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SSEに対応したOpenGLカード

GVX1の詳しいベンチマークのデータ
VX1の詳しいベンチマークのデータ
DirectXの詳しいベンチマークのデータ

 3D Labs社といえば,OpenGLカードの老舗です.3D Labs社では,ハイエンド製品のOxygenシリーズ,ミッドレンジからローエンドをカバーするPermediaシリーズと,幅広い製品ラインナップを持っています.
 ハイエンド製品はOxygen GMXと呼ばれる製品で,PCダイレクト販売大手であるDELLのNTグラフィックワークステーションに搭載されたことで,一般のPCユーザーにも知名度が上がったのではないでしょうか? 3D Labsというベンダーを全然知らないと言われる方でも,PC関連の雑誌広告などで一度は見かけたことがあるかもしれません.
 ローエンドでは,一般向け3Dカードとして話題を集めたPermedia2チップを搭載したビデオカードがもれはやされたこともあって,3D Labsというグラフィックメーカーを記憶に留めている方も多いことでしょう.

 これまで,プロフェッショナル・ハイエンドマーケットではOxygenシリーズが高速なOpenGLカードとして不動の地位を確立しています.Oxygenシリーズは3D Labs社が得意とする,GLINTチップが搭載されており,今は亡きNICOGRAPH(日本最大のCGトレードショウ)でも,たいてのブースがINTERGRAPHのNTマシンか,Oxygenを搭載したNTマシンを使ってデモしていたのが印象的です.
 Autodeskの3D Studio MAXやSoftimage,LightWave 3Dなど,たいていのブースでも,OpenGLを安定して高速に動かそうとすればOxygenぐらいしか選択子がなかったような気がします.

SSEに最適化されたVX1,GVX1

 その3D Labs社から,GMXの下位機としてVX1,GVX1という製品が発表されています.この製品は,3D Labsとしては非常に野心的な構成の製品となっています.

 これまでの3D LabsのOpenGLアクセラレータはできるだけCPUに負荷をかけずに3D表示を行おうとする製品コンセプトだったのです.つまり処理の大部分をGLINTチップが担当するというものです(簡単に言うならSCSIカードのディスプレイカード版というところでしょうか?)
 ところが,今回のVX1,GVX1はIntelのPentium IIIに搭載されたStreaming SIMD Extention(SSE)を積極的に利用します.CPUにもOpenGLの処理を担ってもらうことによって安価で従来同様のパフォーマンスを得ようという試みです.グラフィックチップがすべての処理を背負い込まない方法で,従来のパフォーマンスが維持できるのでしょうか?

 CPUのSSEなどを使うということは,今後もCPUが高速になることによる,速度向上が期待できるでしょう.購入した側も,このことによって永くビデオカードが愛用できるというものです.

驚き!GVX1のパフォーマンスは
Cdrs-04において160超

 GVX1のパフォーマンスを表1に示します.詳しいデータはこちら

<表1>
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 本稿執筆時に最高パフォーマンスを出している製品ほどではないにしても,なかなかの健闘ぶりです.この価格で,これだけのパフォーマンスが出ていれば十分,買いといえるでしょう.
 つまり,コストパフォーマンスが非常に優れているといえます.

 Viewperfも6.1.1になってCDRS-04が消滅してしまいました.今後はProCDRSが評価の基準になるのでしょう.過去の製品との比較のためCDRS-04で測定してみると,GVX1はなんと160を超えています.3Dソフトを使った感じも非常に良好です.チップ構成はGLINT R3とGLINTGamma G1です.放熱ファンが搭載されています.
 ただ,残念なのは,SSEを使った場合とそうでない場合とで大きな差がないことです(デュアルプロセッサにすると差がでるのかもしれません).実際にはドライバがSSEを使っているのかもしれませんが,見える形で効果が出ていないようです.逆に,そう考えると低速なCPUでもこれぐらいのパフォーマンスは出てしまうということでしょうか?

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VX1はGLINTGamma G1の機能をSSEで実現

 VX1は写真を見てもわかるとおり,GVX1にあったGLINTGamma G1チップが搭載されていません.GVX1の廉価版と考えていいと思います.
 Gammaはジオメトリエンジンで,GLINT R3と連携してOpenGL画像を生成してくれます.VX1はGLINT Gamma G1の機能をPentiumIIIのSSE命令で実現した製品です.

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 その根拠は,GVX1と比べて,表2にあるようにSSEを使った場合とそうでなかった場合に大きな性能差が確認できるためです.

<表2>
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 さすがに汎用CPUのマルチメディア命令でジオメトリを処理しているので,専用チップを使ったGammaほどの性能は提供できないようです(これもデュアルプロセッサにすると差がでるのかもしれません).
 廉価版OpenGLとしてはなかなかのスピードを提供していると思えます.詳しいデータはこちら

Direct 3Dでも驚くべき速さ,GVX1

 驚くことにGVX1はDirect 3Dのアクセラレーションにも対応しています.Oxygenという製品の歴史上,Direct 3Dとは無縁のように感じます.しかし,GVX1を使ってわかったことは,このイメージが払拭できるほど優れているということです.
 詳しいデータはこちら

<図1>
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 図1はDirect X 7βをインストールして3D Markベンチマークを走らせた結果です.Direct 3DはCPUにジオメトリを計算させていますが,未確認ではありますが,これをGVX1ではGLINTチップで計算しているのでしょうか?

 手元にある”セガラリー”の“カープロファイル”がなめらかに動くカードをVoodoo2とTNT2以外に見たことがないのですが,GVX1はこれらに優るとも劣らぬフレームレートが体感できました.
 もちろんVX1もDirect 3DはGVX1ほででないにしろ非常に良好に動作します.

● まとめ

 CDRS-04で160というスペックを持つワークステーションが安価なPCに3D Labsのカードを追加するだけで手に入れられるのです.なんといい時代になったのでしょう.しかも,GVX1はCGモデラーとして使っても快適ですし,ゲームカード?(ちょっと高いですけど・・・)としても満足できるすばらしいビデオカードといえると思います.

 たとえばSGI社のNTマシンはOpenGL性能は,素晴らしく速いのですが,GDIやDirect 3Dはそれほど速くないので,購入時にはOpenGLしか使わないというような,”清水の舞台から飛び降りる”ような決断が必要です.
 今回評価した3D Labs社の製品は,なんでもPCでやりたいが,とにかく速くなくてはダメというユーザーにはもってこいのカードではないかと思います.


(*) 協力 日商エレクトロニクス(株)
(*) 商品の問い合わせ先:日商エレクトロニクス(株)コンピューター事業部ペリフェラルグループ http://www.tradepia.or.jp/negr/
(*) 計測時の環境; CPU-PentiumIII 600MHz マザーボードASUSTeK製P2BF

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Copyright 1999 片岡 宏仁