ネットで学ぼうインターネット入門

連載 第2回   ルーティングを体験し理解する


 本稿では,インターネットのしくみをわかりやすく,実際にコンピュータを動かして,身体でインターネットを理解できるように解説を進めています.  前回は,TCP/IPソフトウェアを導入する利点や,インターネットの中心技術であるルーティングのしくみについて解説しました.今回は,このルーティングを実際のコンピュータを使って体験して,ネットワーク管理の基本的な方法について説明したいと思います.  
 
 SLIPを使った実験
● 実験用ネットワーク
 今回は,図1に示すようなネットワークを構築しました.コンピュータA,B,Cは,RS-232-Cを利用したSLIPという方法で接続します.SLIPとは,Serial Line Internet Protocolの略で,その名前のとおり,シリアルインターフェースを使ってTCP/IPを利用するためのプロトコルです.このSLIPを使うことにより,RS-232-C上にTCP/IPのデータを流すことができます.
 SLIPのほかにも,シリアルインターフェースを使ってその上でTCP/IPを利用するプロトコルとして,PPP(Point to Point Protocol)などがあります.このPPPは,ダイヤルアップによるインターネット接続でよく使われているプロトコルです.
 PPPは,SLIPの機能を拡張してあり,動的にIPアドレスを設定したり,接続相手をパスワードによって認証したりするしくみが追加されています.
 SLIPを使うためには,RS-232-C用のSLIPドライバソフトウェアが必要になります.Windows95/98やWindowsNT/2000,Linux,FreeBSDといったOSには,SLIPドライバが付属していますので,このドライバをインストールして設定するだけで,SLIPが使えるようになります.
 ただし,Windowsでは,RS-232-Cのクロスケーブルをコンピュータどうしでつないで,直接通信することはできず,モデムを経由した接続しか行えません.SLIPドライバのインストールに関しては,コラムを参考にしてください.
 図1のコンピュータBは,コンピュータAからコンピュータCへのIPパケットの中継を行います.しかし,Windows95やWindows98では,IPパケットを中継するためのIPフォワーディングの機能を持っていないため使用することができません.Windows系のOSを使う場合は,WindowsNT 3.5/4.0か,Windows2000を使用してください.
 しかし,コンピュータAやコンピュータCといった,ネットワークの末端となるコンピュータでは,IPフォワーディングを行いませんので,Windows95/98でもかまいません.


(図1) 今回の実験ネットワーク
TCP/IPのパケットは、RS-232-C上ではSLIPという形式に変換されて通信が行われる

 
 


 CQ出版 TOP OPENDESIGN TOPOPENDESIGN Online目次に戻る   
Copyright CQ Publishing Co.,Ltd. 1997-2001