ネットで学ぼうインターネット入門

連載 第6回  ポート番号とサービス


 遠くはなれたコンピュータとも通信ができるネットワーク層の仕組みについて,これまで5回に渡って解説してきました.インターネットでは,ルータと呼ばれる装置がパケットを中継することによって,机の上に置かれたパソコンから全世界のパソコンと通信することができます.
 そこで,ネットワーク層の仕組みを理解したあとの次のテーマとして,このネットワークを使ってさまざまなサービスを提供するしくみについて解説していきます.
 今回は,1台のコンピュータがさまざまなサービスを同時に提供するしくみであるポート番号について解説します.


 IPアドレスの役割の復習
 郵便では,図1(a)のように住所を指定すれば郵便物を送り届けることができます.同様に,インターネットの住所にあたるものがIPアドレスで,IPアドレスを指定すればインターネット上のコンピュータにデータを送ることができます.
 インターネットに接続されているすべてのコンピュータには,32ビット整数のIPアドレスが割り振られています.正確には,コンピュータのインターフェースにそれぞれIPアドレスが割り振られています.
 どのコンピュータにも別々のIPアドレスが割り振られるため,1つのIPアドレスを指定すれば,インターネットの中で1つのコンピュータを特定することができます.
 インターネットでデータを送るときは,図1(b)のようにIPアドレスを使って送り先のコンピュータを特定します.ほとんどの場合,データを送られたコンピュータは,データの送り元のコンピュータに対して何らかのデータを送り返します.このとき,どのコンピュータから送られてきたのかがわからないと送り返すことができません.
 このためデータを送るときには,送り先のコンピュータのIPアドレスと送り元のコンピュータのIPアドレスを一緒に送ります.
 すなわち,図2のようにして,データに対して,送り元と送り先のIPアドレスを追加します.これはちょうど,送り主の住所と送り先の住所を封筒に書いて,封筒の中に手紙を入れて送るのと同じです.
 言い換えれば,送り元と送り先のIPアドレスを書いたパケットに,送りたいデータを入れることになります.このように,データに対してある情報(ここではIPアドレス)を追加したものを「パケット」と呼びます.また,追加された情報をパケットのヘッダと呼びます.

 〔図1〕場所を特定することに使われるアドレス

〔図1〕場所を特定することに使われるアドレス


 〔図2〕データからパケットを作るようす

〔図2〕データからパケットを作るようす


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