まかせて安心 あなたの街のMCSP--- No.2

(株)フューチャーイン

笹原 利雄氏 佐藤 洋二氏 谷口 文義氏 鏡山 雅臣氏 田 雄一氏

 


 (株)フューチャーインは,パソコン草創期にマイコンショップとしてスタートし,現在は主としてNT Serverによるシステムインテグレーションを手がけている会社です.
 顧客には,一般の企業以外に小中学校などの教育機関が多く,発展中の教育現場のシステムを,先生方と一緒に構築しているところだと言います.
 パソコン界では他社に先駆けて営業,開発,サポートの各部門で顧客に対応する体制を整え,組織の総合力でさまざまな要求に応えています.

■ ボードコンピューターの時代からスタートした取り組み

---- まず会社の概要から教えてください.
 私どもはシステムインテグレーターとして,パソコンシステムのインテグレーション,販売,ソフト開発などを手がけていますが,特徴を理解いただくには,設立の経緯からご説明した方が分かりやすいと思います.
 親会社はシーキューブ(株)という名古屋の会社ですが,NTTの総合電気通信工事を主な業務としています.この会社が1980年に,事業の拡大のためにコンピューター部門を発足させました.その柱が日本電気(株)(以下,NEC)と提携したNECマイコンショップで,ボードコンピューターTK80の販売から始まっています.パソコンが登場してきてからソフト開発も行うようになりました.PC8801,PC9801の頃からですね.
 1987年に,このコンピューター事業部が独立してできた会社が,フューチャーインです.
 現在,顧客としては官公庁,学校,民間企業がありますが,その割合は,官公庁が1.5割から2割程度,学校4割,民間企業4割といったところです.

---- 組織構成などを教えてください.
 会社の組織は,営業部門,ソフト開発部門,ユースウエア(サポート)部門の3つに分かれています.営業部門には官庁・学校グループと企業グループがあります.
 民間の顧客の数としては,常時取り引きをいただいているところが中部地区に1,000件程度あります.業種は種々雑多ですが,建設業が若干多いかもしれません.独立してすぐにシステム販売を模索し始め,最初に取り上げたのが建築分野のCADシステムでしたから.

■ 専門分野に分けて総合力で顧客を守る

---- 他社と差別化しているポイントはどこでしょうか?
 私どもではかなり前に,営業は営業,メンテナンスはメンテナンス,教育は教育という形に,担当部署を分けました.それらの総合体制で顧客を守っていくというスタイルに変えたのです.これは他社よりも1歩先駆けました.それ以前は営業がそれらすべてを行っていたのです.
 分業するメリットは,ユーザーから見れば対応スピードが速いということです.メンテナンスは電話をもらったらすぐに動けますし,また,聞きたいことがあれば,インストラクターは必ずいますから,電話をかければ答えてもらえる.営業では外出が多くてすぐには対応できないですからね.
 こちら側のメリットとしては,担当する社員のスキルが違うことによって,それぞれ業務としての料金をいただくことが可能になります.営業が行うと中途半端な技術ではお金をいただくことはできません.
 営業がすべてを行うには,勉強することが多すぎます.専門分野に分かれた方が深く理解できます.売るためのノウハウとサポートするためのノウハウを分けていかないと,どれだけ人がいても時間が足りない時代になってしまったということですね.

■ ネットワークが当たり前になった企業向けのシステム

---- 企業向けのシステムとしては,どういう内容が多いのですか?
 数が多いのは販売管理,財務会計などの業務系のシステムですね.従来はスタンドアロンの利用が主でしたが,今はネットワークが当たり前になりました.それも顧客規模ではなく,利用形態の上で,ネットワークによるデータ交換が必要か,それともスタンドアロンでいいか,の違いが出ていると思います.ネットワークの構築はNT Serverを用いるのが一般的ですね.

---- アプリケーションはパッケージ利用ですか?
 財務会計や販売管理などは,小規模なところではパッケージの利用が主です.もちろん,販売管理の場合はパッケージがぴったりと合うということはまずありません.しかし,コスト効果も考えなければいけませんから.
 もちろん,パッケージで不都合ならば開発することもあります.その場合は,データベースは開発者の業務分析に応じて選択します.NTとの相性はSQL Serverのほうが良いでしょうから,今後その方向に進むのは間違いないでしょうが,現状では担当の開発者がUNIXでOracleに慣れていて,そちらを採用することもあります.

---- パッケージの開発などもされているのですか?
 自社開発のパッケージとしては,「水道会計システム」があります.これは自治体向けのもので,オフィスプロセッサーで開発したものをNT Serverに移植したものです.内容としては公益法人会計ですが,水道部や水道局での水道料金の扱いなどが簡単にできるように工夫されています.

■ 先生方と一緒に開発する最新の学校システム

---- 学校に関わるようになったきっかけは?
 学校に関しては,1989年頃,文部省が小中学校にパソコンの整備を進めたこともあり,学校からの相談が結構ありました.その頃は,パソコン市場はNECの独壇場でしたから,私達はNECを扱う地元企業として,選択肢に入ったのだと思います.
 学校のシステムは,最初はパソコン教室のLANだけでした.LANというより,単につないで画像を転送するだけというものでした.そこからデータ共有の要望が出てNetWareが使われるようになり,さらにNT Serverで動かすようになってきました.すると,先生方からサーバーを職員室に置けないかという要望が出て,ケーブルを学内に敷くことになり,それならほかの教室にもパソコンを設置しよう,というような形で広がってきています.今は構内イントラネットになり,そしてインターネットで外に出ていくところまで来ています.
 現在,パソコンのリプレースの時期と,イントラネット/インターネット化の時期が同時に来ているところですね.いまはそういったシステムを先生方と一緒に検討しながら,その学校独特のもの,各教育委員会独特のものを構築しようとしているところです.

---- 学校のサポートは大変なのでしょうね.
 例えば,中学校などではマウスのボールをはずしてしまう子供もいるわけです.使用中に電源を切ってしまったとか,大学などでは,立ち上がると終了画面になるように書き換えてしまう,などのいたずらもあり,先生方も私たちも苦労しています.
 機器が壊れた時に,事務ができなくなる,生徒が触れなくなるという直接的影響が大きいですから,先生からのサポートの要求は強いですね.いかに止まっている時間を短くするかです.システムの構築とサポートの両面で満足してもらうことが必要なのです.
 私どもでは,学校を専門に定期訪問するスタッフがいます.営業補助的な立場ですが,問題点があれば早めに聞き出して解決するという役割を持っています.故障が起きてからではなくて.各学校を2週間に1回は必ず当社の社員が訪問します.それが,早く故障を見つけたり,先生方の不満にお応えすることに役立っています.

---- 学校へ導入するシステムの規模は?
 今年は,学校関係全体でクライアントが1,300台以上,それも8月末までに導入する数です.昨年も同様の規模でした.学校の工事は夏休みに集中してしまうので,それが大変ですね.
 学校ではNT Serverなしではシステムを組めません.サーバーがあればクライアントはネットワークを通じて簡単にセットアップできますし.
 NTが良いというのは,GUIと操作性ですね.分かりやすい画面であり,顧客からの問い合わせに,電話口でこちらの指示通りに操作してもらえます.例えば今日も,飛騨高山の顧客から電話でプリンターが使えないという相談があった時に,30分ほど画面を見ていただきながらお話しして,プリンターのIPアドレスが飛んでいることが発見でき,設定してもらって解決しました.顧客のところに出向くコストと労力が節減できたのです.また,お客様の方でも簡単な設定のし直しで即使えるようになり,システムを寝かせておくこともなくなります.

■ より現場に即した情報提供を

---- MCSPであるメリットは何でしょうか?
 システム販売ではネットワークが主体になりますから,どうしてもWindows NT関連の技術は必要です.そういう中で,MCSPであることは信頼感につながり,そうでないところとの差別化にもなります.また,MCSPにはソフトの試用版が提供されるのも助かります.

---- 必要な情報は十分に手に入りますか?
 マイクロソフト(株)は,ホームページなどでも,膨大な情報のデータベースを見られるように開示してくれています.しかし,そこから必要な情報を見つけるには,こちらも相当のパワーをかけないとできないのです.現場で困っている問題に対して直結する情報を,見つけ出しやすい形で提供してもらえると良いですね.

(インタビュ/松永 晃)

Information

● 設立:1987年 ● 代表:相原 邦彦 ● 従業員数:251名 ● 所在地:愛知県名古屋市千種区● TEL:052-732-8021 ● URL:http://www.futureinn.co.jp/ ● 担当部署:ユースウエア事業部システムサポートセンター ● 担当者:鏡山 雅臣 ● E-mail:ma-kagamiyama@futureinn.co.jp
● 主な事業内容:コンピューターおよびパッケージソフトの販売,ネットワークシステムの構築,コンピューターシステムの開発・運用指導,コンピューターの導入指導・教育・セミナーなどの実施,システムメンテナンス ● 取得MCP:Windows NT Server,Windows NT Workstation,Windows 95,TCP/IP,SQL Server

1998年10月号掲載