ハードディスク

copyright 岩村 益典 1996-1999

 パソコンでプログラムやデータを保存する外部記憶装置としてもっとも利用されているのがハードディスクです.インターフェースとしては,IDE(EIDE)とSCSIが主流になっています.どちらかというとIDEのほうが安価ですが,接続できる機器の数や種類,データの転送速度などSCSIのほうが優れています.
 使い方による分類としては,内蔵型と外付け型があり,また,ディスク部分を交換できるリームバブルタイプもあります.
 マザーボードのBIOSが古いと,8.4GB以上のIDEハードディスクを正しく認識しない場合があります.


ハードディスクの構造

 磁性体が塗布された1枚以上の円盤(プラッタ)を高速に回転させで,磁気ヘッドを使って記録再生を行います.
 ディスクは毎分数千回転しています.ヘッドはこの回転よってディスクの表面を浮いています.ヘッドはディスクに接触することなくデータの書き込みや読み込みを行います.

セクタ(Sector) 物理的に読み書きできる最小単位のことです.
シリンダ(Cylinder) 図のように,ディスクドライブは,ディスクの複数の面を複数のヘッドでアクセスします.シリンダとは,各面の同じ位置のトラックのことです.
クラスタ(Cluster) DOSや Windows95は,ディスク上の連続する複数のセクタをまとめて,クラスタという単位で管理しています.その管理情報をFATといいます.
シークタイム(Seek Time) ヘッドが目的のトラックに移動するために必要な時間のことです.

IDE(Integrated Device ElectronicsまたはIntegrated Drive Electronics,もしくはIntelligent Drive Electronics)

 PC/AT互換機でもっともよく使われている,ハードディスクのインターフェースです.つまり,世界中で使われるハードディスクの大半はIDEです.
 1986年にCompaq社とWestern Digital社によって開発されました.その後,ATA(AT Attachment)という名称になり,ANSIの正式な規格になっています.
 データ転送をCPUに依存しているので,インターフェースはシンプルな構造になるので安価に製造できます.しかし,DOS/VマシンのBIOSの制限もあって,接続できるのはハードディスクのみで,最大約500Mバイトのものを2台までしか接続することができません.

EIDE(Enhanced IDE) ,ATA

  IDEの拡張規格で,1993年にWestern Digital社が中心となって推進しました.ディスク容量の上限を拡張し,対応する周辺機器を拡張し,接続可能台数を拡張することを目的に進められました.
 速度的には,DMA転送などサポートされました.容量については,LBA(Logical Block Address)転送により,初期のころは1台あたり7.8Gバイト(63セクタ/255ヘッド/1024シリンダ)まで利用できるようになっています. その後,8.4GBの壁は破られ,10GB以上のハードディスクも手軽に使えるようになっています.これは,Windows98(Windows95OSR2)から使えるようになったFAT32(2GB以上の単一のパーティんが使える)も大きな要因となっています.
 このセクタ,ヘッド,シリンダは論理的な値で,たとえば,ヘッドは現実には2から16個ぐらいしかありません.ハードディスクの上のコントローラが変換しています.
 プライマリとセカンダリの2チャネルを使って,最大4台までの周辺機器を利用でき,ATAPIによって,CD-ROMなどハードディスク以外の機器も接続できるようになっています.セカンダリを使うときには,IRQ=15が割り当てられます.セカンダリにCD-ROMをつなげるときには,1台だけであればMasterの設定にします.
 ハードディスクの内部転送速度が上がってきたため,PIO転送では遅くなったため,クロックの立ち下がりと立ち上がりを基準としたDMA/33という高速インターフェースが主流となっています.また,1999年に入り,DMA/66というさらに高速な規格も使われるようになっています.

ATAPI(AT Attachment Packet Interface)

 IDEインターフェースを使って,ハードディスクドライブ以外のデバイスも接続できるように考案された規格です.CD-ROMやテープストリーマなどが利用できるようになっています.

SCSI(Small Computer System Interface)

 パソコンと周辺機器とを接続するインターフェースのための国際的な規格で,ANSI(American National Standards Institute:米国規格協会)で標準化が行われています.接続する機器は,ハードディスクだけではなく,CD-ROMやMO,テープストリーマ,プリンタ,スキャナなど,さまざまな機器を最大7台(Wide SCSIでは15台)まで接続できるようになっています.
 最初のSCSI(-1)の規格ではCD-ROMなどの細かな取り決めが決まっていなく,各社のCD-ROMが同じドライバで使えないということが頻発しました.今使われているSCSI2では,ほぼ各社の互換性はとれているようです.さらにシリアル接続やSCSI3の規格も決められつつあります.
 また,OSがサポートしていれば,1台のパソコンに複数のSCSIカードを取り付けることもできます.
 SCSI機器には固有のIDをつけます.一般にSCSIコントローラには7番が使われます.一般に一度決めたIDは変更できないのですが,SCAMに対応した機器では,ソフト的にIDを指定できます.

デイジィチェーン(Daisy Chain)

 SCSIや10Base2などで使われる,デバイスを数珠つなぎに接続する方法です.

SCSI2

 SCSI(-1)の上位規格で,現在のSCSIの標準になっています.ケーブルやターミネータの仕様も細かく規定されました.バスについては,より高速な同期転送を実現するFastSCSIやWide SCSIも規定されています.
 高速な転送が必要でないときはAHA1520/2920(Adaptec社)のようなPIO転送のSCSIカードを利用することもあります.Adaptec社のSCSIカードはPC/AT互換機の環境では標準的な製品ですが,ASPIといった各社のSCSIボードの違いを吸収するAPIwp公開するなどの活動もしています.

SCSI3

 SCSI2の上位規格のSCSI3仕様の中から,Wide SCSI(16ビット幅)や,Ultra SCSI(20Mバイト/秒の転送速度)が現在利用されています.Ultra-Wideでは,規格上40Mバイト/秒の転送レートが取れます.ただし,AHA2940UWなどでは,デフォルトは10Mバイト/秒の設定になっています.
 1998年の中頃から,ハードディスクの内部転送速度が向上してきたため,SCSIバスの転送速度80Mバイト/秒対応となり,接続距離の延ばすためにLVDというタイプのディファレンシャルインターフェースが使われるようになりました.通常は,PCサーバー用途です.サーバーでは1万回転の製品も使われるようになっています.

SCAM

 SCSIカードと,SCAM対応SCSI機器を接続すれば SCSI IDの設定などが自動的に行われる規格です.

ASPI(Advanced SCSI Protocol Interface)

 Adaptec社が提唱する,SCSIホストアダプタの標準インターフェース仕様です.Windows95には,16ビットと32ビットのWINASPIが標準で添付されています.


もどる