第2特集 急速な普及を始めたDVDの世界

第1章
UDFの詳細とWindowsにおける
DVDの制御方法

(株)日立製作所 加藤 和利

DVD-RAMの仕組み

● ドライブ装置としてのDVD-RAM
 DVD-RAMドライブ装置はCD-ROM,CD-Rのデータをリードできるように作られています.DVD-RAMドライブ装置はメディアがマウントされたとき,メディアを識別し,メディアにあった初期設定をするため,メディアをマウントしてから,Readyになるまでの時間が長くなっています.

●メディアとしてのDVD-RAM
 DVDのファイルフォーマットにはOSTA(Optical Storage Technology Association)が策定したUDF(Universal Disk Format)規格が採用され,DVDファミリー内での互換性は一応確保されるようになりました.
 しかし,CD-ROMのフォーマットは,ファイルシステムが異なれば互換性を取れない場合があります.ISO9660はCD-ROMのファイルシステムとして最も基本的なフォーマットですが,ISO9660にもレベル1,2,3が存在します.
 レベル1とレベル3の主な違いは,使用可能な文字の種類とファイルの分割書き込み(パケットライト)です.そのためDOS環境ではレベル1しか扱えないものもあります.また,マイクロソフト社がロングファイルネームを採用するために作ったJolietは,ISO9660と共存可能ですが,ディレクトリの階層,ロングファイルネームに注意することが必要です.
 図1にDVD-RAMの物理フォーマットの概要を,図2にDVD-RAMの論理フォーマット(ボリューム構造)の概要を,図3にDVD-RAMの論理フォーマット(ファイル構造)の概要を示します.

<図1>DVD-RAMの物理フォーマット
Dvd1.jpg (102562 バイト)

<図2>DVD-RAMの論理フォーマット(ボリューム構造)
Dvd2.jpg (72053 バイト)

<図3>DVD-RAMの論理フォーマット(ファイル構造)
Dvd3.jpg (80966 バイト)

● CD-ROMとはどう違う?
 CD-ROMとDVD-RAMの違いを図4に簡単に示します.図からもわかるように,DVD-RAMのフォーマットはCD-ROMのフォーマットを包含している形になっています.ファイルをアクセスするルートは異なりますが,同じ位置に書かれたデータをアクセスすることが可能となっています.
 現状としては,DVDメディアの中にも,UDFファイルシステムを採用しているものと,UDFとISO9660のブリッジ形式のフォーマットを採用しているものがあります.後者であれば,UDFをサポートしていないOSでもデータをリードすることが可能です.その場合,リードはできますが,ライトはできません.また,UDF形式のメディアとブリッジ形式のメディアは,ボリューム認識例を確認することによって見分けることができます.

UDF=DVDファイルシステム

 UDFは,DVDを対象に,異なるOS間でのデータ交換を可能にすることと,光ストレージ各種で共通にデータを扱うことを可能にすることをコンセプトとして規格化されました.対象メディアは,DVD-ROM,DVD-Video,DVD-Audio,DVD-R,DVD-RAMやDVD-RWなどのDVDファミリーです.
 従来は,民生機器ではデータをファイルとして扱うことは考えなくてもよかったのですが,PCとDVDプレーヤとの間で共通にVideoを再生しようという思いを実現するためのファイルシステムとしてもUDFが採用されています.
 図5にDVDファミリにおける規格の抱合関係を示します.

UDFの制御構造

 DVD-RAMの場合におけるUDFファイルシステムの基本的な制御の流れの例を図6に示します.
 UDF論理制御部は,(1)UDFロジカル主制御部, (2)UDFデータ操作部,(3)空間ビットマップ管理部,(4)DVD-RAMドライバ,で構成されます.各構成の機能概要について説明します.

● UDFロジカル主制御部
 システムからのコマンドを受け付け,コマンド単位で,論理データ → 物理メディアデータの変換,または,物理メディアデータ → 論理データへの変換を実行します.
(1) メディアのマウント/アンマウント機能
 メディアのマウントは,メディアの記録情報より,UDFでフォーマットされているメディアであることを判別し,メディアをマウントします. アンマウントは,メディアのマウントを解除します.
(2) メディアベリファイ機能
 物理メディアの記録情報をチェックします.
(3) ボリューム属性取得/設定機能
 ボリュームラベルやボリュームサイズなどのボリューム属性情報を取得,または,変更します.
(4) 属性取得/設定機能
 指定されたファイルの属性情報を取得,または,設定します.
(5) ルックアップ/リリース機能
 ルックアップ機能は,指定されたファイル名に対するファイルを実際にアクセスするための準備をし,アクセスするためのハンドルを返します.
 リリース機能は,ルックアップ機能で取得したアクセスするためのハンドルを開放します.
(6) ファイルの生成/削除
 指定されたファイル,またはディレクトリを作成,削除します.
(7) ファイルリード/ファイルライト機能
 指定ファイルのコンテンツデータをリードまたはライトします.
(8) レングス設定機能
 指定されたファイルのコンテンツデータサイズを設定します.
(9) アクセスチェック機能
 指定されたファイルのアクセス権をチェックします.
(10)ディレクトリエントリリード機能
 指定されたディレクトリのディレクトリエントリ リストをリードします.
(11) 名前変更機能
 指定されたファイルまたは,ディレクトリの名称を変更します.
 また,格納先ディレクトリを移動します.

以下略


copyright 1999 加藤 和利