C++の能力を拡張するライブラリとしてテンプレートライブラリが広まりつつある．テンプレートライブラリは，たとえばプログラマが頻繁に使うデータ構造であるリスト構造を簡潔に記述でき，さらにそれを走査し，ソートするなどの機能をもつ．これによりプログラムを短くするだけでなく，実装時のバグを減らすという多大な効力が期待できる．

　テンプレートライブラリの実装系としては，すでに多く使われているSTLにくわえ，最近ではBoostが注目を集めている．Boostはテンプレートライブラリとして優れており，ユーザー数も増加しつつあり，STLに次ぐ第2位の座を占めることも予想される．

　そこで今回の特集では，これらC++で使えるテンプレートプログラミングについて解説する．また，テンプレート機能のないC言語でも，マクロやライブラリを用いることにより，テンプレートライブラリで提供されるコンテナ機能を実現できる．C言語プログラマにも本特集は見逃せない．

第1章 C++プログラムを簡潔に，美しく，そして高品質に 　
テンプレートプログラミングの世界 宮坂 電人

第2章　 コンテナから正規表現，関数オブジェクト，数学ライブラリまで 　
新世代テンプレートライブラリBoostの全貌 矢野 越夫

第3章 汎用的なデータ構造やアルゴリズムを構築するために 　
標準テンプレートライブラリSTLの概念，そして再考 後藤 正治

第4章 使い慣れた言語で，今日から役立つ 　
C言語で使えるコンテナライブラリ 曽田 哲之

Appendix Windows環境におけるテンプレートの現在 　
マイクロソフトのSTLサポート状況 中山 宏之