7.IBM PC


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IBM PC/ATバス




Keywords:ISA,EISA,MCA,ローカル・バス,VLバス,SIMM,POS,PCIバス

IBM PC/ATで使われている周辺拡張バスの一般的な呼び名をATバスと呼びます.AT以前のIBM PCおよびXTではCPUに8088が使われていたため,8ビット・バスで構成されていました(62ピン・コネクタ).ATになるとCPUは80286となり,I/Oおよびメモリへのデータ・バス幅が16ビットになったのと,メモリ空間が24ビットまで拡張されました.これによって,従来の8ビット・バスでは周辺の拡張が不十分なため,36ピンのカード・エッジ・コネクタを追加して写真のような形に落ち着いたわけです.こうすることでPC/XT時代の拡張ボードを混在して搭載できます.


PCシリーズが健在の頃は,メモリの拡張にもバスを利用していましたが,最近はそのようなことはしなくなりました.つまり,CPUの高速化によって,拡張バスではデータ転送速度に問題があるからです.メモリはマザーボード上のCPUバスに
SIMMメモリスロットで拡張するようになっています.うまいことに,プロテクト・モードをもつCPUの登場とメモリ管理ソフトウェアにより,大容量メモリをフル活用できます.

バスのサイズも拡張され従来の16ビットのバスをISAバス,32ビットのバスをEISAバスと呼んでいます.IBM社はPS/2用としてMCAという32ビットバスを作りましたが,普及していません。その後、VLバス、PCIバスと呼ばれる32ビットバスが一般的になりました。今後のCPUを使用したボードでは、PCIの普及がより進むものと思われます。

なお,パラレル,シリアル,フロッピ・ディスク,それに固定ディスク(IDE)といった,システムに必須のI/Oインターフェースは,拡張バスからマザーボードに含まれる傾向があります.
< copyright 1994 斉藤健司 > 

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SIMM
(Single Inline Memory Module)

ある一定の容量をもつRAMをエッジ・コネクタをもつプリント基板に納めてモジュール化した半導体メモリ製品です.一般的にエッジ・コネクタのピン配置はどのメーカのものも同一ですが,IBMなど一部の機種では変則ピン配置を採用しているため,互換性のない場合があります.

IBM PC互換機用という場合には,写真のピン配置が標準的です.IBM PCは本来メモリ・チェックをハード的に常時行うため,チェック・サムの1ビットを加えて9ビット幅のものが使われていました.しかし,コスト削減のために,8ビット幅のものに変わりつつあります.

IBM PCでは,メモリ空間がコンベンショナル(640Kバイト)とプロテクト・メモリ(1Mバイト以上)に分割されていますが,このメモリ配置はチップセットと呼ばれるLSIが行いますので,ユーザはOSあるいはアプリケーションによって要求される容量を満足するようメモリをSIMMスロットに差し込むだけです.


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VLバス
(VESA Local Bus)

VESAによって規格化された,次世代ディスプレイ・ボードのためのAT互換機用のローカル・バスです.最近は,ディスプレイ・ボードだけでなく,固定ディスク・インターフェースなどにも使われています.図のようにVLバス・コネクタはCPUに近いバス・コネクタの延長上に配置されます.現行のVLバスの信号線は,ほぼ486CPUそのものと考えてよいと思います.ですから,高速ですがCPU依存性が強いということになります.

すでに,多くのVLバス対応のマザーボード,周辺拡張ボードが市場に出回っています.しかし,同様なコンセプトとして
PCIバスがあり,市場は急速にPCIへ移行しています.



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ISAバス
(Industry Standard Architecture)

ATバスとほぼ同意語ですが,バス・タイミングの規定が明確になっています.最近はこちらの呼び方が主流です.ホスト機能の増強,計測・制御からゲームに至るまで,広範囲にわたって各種拡張ボードが製作,販売されています.スペックが容易に変動しないため,安定供給できるというのがメリットです.

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MCA
(Micro Channel Architecture)

IBMのPS/2 Model50以上の機種に採用された,マルチバス・マスタ機能付きの16/32ビット・バスです.386時代に突入し,速度,機能共にISAバスではCPUのパフォーマンスを発揮できないため考案されました.インストールなどの自動化のためにPOSレジスタが用意されました.

しかし,MCAは機械的にも電気的にもISAバスと仕様が全く異なるため,既存のISA拡張ボードがまったく使えません.

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PCIバス
(Peripheral Component Interconnect)

Intel,IBMなどの関連メーカの協議によるローカル・バスの規格です.現行のPCIバスは,32ビット幅で33MHz動作を実現しています.Pentiumなど次世代プロセッサを意識して,64ビット・バスへの拡張も可能です.

PCIバスはCPUとI/Oバスの中間にインテリジェントなブリッジと呼ばれるチップセットを挿入します.これにより,CPUバスと同等のスピードは維持できませんが,CPU依存性はなくなり標準化が可能になります.また,CPUバスを占有しないといったメリットも生じることになります.

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EISAバス
(Enhanced Industry Standard Architecture)

CPUが80386以上のPC互換機では,1命令でアクセスできるデータ幅として32ビットも可能になりましたし,周辺とのデータ交換にバスが介在するわけですが,この占有時間をなるべく低減することが高速処理の条件となってきます.すなわち,バス・アービタによるバスの有効利用を図る必要が出てきたというわけです.この流行はMCAが発端です.

互換機市場では,コネクタ仕様に工夫を加え,従来仕様の拡張ボードとの互換性を保ったうえで,バス幅の拡張,バスの有効利用を図ることができるようにしています.EISAのネーミングはISAを拡張したということからきています.



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VGA




(Video Graphics Array)Keywords:CGA, MDA, EGA, VGA, 8514/A,Windowsアクセラレータ,Hercules,S3,86C928

PCシリーズの次のシリーズとしてIBM社が市場に投入したPS/2に搭載された従来の
CGAMDAEGAに代わるグラフィック・モードです.いうまでもなく,現在のPC互換機のディスプレイのほとんどがVGAを基本としています.解像度は640×480と向上し,アスペクト比が一般のTVと同じ4:3になり,ブラウン管を広く使えるようになりました.また,初めてアナログ・カラー表示(最大256色)が可能になっています.

さらに,高解像表示のためにIBM社からは8514/Aというグラフィック・ボードがリリースされています.

互換機(ISAバス)のためのサード・パーティ製VGAボードもすぐに市場に投入され,スーパVGA(SVGA)へと独自の発展を始めました.したがって,この時期にCRTディスプレイのほうでも,RGBアナログ入力を備え,マルチスキャンへの移行を開始します.

また,スーパVGAには描画速度を向上させるために,Windowsアクセラレータ機能を付加しています.
< copyright 1994 斉藤健司 > 

VGAの信号
端子番号 信号名
1 R
2 G
3 B
4 接地
5 未使用
6 R接地
7 G接地
8 B接地
9 未使用
10 接地
11 接地
12 未使用
13 水平同期
14 垂直同期
15 未使用

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EGA
(Enhanced Graphics Adapter)

解像度が最大640×350,表示色は最大16色と,CGAを拡張する形で発展したグラフィック・アダプタです.IBM PC/AT時代に活躍しました.パレットという考え方も導入され,実用的なレベルに達しています.これにより,さまざまな分野に適合するアプリケーション・プログラムが作られるようになりました.

しかし,EGAの時代が長く続いたため,互換機メーカはこぞって解像度を上げた互換製品をリリースしています.


端子番号 信号名
1 開放
2 R2
3 R
4 G
5 B
6 G2または強調
7 B2
8 水平同期
9 垂直同期

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8514/A

1024×768の解像度をもつ,PS/2用のグラフィック・アダプタです.CADなどの科学技術向けアプリケーションのために作られたものです.専用グラフィック・コントローラを内蔵しています.

実際に使用されている数は少ないと思われますが,8514/AのファンクションをエミュレートできるSVGAボードが多数あります.すなわち,8514/A用のアプリーケションをAT互換機で使うことができるため,互換ディスプレイ・モードとしてよく話題になります.

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CGA
(Color Graphics Adapter)

IBM PCに使われたディスプレイ・ボードです.グラフィック・モードの解像度は320×200(4色)または640×200(2色)でした.テキスト・モードのキャラクタ・フォントは8×8ドットで構成されていました.

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MDA
(Monochrome Display/Printer Adapter)

CGAと同時期に使われたモノクロ専用ディスプレイ・アダプタです.グラフィック・モードはもっていませんので,もっぱらデータ・エントリなどのキャラクタ・ベースの業務用アプリケーションで多く使われたと思われます.CGAのテキスト・モードよりも高解像で,キャラクタ・フォントが9×14ドット,80桁×25行表示が可能ですから,最近のDOSテキスト画面とあまり変わりありません.

なお,プリンタ(セントロニクス)インターフェースを含んでいたため,IBM社ではMDPAと呼んでいます.このボードのみスロットに増設すれば,一応の仕事ができたため,経済的だというわけです.

このMDAの改良型として
Herculesというボードがサード・パーティ製として出荷されました.

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Hercules
(Hercules Graphics Card:HGC)

MDAにCGAのグラフィック・モードを備えた,サード・パーティ製のディスプレイ・ボードです.高品位フォントのテキスト画面とグラフィックの両立は当時のユーザのニーズでした.最近はあまりこのメーカの名前は聞かなくなりましたが,純正品しか考えられなかった頃,互換製品の市場を開拓して成功したメーカです.これはPCの歴史に残るものと思います.

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Windowsアクセラレータ

Windows3.1は疑似マルチタスクのため,あるタスクが終了しないと次の処理に移行できません.このため,グラフィックを多用するアプリケーションでは,描画スピードが全体のスループットに大きな影響を与えます.そこで,GDIからWindowsのデバイス・ドライバへの処理要求をソフトウェア的に処理するのではなく(CPUに負担をかけずに),ディスプレイ・ボード側でハード的に処理することで,描画の高速化を図ることができるようになります.

これまでのディスプレイ・コントローラは,要求された座標に点を描く程度の消極的なものでした.ですから,図形の描画,移動,サイズ変更といった手間のかかる処理はすべてCPUがソフト的に行っていたわけです.これに対し,グラフィック・プロセッサと呼ばれるものを使った場合は,ここにグラフィック専用プログラムを組み込むことができますから,ホスト側が簡単なコマンド要求を出すだけで,複雑なグラフィック処理を高速に実現することができます(TIのTMS340シリーズが有名).

グラフィック・プロセッサは一般に汎用に作られていて,CRTディスプレイ以外にも応用範囲を広く設定しています.Windowsアクセラレータもグラフィック・プロセッサの一種ですが,よりGDIの処理要求に適合させており,用途を限定しています.現在,
S3社やシーラス社,ATI社などが市場でしのぎを削っています.

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86C928

S3社のVGA互換Windowsアクセラレータ・チップです.DIAMOND Stealth PROやPC98などのアクセラレータとして使われています.

グラフィック処理は,コマンドやディスプレイ・データの大量なデータ転送を必要とするため,CPUのボトルネックとなります.86C928では,これをFIFOで吸収することにより高速化を図っています.また,複雑な図形処理,イメージの移動などを,WindowsなどのOSのGUIやCADに適合するグラフィック・エンジンが行います.

86C928は,4MバイトまでのVRAMをサポートできます.これにより,1600×1200の高解像グラフィックが可能ですし,カラー分解能は解像度によって異なりますが,最大32ビットが可能です.

また,NTSCやPALといった外部ディスプレイとの同期動作が可能です.


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S3
(S3 Incorporated;Santa Clara, CA)

Windowsアクセラレータ用チップで一躍有名になったLSIメーカの名前ですが,86C911や
86C928といったアクセラレータ・チップを総称してS3ということもあるようです.



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SVGA




 ウィンドウズのようなGUIのインターフェースを利用したアプリケーションでは,VGAの640×480の描画領域では複数の業務をディスプレイ上に展開するには不足します.カラーの発色についても16色から256色,64K色,1677万色と発色の再現性が要求されています.このような要求に対してビデオボードのメーカーがVGAと上位互換性を持ち,なお高解像度で発色数を増加したビデオボードを発売するようになりました.

当初,SVGAについての明確な規定がありませんでした.これに対してグラフィック関係企業の業界団体VESA(Video Electronics Standard Association)によって規格が定められ,あわせてビデオ表示の高速化をはかるためVLバスによるローカルバスの規格も定め,高速で安定したビデオボードが供給されるようになりました.

SVGAを表示させるためには複数のビデオ信号に対応できるマルチスキャンディスプレイが必要となります.
< copyright 1995 相沢一石 > 

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ビデオボード

 IBMのパソコンは当初からCRTディスプレイ用の制御ボードをビデオボードとしてマザーボードと別にしていました.ビデオボードは,
ビデオコントローラとビデオRAMおよびそれらを制御するための回路から構成されています.このビデオボードはグラフィック処理の改善に応じて改善を重ねてきました.Windows3.1の登場によってグラフィックの高速化,フルカラー/ハイカラーなど発色数の強化が必要となりました.これらの要望に応じて,ビデオボード上でグラフィック処理を分担し表示の高速化に対応するグラフィックアクセラレータ・チップが開発されるようになりました.

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フルカラー/ハイカラー

 SVGAの発色数は発色のために割り当てられるメモリにより決まります.

Windows3.1やWindows95では,ビデオのメモリが2Mバイトのときには,800x600まではフルカラー,メモリが4Mバイトのときには1024x768までフルカラーにすることができます.

ハイカラーは通常65536色の表示を指します.

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マルチスキャンディスプレイ

 複数の同期周波数に自動的に追従することのできるCRTディスプレイです.多くの場合マイコンを内蔵し各同期周波数に応じた調整をプリセットできるようになっています.  DOSの標準の解像度はVGAで640×480の解像度となっています.Windows3.1やWindows95の場合は1024×768などのより高解像度の表示となります.同じパソコンであっても使用する状況により表示解像度が異なると,CRTディスプレイの同期周波数もそれぞれの解像度に応じて異なります.

Windowsの場合はこのように異なる解像度に対応して自動的に同期周波数を追従できるディスプレイを利用します.

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グラフィックアクセラレータ・チップ

 Windowsのパソコンのグラフィック処理を高速に実現することに特化したプロセッサのことです.CPUからの描画コマンドを受けVRAM上にグラフィックデータを描画します.

これらのチップの開発競争が激しく,シーラスロジック社,S3社,ATI社,Trident社などが激烈な競争を展開しています.

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ビデオコントローラチップ

 初期のビデオボードのビデオコントローラチップ(CRTC)は,CRTディスプレイ用の水平,垂直の同期信号,ビデオ信号の合成,送出とビデオRAMの制御を行っていました.最近はこれらの処理は描画,アナログカラーのためのDA変換までもワンチップになったグラフィックアクセラレータとなっています.

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OADG




Keywords:ODP,$FONT,$DISP,OADG,DOS/V,IDE,8250,NS16550,ARC,ZIP

国内外のDOS/Vマシン・メーカによって決められた,AT互換機をベースとしたDOS/V機のスペックをOADGといいます.表にその概要を示します.なお,AXという規格とは多少異なります.

AT互換機およびその周辺機器は安価に入手可能ですし,そのスペックが事実上標準化されているために全世界にユーザが多く,ソフトウェア資源がたいへん豊富であるというメリットを持っています.

表を基本的に満足していればよいわけですから,DOS/Vマシンとして製品化されたものだけがDOS/V機として動作するわけではありません.すなわち,キーボード,匡体,電源,マザーボード,拡張ボード,外部記憶装置などといったアセンブリ単位でも構成可能です.

AT互換機で日本語を表示するために
$FONT.SYS$DISP.SYSの二つのドライバが英語版MS-DOSに追加されています.この二つが入っているとDOS/Vになります.ですから,ハード・ディスクはIDE,通信LSIは8250のように,ハードウェア・スペックはまったくAT互換機と同じということになります.ただし,漢字が入力しやすいキーボードが用意されています.

また,ODPなどにより,次世代CPUへの乗り換えなどの機能アップも,安価に行うことができます.つまり,本体をまるごと交換するのではなく,最低必要なアセンブリのみを交換し,その他の資源は再利用できます.
< copyright 1994 斉藤健司 > 



項目 内容
ビデオ VGAが標準.VGAと互換性があればSVGAの搭載も認める
キーボード IBM...5576-A01,U.S.English
プリンタ エプソンESC/P J84
文字コード JIS X0206準拠.フォントはメーカの自由
フロッピ・ディスク 3.5インチ 1.44Mバイト &720Kバイト

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eyboard

$FONT.SYS

DOS/Vの日本語文字フォント・ハンドラです.日本語フォントのロード・エリアはプロテクト・メモリの上限が使われます.ただし,フォントの出し入れにはROM-BIOSのシステム・サービス(INT 15H)が使われます.このため,CONFIG.SYSの指定では,XMSハンドラ(HIMEM,EMM386など)よりも先に組み込む必要があります.

ブート時にはロードすべきフォント・イメージのデータ・ファイル(*.FNT)が必要です.ブート・ドライブのルート・ディレクトリ以外にフォント・ファイルを置く場合には“/P=〈PATH〉”のパラメータ指定が必要です.

<用法>CドライブのDOSサブディレクトリに $FONT.SYSとフォント・ファイルをインストールしている場合:

DEVICE=C : \DOS\$FONT.SYS /P=C : \DOS\
DEVICE=HIMEM.SYS ←これらは $FONT.SYSの後に記述する.
DEVICE=EMM386.SYS

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$DISP.SYS

VGAのグラフィック・モードで日本語表示を行うDOS/Vのディスプレイ・デバイス・ドライバです.DOS/Vマシンは基本的にAT互換機ですから,漢字ROMやそのフォント・イメージをVRAMにハードウェア転送する機能をもっていません.このため,日本語表示機能をソフトウェア的に付加するのがこのドライバです.

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ODP
(Over Drive Processor)

CPU内部コンポーネントを倍速(1.5倍や3倍もある)クロックで駆動したインテル社のCPUです.OverDriveをはじめから搭載した単体のCPUである486DX2と差し替えるものと,すでに搭載済みの486DX,SXのコプロセッサ・ソケットに差すことでアップグレードするシリーズがあります.

CPUの外部は,これまでどおりのスピード(25/33MHz)で動作しますから,システム全体が倍速となるわけではありません.しかし,8Kバイトもしくは16Kバイトのの内部キャッシュがうまくヒットするようなプログラムでは,ほぼ完全に倍速実行が期待できます.一般のアプリケーションでは,最大70%のパフォーマンスの向上が得られるということになっています.

なお,インテル社は486DX2をPentiumプロセッサにアップグレードできるODPも出荷していますが,この場合にはシステム・バスが32ビットのままですから,Pentium相当のパフォーマンスは得られません.


CPU ODP 方法
i486SX/DX2-20/25/33/66MHz ODP486DX(2/4)50/75/100 オーバドライブまたは数値演算プロセッサ・ソケットに実装.
もしくはCPUと差し替える
ODP5V83 オーバドライブまたは数値演算プロセッサ・ソケットに実装.
もしくはCPUと差し替える
CPUと差し替えられるかは,インテルもしくはPCメーカーに問い合わせをすること.

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IDE
(Intelligent Drive Electronics)

AT互換機用の固定ディスクの一般的名称です.このインターフェースの仕様は,SCSIなどの仕様をまとめているCAMコミッティという団体が制定したもので,ANSI規格案となりました.CAMでの名称はAT-Atachment(ATA)となっています.もともとは互換機メーカによって考案されたインターフェースです.

IBM PC/ATの固定ディスク・インターフェースにはST-506が使われていたわけですが,オリジナルのインターフェース・ボードはフルサイズで,5インチ・ディスク・ドライブとの接続に2本のフラット・ケーブルを必要としていました.固定ディスクの入出力をはじめとする処理はディスクBIOSが行います.

IDEという名称は,ディスク・ドライブとコントローラを一体化したために付けられました.ホストとの接続はI/Oチャネルの中から必要な信号を使って行われます.

また,ディスクBIOSの変更をせずに動作しなければなりませんので,レジスタ・レベルでオリジナルとの互換性を保持してあります.つまり,ホストCPUからIDEを見たときに,IBMの固定ディスク・コントローラが接続されているように見えなければなりません.

従来のIDE仕様でもドライブは2台まで接続できましたが、仕様が決まっていなかったため、同一メーカでないと動作しない場合がありました。しかしATAとして仕様が固まるとIDEドライブの互換性の問題については聞かれなくなりました。旧タイプは容量も少なく最近の安価なドライブと共に利用することはなくなったと思いますが、旧タイプを利用する場合は注意が必要です.

IDEについても機能の拡張がおこなわれ、4台までのドライブの接続、540Mバイト以上の大容量ドライブ、CD-ROMドライブ(ATAPI)の接続もできる拡張IDEが普通になってきました。PC98シリーズや一部のMacintoshも内蔵ドライブをIDEドライブとしました。

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8250

非同期通信用の周辺LSIの型番です.IBM PCではインテルの8251Aを使わず,ナショナル・セミコンダクター社のINS8250Aを使ったため,通信ポートは非同期専用というのが標準的になりました(同期通信用のボードは別売でした).

ROM-BIOSでは,I/Oポーリングによるサポートを行っています.割り込みをまったく使用していないので,よく悪口の対象とされます.ハードウェア的には割り込みをイネーブルにできますから,ドライバを書くことでこれに対応できます.

なお,8251Aとはレジスタ構成などがまったく異なっています.PC98フリークがPC互換機に乗り移った場合には注意が必要です.

最近は,8250A互換の
NS16550が使われていることが多いようです.

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キーボード

オリジナルATで使われていた原形を101キーボードといいます.PC,XTおよび初期ATなどのモデルでは,ファンクション・キーが左側に配置された88キーボードが使われていました.88キーボードは専用カーソル・キーがなくテンキーと兼用であったり,ファンクション・キーが10個しかないなど,キー数が少なかったというわけです.

キーボード内部には専用コントローラが搭載され,本体とはシリアル伝送でデータのやりとりが行われます.日本では
106キーボードが主に使われています.

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106キーボード

基本的には101キーボードと同じですが,かなキートップや日本語変換用のキーが追加されています.Windows95が出荷されると同時に,Startなどの新たなキーが3つ追加された109キーボードも出現しました.

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NS16550

基本的に8250互換の非同期通信LSIですが,送受信データ回路に16バイトのFIFOが挿入されています.これにより割り込みなしのハンドラで,9600bpsの通信が可能になります.

通常は8250と互換性を取るため,FIFOがディセーブルになっています.MS-WindowsのCOMドライバも16550対応となっています.

なお,16550のFIFOを有効にしたハンドラを書く際には注意が必要です.まれに,FIFO中の最終バイトが送信中に,さらに送信データを1バイトだけFIFOに書き込むと,そのデータが送信されないという問題を起こすことがあります.FIFOへの書き込みは複数バイトで行うようにします.

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ROM-BIOS




Keywords:BIOS,VESA,AMI,Phoenix

周辺装置の入出力を直接ハンドリングするルーチンを集めてROM化したものです.代表的なものとして,ビデオ,ディスクおよびディスケット,キーボード,プリンタ,RS-232Cなどがあり,これらをソフトウェア割り込みで駆動することができます.本来はDOSのデバイス・ドライバが利用するファンクション・コールですが,IBM PCの世界では事実上標準化されていますので,アプリケーションも積極的に利用します.

ROM-BIOSには,これらのI/O駆動ルーチンだけでなく,POSTと呼ばれるシステム全体のチェックおよび初期化ルーチン,さらにブート・プログラムや各種定数を含んでいます.オリジナルのIBM PC/ATには,PC98と同様にBasicインタプリタもROM化されていますが,互換機には含まれないのが普通です.

オリジナルと互換機との互換性を考える場合,ROM-BIOSが重要なファクタとなります.オリジナルではROM-BIOSのソース・リストまで公開(オープン・アーキテクチャ)していましたが,これをそのままコピーして製品に載せることはできません.したがって,機能的に同様なBIOSを新規に作ることになります.

一般に互換機メーカは,このようにしてBIOSを専門に作っているソフト・ハウスなどからROM-BIOSの供給を受けています.メジャなところでは
AMI,Phoenix,Awardなどが挙げられます.オリジナルにはバグもありましたし,現在のハードウェアの技術水準にそぐわないといったこともあり,互換機のROM-BIOSのほうが標準的にさえなっています.

サード・パーティが周辺機器を作るときには拡張BIOSを用意します.SCSI関係ではアダプテック社のASPI,ビデオ関係ではVESAのビデオBIOSの利用が増えています.
< copyright 1994 斉藤健司 > 

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VESA
(Video Equipmet Standards Association)

オリジナルのビデオBIOSは,そのシリーズがATで終了したのでEGAまでしかサポートしていません.しかし,BIOSとしてはPS/2でも同様なサポートがなされましたので,VGAまでがIBMによって定義されています.

その後,互換機市場ではスーパVGAとして,さまざまなビデオ・モードがサポートされました.しかし,ディスプレイ・ボード間の互換性に問題があったため,ボード・メーカが集まって標準化作業がなされました.この団体をVESAといいます.

最近のディスプレイ・ボードはVESA規格をサポートしているものが多くなっています.サポートの方法としてはビデオBIOS(ROM),デバイス・ドライバやTSR(ユーザ・インストール)などいろいろです.基本的なVESA規格のディスプレイ・モードを表に示します.


モード 解像度 色数
100h 640×400 256
101h 640×480 256
102h 800×600 16
103h 800×600 256
104h 1024×768 16
105h 1024×768 256
106h 1280×1024 16
107h 1280×1024 256
※SuperVGAモードのセット方法.VESAが利用できる状態でAX=4FO2h,
BXにモード番号をセットして INT10h.

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AMI,Phoenix

IBM社の仕様書を元にクリーン・ルームという隔離された場所で開発されたIBM PC互換のROM-BIOSは,IBM PC/AT互換機メーカのマザーボードに搭載されています.一般のユーザの目にはあまり触れません.ハード・ディスクの変更や追加を行うときに,BIOSの設定を変更をするときの画面が下の写真です.


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