試してみよう
 では,実際に手動でWWWサーバと通信をしてみましょう.ただし,この実験はWWWサーバの動作に悪影響を与えてしまったり,不正アクセスとまちがえられる可能性があります.そこで,実際のインターネット上のサーバではなく,LAN内のサーバやご自分のコンピュータでWWWサーバを起動して,実験をしてみることをお勧めします.
 WindowsやUNIXでは,標準でtelnetコマンドが付属しますので,このtelnetコマンドを使用します.telnetコマンドは,TCPセッションを開くことができる汎用クライアントソフトウェアです.
 実際に,http://www.cqpub.co.jp/ にアクセスを行ったようすを図5に示します.灰色の部分が,キーボードから入力を行った部分です.
 まず,(1)telnetコマンドを起動して,サーバとセッションを張ります.セッションが張れたら,(3)のようにキーボードからGETコマンドを入力します.GETコマンドの次の行には,クライアントソフトウェアの情報が続きますが,送らなくてもHTTPとしては問題ないので,省略します.そして,空行を送ってGETコマンドを終了します.
 すると,サーバから反応が返ってきます.まず(4)200というコードが返ってきたので,GETコマンドが成功したことがわかります.次の行からは,サーバに関する情報や,転送されるファイルに関する情報が続きます.
 図の例ですと,ファイルの最終更新日が2001年4月11日であることがわかります.そして,(6)空行が区切りとなって,(7)要求したファイルが転送されてきます.そしてファイル転送が終了すると,(8)サーバ側からセッションを閉じて通信が終了します.
 いかがでしょうか.WWWブラウザがなくてもWWWサーバにアクセスすることができました.このようにHTTPは,テキスト形式の通信を行うために,簡単に手動で通信することができます.もし,WWWサーバが不調なときなど,telnetコマンドがあればちょっとアクセスしてみて,動作を確認することができます.

〔図5〕telnetによるアクセスのようす
(タイプした文字が表示されない場合もある.まちがいのないようにキー入力する)

〔図5〕telnetによるアクセスのようす

 まとめ
 今回は,現在のインターネットにおいてもっとも使われている,WWWシステムのしくみについて解説しました.
  • WWWサーバとWWWクライアントからなるサーバ・クライアントモデルである.
  • 情報のやり取りには,HTTPが使われている.
  • HTTPは,下位層として信頼性のある通信路を用いるプロトコルである.
  • HTTPは,テキスト形式でデータのやりとりをするプロトコルである.
 WWWシステムは,HTMLで書かれたファイルや画像ファイルを,HTTPというシンプルなプロトコルでサーバからクライアントに転送し表示する,というシンプルなシステムです.このシンプルさから,逆にさまざまな応用が可能となり,WWWシステムをベースとしたチャットや掲示版,電子商取引や銀行の窓口までが作られるようになりました.
 次回は,このような応用を実現しているCGIのしくみについて解説予定です.

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