ケースと電源

copyright 岩村 益典 1996-1999

 パソコンのケースには,縦置きのタワーと横置きのデスクトップがあります.タワーにもデスクトップにも様々なサイズがあります.どちらかというとタワー型のほうが普及していますが,我が国ではパソコンデスクのサイズや設置場所のこともあって,デスクトップの需要も多いようです.
 最近よく使われているのは,ミニタワータイプのもので,電源容量は200Wくらいのものです.また,部品としてケースを購入する場合には,電源付きと電源なしのタイプとがあります.
 Intel社がATXというマザーボードの規格を作成したため,それまでの形状をATと呼び,区別しています.アップグレードユーザーのためにマザーボードは最新のものであってもATが市販されています.
ATXの次にNLXという規格が作られました.小型化を目的としていますが,特定なマザーボードメーカが出荷しているだけですし,ケースとマザーボードを同時に購入しないといけないという制限もあります.
最近では,小型化を狙って,MicroATXという形状の規格ができました.1000ドルパソコンや500ドルパソコンは,できるだけ原材料費を削らなければなりません.また,PCIスロットなどの数に制限が出ますが,ほとんどのユーザーが拡張することなく利用しているので,MicroATXも普及するかもしれません.
 また,システムの状態を示すためのスピーカが付いているのが普通です.このスピーカは,サウンドカードからのサウンドを再生するためのものではありません.

ケースの種類と特徴

ケースには,横置きのデスクトップ型と縦置きのタワー型とがあります.デスクトップ型では,スリムサイズやミニタイプが多くなってきています.タワー型は,様々なタイプがあります.
 自作する場合,拡張性と作りやすさからケースを選択しましょう.メーカー製のデスクトップマシンでは,マザーボードにバスのスロットを乗せたライザカードを使っていますが,秋葉原などではこのタイプのマザーボードはほとんど入手できません.  拡張スロットが多いほど多くのカードを取り付けることができますが,マザーボードにバスがないと,ケースにいくら多くのスロットがあっても使うことはできません.
 ドライブベイには,ハードディスクやフロッピディスク・ドライブ,CD-ROMドライブなどを格納します.中には,ドライブベイに取り付けるスピーカもあります.取り付けるときには,合うネジを選んでください.

ケースの種類
拡張スロット
内部ドライブベイ
スリムタイプ2〜32〜3
デスクトップ6〜83〜4
ミニタワー6〜84〜5
フルタワー8以上6以上

 ファイルベイの数は,HDD,CD-ROM,FDDと最低三つは必要です.ベイには3.5インチ用と5インチ用があります.

Green Computer

 環境保護のためにコンピュータの消費電力を抑えようという計画,Environmental Protection Agency(米国環境保護庁,現在の環境保護局)のEnergy Starに適合したコンピュータのこと.Energy Starのロゴが付いています.

電源

 電源は,普通はケースに付属しています.もちろん別売りものものあります.最近ハードディスクなどの消費電力少なくなってきているので,実用上200Wもあれば十分です.また,日本のACプラグ(2P)に変換するアダプタが必要な場合があります.
 また,同じようにケースの背面にあるサービスコンセント(たとえばディスプレイを接続する)も形状が異なります.サービスコンセントを利用する場合もアダプタが必要です.この場合は,接続する機器の容量を確認しておきましょう.

ネジ

 DOS/Vで使われているネジは,「インチネジ」という規格のものです.我が国で普通使用されているのは「ISOネジ」とは「JISネジ」といわれているものです.インチネジは入手が困難なのでなくさないようにしましょう.
最近は,いろいろな径のインチねじを集めたパッケージがDOS/Vショップに並んでいます.

Turboスイッチ

 ケースに「Turbo」書かれたスイッチがあります.このスイッチは,CPUの処理速度を下げる働きをします.ゲームなどでキャラクタの動きが速すぎる場合に利用します.

 使う人はいないと思いますが,マザーボードがこのスイッチ用のコネクタを持っていない場合は,BIOSの設定のところでCPUの内部キャッシュを無効にすることによって,処理を遅くすることができます.

ATXフォームファクタ

 ATのマザーボードには,いろいろな取り付けネジの位置があり,ケースのメーカーは,それに対応するために,たくさんの穴をあけて対応していました.しかし,ATXでは,きっちりとそれらの位置関係が決められています.
 しかし,それが外形の設計の自由さを制限することとなり,NLXやMicroATXが登場することになりました.
 ATXの特徴は電源にあります.ATのときの電源スイッチは,ACを直接ON/OFFするものでした.ATXの電源は,通常,マザーボードに通電された状態になっています.ケースの全面パネルの電源スイッチは,マザーボード上からのPWRとかPWOERのピンからつなぎ,電源のON/OFFを行います.
 これは,LANからの信号で,PCを立ち上げるようなようとのために考え出された機能です.従って,拡張ボードなどを挿しかえるときには,電源ケーブルを抜いてから作業をします.また,製品によっては,電源ユニットの背面に機械的な電源スイッチがついているものもあります.
 ATXが主流になって,Turboスイッチは見かけなくなりました.その代わりにレジュームスイッチのついた製品があります.電源スイッチを押すとれジュームになり,4秒以上押しているとOFFになるマザーボードもあります.
 このあたりは,マザーボードのマニュアルを読んで確認しましょう.


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