![]() まかせて安心 あなたの街のMCSP---No.8 イースト(株) 下川 和男氏
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イースト(株)は,1985年,PC専門のソフトハウスとして設立されて以来,MS-DOS,Windowsをプラットフォームとして,さまざまな業務を行ってきています.SFA分野のソフトウェアPivotal
Relationshipの日本の販売元としてご存じの方も多いでしょう.
MCSPのメンバーとしては,1998年度のSIAアワードを,インターネット/イントラネット事例部門で受賞しています.ここでは,同社取締役でありコミュニケーション事業部長である下川和男氏に,受賞事例を中心として,同社のインターネットビジネスについてお話を伺いました.
■ PC黎明期からソフトウェア開発に携わる
――会社の概要から教えてください.
当社は,設立時からPCのソフトウェア開発を中心に手がけてきました.20年ほど前,大型コンピュータのOS開発などに携わっていた人間達がスピンアウトして,PC専門のソフトハウスを作ったのが始まりです.
登場したばかりのMS-DOS上で日本語ワープロなどを開発・販売しましたが,1985年,改めてイースト(株)を設立し,現在まで活動してきています.
現在の仕事はWindowsのソフトウェア開発が中心であり,受託開発半分,自社パッケージなどが半分という比率です.Windows環境も,EnterpriseレベルからCEまで広がり,それにつれて当社の仕事も広がってきています.社員は140名ほどですが,その内の100名強がVisual
C++のエンジニアです.
自社パッケージとしては,コンシューマ向けもありますが,現在の主力はサイトライセンスで販売するビジネスソリューション製品です.海外の製品を扱っているPivotal
Relationship以外は,すべて自社で開発しています.
■ Site Serverを生かしたコマースサイトの構築
――今回のSIA賞は,インターネット関連での受賞ということですが.
ええ,インターネットでオンラインショッピングを行うコマースサイトの構築が受賞理由です.「MANGA.PAC」(http://www.mangapac.com/)と,「燕館」(http://www.taishukan.co.jp/)という2つのサイトが対象になりました.私どもにとっても比較的新しいビジネス分野です.
――Site Serverを利用されているそうですね.
SQL ServerとSite Serverの連携で構築しています.データの検索はSQL
Serverで,販売はSite Server,Enterprise Editionで行います.Commerce Serverを中心に,さまざまな開発ツールが含まれていたので,このシステムを使えば,オンラインショッピングのサイトを簡単に開発することができます.
――受賞事例となったサイトはどういった内容ですか?
(株)マンガパックが運営するMANGA.PACは,国内で発行されているマンガの単行本を検索して購入できるサイトです.現在マンガ本の数は,約7,000冊に上ります.一方,大修館書店が運営する燕館は,大修館書店の発行する雑誌・書籍の検索と販売を行っています.雑誌にはバックナンバーも含んでいます.
販売で必要となる買い手の住所やカード番号などの入力情報を保護するため,VeriSign社のSSLによって暗号化しています.近いうちにSET手順にも対応する予定です.
――開発期間はどれくらいですか?
MANGA.PACは1997年の秋から取り組み,1998年2月には稼動しました.燕館は1998年の初めから取り組み,5月の稼動です.いずれも,当社の開発工数は4人月以下です.お客様がデータ作りにかけられた時間は含んでいませんが.
■ きちんと理解すれば簡単に開発できるサーバー製品
――コマースサイトの構築にSite Serverを選択された理由は何ですか?
現在でもそうかもしれませんが,当時,Windows NT上で安心して利用できるコマースシステムはほかにありませんでした.当社では以前から,自社での利用を考えてSite
Serverの前身であるMerchant Serverの評価を行っていました.そのため,Site
Serverで何ができるか理解していたので,躊躇せずに選択できました.
――コマースサイトの開発には,どのような技術が必要ですか?
Site Serverも含めて,マイクロソフト社が提供する最近のテクノロジは,その内容をきちんと理解すれば,簡単なプログラミングでシステムを構築できるものが多いです.もっとも,内容を理解するのが大変ですが.このプロジェクトでは,担当者が英語に堪能で,MSDNのCD-ROMから必要な情報を素早く見つけることができ,Site
Serverの深い理解が可能になりました.
もう1つ,インターネットは新しい分野で,技術もどんどん進んでいますから,新しく登場してくるソフトウェアには,バグや仕様としておかしな点などがどうしてもあります.だから駄目だとせず,それを当然のこととして,それらを避けてシステムを組み上げる技術力が必要ですね.
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オンメモリの検索でデータベースのレスポンスを向上させる
――インターネットビジネスには,ほかにどのようなものがありますか?
いろいろとありますが,1つの例を挙げれば,日本書籍出版協会の54万冊の書籍データと6,500社の出版社データを検索できるホームページを構築し,運営しています.これはSQL
Serverによるものですが,640MBのメモリを持つサーバー機を使用し,検索をオンメモリで実行して素早いレスポンスを得ています.1日に20,000件近いアクセスがあるページです.
また,現在,当社が直接電子出版物の販売を行うサイト「きらら」を計画しています.
――サーバー機はこちらの社内に設置されているのですか?
ええ.MANGA.PACや燕館も当社内のサーバー機で運用しています.特にSQL
Serverを効率的に運用するには,高速大容量のサーバー機に集約した方が効率が良いので,データベース部分は数台のサーバー機を利用しています.Site
Serverは別のサーバー機で運用しています.現在,社内全体で40台ほどのサーバー機がありますが,その内の10台程度は調査・研究のために利用しています.最新版やベータ版などをチェックする必要があるからです.当社が理解していないシステムを開発で使うことはできませんから,絶えず新しいシステムを調査する必要がありますね.
■ 日本の文化に関係する仕事を…
――伺っていると,クライアントとして出版関係が多いようですが?
受託開発では業務の幅がかなり広いですから一概にそうとは言えません.しかし,設立の当初から,日本の文化に関わる仕事をしたいと考えてきたのは事実です.出版物は日本の文化そのものですから.私自身,Windowsコンソーシアムの副会長をしていますが,他に,日本電子出版協会の理事やWindows
NT漢字処理技術協会の普及部会長などの活動をさせていただいています.
――最後に,読者に対するアピールがあればお願いします.
コマースサイトの構築など,Site Serverの利用をお考えでしたらぜひ声をかけてみてください.例えば,Site
Serverでは買い手の買い物履歴をデータベース化できますから,クッキーを利用することでワンツーワンマーケティングも可能になるなど,当社の経験と技術力を生かしたご提案ができると考えています.
(インタビュ/松永 晃)
Information ● 設立:1985年 ● 代表:丸山 雄三 ● 従業員数:140名 ●
所在地:東京都渋谷区代々木 ● URL:http://www.est.co.jp/ ● TEL:03-3374-1980 ●
担当部署:コミュニケーション事業部 ● 担当者:下川 和男 ●
E-mail:shimokawa@est.co.jp |
1999年4月号掲載