連載 第8回 DNSの予備知識:ホスト名とIPアドレス変換
前回まで,IPやTCPなどインターネットが情報を運ぶしくみについて解説してきました.“IPソフトウェア”は,通信の信頼性は保証しませんが,できる限り情報を損ねないように伝送を行うベストエフォート型の通信路を提供します. そして“TCPソフトウェア”は,IPソフトウェアが確保した全世界的な通信路の上で,通信の信頼性を確保するための仕組みを提供します. また“UDPソフトウェア”は,アプリケーションが独自に信頼性確保のしくみを実装できるようにするために,IPの通信路をそのままアプリケーションが使うしくみを提供します. 今回から,このようなTCP/UDP/IPソフトウェアより一段,上位の層の話に移ります. ホスト名からIPアドレスへの変更 通常,私たちがインターネットで目にするのはURLといわれる文字列です.URLにはIPアドレスではなく,文字列であるホスト名でコンピュータを指定します.では,このホスト名は,どのようにしてIPアドレスに変換されているのでしょうか.そこで,ホスト名からIPアドレスで変換するしくみを解説します. ●ホスト名とは 図1は,WebブラウザのURL入力テキストボックスの例です.前回にURLの解説を行いました.URLは,インターネット上にあるどこのコンピュータのどのポートに待ち構えているアプリケーションに対し,どのようなプロトコルを使って通信して,どのようなファイルにアクセスしたらよいかを表すものでした. URLのうち//と/の間の部分が,ホスト名と呼ばれる部分になります.WebブラウザがWebサーバをアクセスするときに,どのような方法で,どのサーバの,どのファイルにアクセスするのかを表す方法がURLですが,この「どのサーバ」を指定するのが,ホスト名の役割です. ホスト名とは「インターネット上のコンピュータに付けられた人間にわかりやすい名前である」という説明がよくされますが,これは厳密には正しくありません.正確には, 「インターネット上のコンピュータに付けられたIPアドレスを人間が覚えることは大変であるために,そのIPアドレスにつけた人間にわかりやすい名前である」となります. 〔図1〕URLのしくみ