりでなく,受信側でも雑音除去の目的などのために,フィルタリングを行うことが一般的である.このように,送信・受信ともにフィルタにより帯域制限を行う場合は,それぞれのフィルタの振幅特性M(ω)は, M (ω)=|H (ω)|1/2 (1.7) となり,このようなフィルタをルートロールオフフィルタと呼んでいる. 磁気記録システムなど,再生側にフィルタを有さない場合は,記録時にフルロールオフフィルタを通して帯域制限を行う場合もある. 以降の内容は本誌を参照ください
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