1999/3/2 ニュースリリースより

次世代プレイステーションの基本仕様

プレイステーションとの互換を可能にする
次世代プレイステーション向けI/Oプロセッサ

「次世代プレイステーション」向け
DRAM混載プロセスを採用した世界最高速描画プロセッサ

グラフィックス・シンセサイザの概要仕様

「次世代プレイステーション」向け
世界最高速の128ビットCPU Emotion Engine

CPU(EE)の概要仕様

 

次世代プレイステーション」の基本仕様
 (株)ソニー・コンピュータエンタテインメントは,1994年12月に発売を開始した32ビット家庭用ゲーム機「プレイステーション」を,さらに発展させた,プレイステーション2を発売する.この次世代システムは,将来の家庭におけるデジタルエンタテインメントの中核をになうマシンになる.

エモーション・シンセシス(情緒合成):
 「グラフィックス・シンセサイザ」の品位を,家庭用TVで楽しめる最高の画質にまで向上させた上で,新たにコンピュータで創造される仮想的な「世界」やキャラクタの「個性」までをも,膨大な演算システムによりリアルタイムに生成することを目指している.
 これを実現するには,新たなソフトウェア技術の開発と共に,桁違いの膨大な演算をリアルタイムに処理するコンピュータシステムが必要になる.

DVD−ROMを採用:
 従来のCD−ROMに加えて新たなメディアとして将来有望なDVD−ROMを採用した.
 画像圧縮のフォーマットとして,映像用DVDで広く用いられているMPEG2を採用.これにより,テクスチャデータや背景画像を圧縮したままで保持することが可能になる.

現行の「プレイステーション」用音源を拡張:
 サウンドは,現行の「プレイステーション」用音源を拡張した.また,CPUの膨大な演算処理能力を活かしたソフトウェア音源やエフェクト処理,AC−3やDTSといった最新のデジタル立体音響の処理も,拡張されたマルチメディア命令でリアルタイムに実行できる.

下位互換性:
 現行「プレイステーション」と同じ32ビットCPUコアを新規I/Oプロセッサに採用したため,命令コードレベルの正確な互換性が保たれている.

 ソフトウェア開発用の器材は,今春頃から順次提供を開始:

 

次世代プレイステーション向けI/Oプロセッサ
 (株)ソニー・コンピュータエンタテインメントは,「次世代プレイステーション」向けに,LSIロジック社とI/Oプロセッサを開発した.このプロセッサを内蔵することにより,プレイステーションとの100%の互換性を保ち,USBとIEEE1394をサポートする.

 このI/Oプロセッサには,プレイステーション用CPUをベースに,次の機能が追加された.
◆キャッシュメモリを拡張
◆データ転送レートを4倍に高めたDMAチャネルを追加
◆シリアルコントローラを20倍以上性能向上させた
◆USBホストコントローラ
◆IEEE1394リンク層および物理層が集積

 USBインターフェースは業界標準のOHCI(Open Host Controller Interface)の仕様に準拠しており,転送速度が比較的低い1.5Mbps(Mega bits per second)から12Mbpsのデバイスに対応している.IEEE1394は100Mbpsから400Mbpsのレートでデータ転送することが可能
 USBとIEEE1394を採用したことにより,ビデオデッキ,セットトップボックス,デジタルカメラ,プリンタ,ジョイスティック,キーボードやマウスなど,コンピュータや民生機器とのデータ交換が将来可能になる.

 

DRAM混載プロセスを採用した世界最高速描画プロセッサを開発
 (株)ソニー・コンピュータエンタテインメントは,るDRAM/ロジック混載プロセスを採用した2,560ビット(PC用グラフィックス・アクセラレータの20倍のデータ幅)という大きなバンド幅を利用した,超並列描画エンジン「グラフィックス・シンセサイザ:GS」を「次世代プレイステーション」向けに開発した.

 次世代プレイステーションでは,リアルタイムにすべての画像を計算処理により生成するというアーキテクチャを実現するための,「グラフィックス・シンセサイザ」コンセプトを追求した.この描画プロセッサは,計算により生成されたデータを最終的な画像として可視化するための描画機能が従来に比べて大幅に強化されており,現行のテレビおよび将来の高精細デジタルTVにも対応している.

 ピクセルエンジン(PE)とビデオメモリ(VRAM)との間のメモリバンド幅が,グラフィックス・プロセッサの描画能力を最終的に決定するが,汎用メモリをVRAMとして使用した従来のシステムでは十分な描画性能を得る事が困難だった.今回のシステムではDRAM混載プロセスによりDRAMセルと高速ロジック回路を単一のシリコン上に集積して,個別チップでは実現できなかった毎秒48Gバイトという大きなメモリバンド幅が確保できた.したがって,最新PC用グラフィックスアクセラレータの2桁上の描画性能を実現している.

 これにより,微小ポリゴン描画の場合では最大毎秒7,500万個,微小パーティクル描画の場合,最大毎秒1億5千万個の描画が可能になり,映画の品位に近い画像をリアルタイムに生成することができるようになる.また,Zバッファ付/テクスチャ付/光源あり/半透明のポリゴン描画でも,連続して毎秒2,000万個ものポリゴンを,連続して描画することができる.

 また,新たに採用したアーキテクチャにより,メインCPUの助けを借りずにフィルタ処理や回帰的描画処理を高速に行うことができる.

GSコア DRAM内蔵並列描画プロセッサ
クロック周波数 150MHz
ピクセル・エンジン数 16並列
混載DRAM容量 4MB@150MHz
総メモリバンド幅 48GB/秒
内部総データバス幅 2,560ビット
Read 1,024ビット
Write 1,024ビット
Texture 512ビット
最大表示色数 32ビット(RGBA:各8ビット)
Zバッファ 32ビット
画像処理機能 Texture Mapping/Bump Mapping
Fogging,Alpha Blending
Bi−/Trilinear Filtering
MIPMAP,Anti−aliasing
Multi−pass Rendering
描画性能  
ピクセル・フィルレート 24億ピクセル/秒(Z,A)
12億ピクセル/秒(Z,A,T)
パーティクル描画性能 1億5,000万個/秒
ポリゴン描画性能 7,500万個/秒(微小ポリゴン)
5,000万個/秒(48pix四角形,Z,A)
3,000万個/秒(50pix三角形,Z,A)
2,500万個/秒(48pix四角形,Z,A,T)
スプライト描画性能 6,600万 ポリゴン/秒
画像出力 フォーマット NTSC/PAL
DTV
VESA(最大1280×1024ドット)
プロセス 0.25ミクロン
総トランジスタ数 43MTr.
ダイサイズ 279mm2
パッケージ 384ピン BGA
   
世界最高速の128ビットCPU Emotion Engineを開発
(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントは,(株)東芝と共同で「次世代プレイステーション」に向けた,128ビットCPU(EE:エモーション・エンジン)を開発した.高速に処理するため,データバス,キャッシュメモリおよび全レジスタを128ビット化し,最先端の0.18ミクロンプロセス技術を用いて,1チップのシステムLSIにすべての演算機能を集約している.

 単一のシリコンチップ上に,
◆128ビットのSIMD拡張マルチメディア命令を実行可能な2個の64ビット整数演算ユニット(IU)
◆2個の独立したVLIWアーキテクチャにより実現した浮動小数点ベクトル演算ユニット(VU0,VU1)
◆MPEG2のデコード回路(IPU)
◆高機能DMAコントローラ
などを集積し,汎用PCに搭載されているCPUでリアルタイムに処理が困難な複雑な物理演算NURBSなどの曲面演算や三次元座標演算を高速に実行できる

 またすべてのデータ処理を1チップ上で128ビット化したことにより,データを高速に処理し転送できる.併せて,高速動作のCPUを支えるメインメモリに,ダイレクト・ラムバスを2チャネル採用して,3.2GB/秒のバスバンド幅を確保している.

 同時に,MPEG2のマクロブロックレイヤ・デコーダを同一チップ上に搭載して,より高品位の3DCGテクスチャデータやDVD映画並みの高品位動画像を,アプリケーションの中で3DCGと同時に扱うことが可能となった.

 これらを併せたCPU全体の演算性能は,浮動少数点演算性能6.2GFLOPS/秒となり,これを三次元コンピュータグラフイックス(3DCG)で標準的に使われる座標/透視変換処理に適用した場合,演算性能はピーク値で6600万ポリゴン/秒に達する.

CPUコア 128ビット RISC(MIPS・-subset)
クロック周波数 300MHz
整数演算ユニット 64ビット(2−way superscalar)
マルチメディア拡張命令 128ビット×107種類
GPR(整数レジスタ) 128ビット×32本
TLB 48ダブルエントリ
命令キャッシュ 16KB(2−way)
データ・キャッシュ 8KB(2−way)
スクラッチ・パッド 16KB(dual−port)
メイン・メモリ 32MB(RDRAM×2ch@800MHz)
メモリバス・バンド幅 3.2GB/秒
DMA 10−channel
コ・プロセッサ1 FPU(FMAC×1,FDIV×1)
コ・プロセッサ2 VU0(FMAC×4,FDIV×1)
マイクロ命令用メモリ(I:4KB/D:4KB)
ベクトル演算器 VU1(FMAC×5,FDIV×2)
マイクロ命令用メモリ(I:16KB/D:16KB)
浮動小数点演算性能 6.2GFLOPS
座標変換+透視変換 6,600万 ポリゴン/秒

+光源計算

3,800万 ポリゴン/秒

+フォグ

3,600万 ポリゴン/秒
曲面生成(ベジェ) 1,600万 ポリゴン/秒
IPU MPEG2 マクロブロックレイヤ・デコーダ
画像処理速度 15,000万 ピクセル/秒
ゲート長 0.18ミクロン
コア電圧 1.8V
消費電力 15W
メタル配線層数 4
総トランジスタ数 10.5M
ダイサイズ 240mm2
パッケージ 540ピン PBGA

Criterion Studios

Animation Science Corporation  

 

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