- 電子メールシステムの概略
- 電子メールシステムの全体像は,図1のようになっています.郵便のシステムと対比しながら見てみましょう.
まずメールを作成して,それを送信する送り主と,そのメールを受信する受け取り主がいます.これは電子メールでも郵便でも同じです.
送り主は,メールソフトを使ってメールを作成します.メールには,相手に伝えたい内容と,相手の名前,自分の名前を書きます.これも便箋に手紙の内容と相手の名前,自分の署名を書くことと同じですね.
送り主はメールを書き終わって,メールソフトに送信を指示します.するとメールソフトは書き上がったメールを封筒に入れます.そして受け取り主へあてて送信をするようにメールサーバに依頼します.これは便箋を封筒に入れて,相手の住所と名前,自分の住所と名前を書いてポストに投函することに相当します.
送り主の手を離れて,サーバに渡されたメールは,インターネットの中を伝送されていきます.郵便の場合は,あちこちの郵便局を中継して,受け取り主の家の郵便受けに配達されます.受け取り主は,郵便受けを定期的に見に行って,郵便が届いているかどうかを確認します.そして無事郵便が受け取り主に配達されます.
メールの場合もまったく同じで,受け取り主の家の郵便受けに相当するサーバがあり,最終的にそのサーバまでメールが伝送されてきます.そして,受け取り主は定期的にサーバにアクセスして,メールが届いているかどうかチェックします.メールが届いていればメールソフトがサーバからメールを取り出して,受け取り主が無事メールを見ることができます.
このようなインターネットにおける電子メールシステムは,メールを郵便受けに送り届けるプロトコル,郵便受けからメールを取り出すプロトコル,どの郵便受けにメールを届けたらよいかを調べるしくみなどからなっています.
〔図1〕インターネットのメールと郵便のしくみ
- メールの主を特定するメールアドレス
〔図2〕メールアドレスのしくみ
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- IPでは,IPパケットの送信元とあて先を指定するためにIPアドレスというものがあります.
インターネットに接続されているコンピュータには,重複のないように原則として1台ずつ個別のIPアドレスが割り振られています. 重複がないので,インターネットの中の1台のコンピュータを特定することができるわけです.もし特定の1台を指し示す方法がなければ,
インターネットの中の希望するコンピュータと自由に通信することはできません.
メールシステムでも同様に,インターネットの中で唯一となるようなアドレスがあります. これがメールアドレスです.インターネット
のメールシステムでは,図2のようにドメイン名とユーザー名を組み合わせたものが使われます.
これも郵便に例えると,メールのドメイン名は住所に,ユーザー名はあて名に対応します. さて,メールのドメイン名とは,一体何の住所になるのでしょうか.郵便の場合,住所は受け取り主の住んでいる家の場所を表しているのですが,
これは配達すべき郵便受けの住所とも考えられます.郵便局から見れば,その住所にある郵便受けにさえ郵便物を配達すれば, 最終的な受け取り主に郵便が届くことが保証されます.
インターネットの場合もまったく同様です.メールサーバのメール配送システムは, そのドメイン名の郵便受けに相当するサーバにさえメールを届ければ,受け取り主にメールが届くことになります.
郵便受けから受け取り主までのシステムがどうなっているかは,メールサーバのメール配送システムとは関係なくなっています. つまり郵便受けから受け取り主までのメール伝達のしくみは,メール配送システムから見れば隠蔽されているわけです.
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