Life with Baby inside 〜妊婦編集者の月別体験記〜

 まがりなりにも働いて収入を得ている身ですから,対外的には「実は妊娠していて〜」という逃げ口上は言いにくいものです.同僚や家族にはハラハラさせっぱなしでご心配をおかけしましたが,実はあのときこうだったんです〜,という内情バナシをここに一挙公開いたします.

妊娠2ヵ月

 とくに男性のかたはご存じないかもしれませんが,妊娠●ヵ月とか第●週というのは,最終の生理開始日から数えます(生理開始日を0週0日と数える.0〜3週が妊娠1ヵ月,4〜7週が妊娠2ヵ月).なので,妊娠が判明するのは早くても妊娠2ヵ月に入ってからです(モノクローナル抗体という市販検査薬を使えば,妊娠2ヵ月のころにわかる).

 実は,このときまでに過去2回,妊娠2〜3ヵ月のころに流産した経験があったので,妊娠がわかっても安心できません.ただ,「働きすぎたから流産した」というわけではなく,流れるときには流れてしまう,という対処法のない流産だったみたいなので,今回も,怯えつつも,普通にしているしかありませんでした.

※重いものを持たないようにすること,おなかに力を入れないようにすること,立ちっぱなしはやめること,転ぶようなことは避けること,飲酒を控えること,など,気を付けるのはもちろんですが,流産は気にしすぎるのも身体に良くないらしいです.適度に気楽に…?

妊娠3ヵ月

 なんとこのだいじな時期に,Embedded Technology 2004があったのです….わたしもブース運営のために3日間通い詰めました.歩き回らない取材なんてありえないし,常時座れるイスはないし….それでも,できるだけ座って身体を休めていました.

 おなかのゆるいスカートをはいていたせいか,会場の暑さのためにジャケットを脱いだのが悪かったのか,何人かの知り合いの方には「もしかして…?」と,バレてしまいました.もっと身近にいたのに,ちっとも気づかなかった上司のかたもおられましたが(笑).

 けっこうツワリ(妊娠初期に気分が悪くなったり,食欲がおかしくなること)がきつく,さりげなくもつらい日々でした.そのため,しごとに集中できず,なかなか作業がはかどりません.家では夫にぐちったり,家事(洗い物,布団を敷くなど)をやってもらったりしていました.

※妊娠3ヵ月(第8週)になったら,産婦人科に行きます.順調に成長していれば,超音波の映像で赤ちゃんの心臓が動いているのが見られます.
 順調に成長していることを確認したら,市役所に行って母子手帳をもらってきます.

妊娠4ヵ月

 お医者さんにも「(今までのパターンから考えて)ここまでくれば(流産は)だいじょうぶでしょう」と言われ,やっと妊娠のことを周り(主にプライベート)の方に報告し始めました.

※まず,しごと上で影響のある同僚や上司に報告します.
 そして,総務部(健康保険などの手続きをしてくれる)にも報告します.
 このとき,産休,育休をそれぞれどのくらいとるか,心づもりだけでも決めておくとよいです.

 しかし,ひきつづきツワリがきつい日々です.雑誌の特集(しかも年末進行)も担当していて,身体に気をつけながらも「これだけはどうしてもやらなければ!」という板挟みの毎日でした.特集が終わり,年末年始のんびりモードに入ると,めいっぱい休みました.というより,働けない状態でした….

※ツワリがどうしてもきつい場合,一般的に,会社に申請すればそれなりの休暇をとらせてもらえたり,作業内容を変更してもらえたりできるようです.
 わたしの場合,自分の有給休暇などの範囲で対応できたので,とくに申請はしませんでした.

妊娠5ヵ月

 ツワリはおさまってきて食事はやや美味しくなったものの,引き続き貧血がひどい日々です.造血剤を毎晩飲んでいるのですが,疲れやすいし,何をするのもだるいような,生命力が弱っているような状態です.
 このままではいけない! と,食生活の改善を試みようとしているところです.しかし,自分で食事を作るのは(ツワリの影響も残っているのか)おっくうだし,外食だと栄養は偏るし….こんなとき,心優しくて料理のじょうずな(しかも時間のある)同居人さんなんかがいてくれると本当に助かるのに.独身男性は,こんなときに「結婚したいな〜」と思うのでしょうか.

※鉄欠乏性貧血は,(体質もあるでしょうが)おもに食生活に起因する問題です.治療も,即効性があるのは造血剤を服用することですが,基本的には食生活を改善することで治療します.
 ただ,どうしても貧血がひどい場合などは,会社に言えば作業の軽減(貧血だと疲れやすいので,らくなしごとにしてもらう)などを申請できるようです.わたしの場合,しごと自体はきついと思わないので,とくに申請はしていません.

妊娠6ヵ月

 食生活改善が効いたのか,はたまた胎児の鉄の必要量がピークを超えたのか,貧血の症状もいつの間にか収まりました.上司が「なるべく自宅で作業したら?」と勧めてくれ,持ち帰れるものは持ち帰って処理するようにしたらその楽なこと!
 通勤にかかる時間(わたしの場合,往復合わせて1時間半ほど)をまるまる自由に使えるし,のどが渇いたときのお茶も急須から緑茶で入れられます.昼食も,栄養のバランスを考えて摂ることができます(会社ではパンやサンドイッチなど,手軽さをつい優先してしまう).
わたしの上司は男性で,まだお子さんもおられないのですが,よく気を遣ってくださってありがたい限りです.

 ちなみに,まだ外出取材をしています.マタニティ用のジーパンにセーターなどを重ねれば,お腹はほとんど目立ちません.逆に,マタニティ用のオーバーオールなどを着ると「どこから見ても立派な妊婦さん!」といういでたちになってしまうので,自宅にいるときにしか着ないようにしています.逆に考えると,妊婦としていたわってもらいたいなら,ぜひマタニティ・ルックで出勤するべきでしょう.そうすれば電車の席も譲ってもらえるかも…?

妊娠7ヵ月

 安定期まっただなかで,とくに問題のない時期です.だんだんお腹が丸く張ってきて,自分で触ってみても「いかにも中身がつまってます」という感じになってきました.ときどき胎児がお腹の中で動くのがおもしろいです.6ヵ月ごろから耳も聞こえているそうなので,自宅にいるときは胎児が動くたびに話しかけているのですが,会社だとさすがにそれはできません….

 定期健診に行ったら「体重が順調に増え(すぎ)ていますね」と言われて要注意な日々です.昼食を菓子パンではなく調理パンにしようとか,パンじゃなくおにぎりにしようとか,少しは気を遣っているのですが,しごとで行き詰まるとついお菓子に手が伸びるので….自重します.

 また,遅くまで残業すると翌日体にこたえることがわかりました.インド料理店のカレー(バイキング)を食べた翌日にもお腹がおかしくなったので,通常よりも身体が弱い状態にあるのだと思います.無理をしないように,心がけたいと思います.

※妊娠5ヵ月〜7ヵ月の3ヵ月間は「安定期」と言われています.旅行や引っ越しをするならこの時期! とマニュアルに書いてあるような時期です.だから,8ヵ月に入ったら外出取材を控えようと思います.

妊娠8ヵ月

 そろそろ外出取材を控えよう…と思った矢先に「愛・地球博」が! これを取材しないで産休に入ったら,きっと後悔するでしょう.ほかのしごとや協力者(留守中にこどもの送迎をしてくれる母など)と調整して,何とか出張に行ってくることができました.会場内外でけっこうな距離を歩いてしまい,ときどきお腹が張りましたが,そういうときは無理しないようにソロソロと歩いてきました….
 そろそろお腹も目立つことだし,記者発表に行く電車の乗り降りも身体がつらくなってきたし,ということで,オフィスにいることが多くなりました.そうすると,まるで電話番みたいになってしまったりして.それはそれでめんどうではあります(笑).

 今までは,あまり妊婦妊婦しているのもどうかと思い,出勤にマタニティ・ウェアは避けてきたのですが,そろそろ開き直り,堂々と着ることにしました.そうすると「いかにも妊婦さん」というかっこうになってしまうのですよね….それでも,電車ではなかなか席を譲ってもらうことがないのが残念です.一般の人になるべく迷惑をかけないようにと,わざわざ優先席の近くで立っているのに…..

妊娠9ヵ月

 妊娠5ヵ月のころから断固たる決意で「産休に入るまでに本を1冊作るぞ!」と進めてきた本の編集が,いよいよ大詰めです.まぁ原稿はもう出ているし,後はチェックの段階なのですが….そんなこんなで,本来は産前6週間から取れる産休(産前・産後休暇)も,産前4週間の時点から取り始めます.

※出産予定日はあくまで「予定」であり,1ヵ月ほど早く生まれることもあり得るので,通常はきちんと産前6週間(あるいはそれ以上前?)から取得したほうがよいと思います.ただ,わたしの場合,第1子のときにほぼ予定日に生まれたことと,本の編集作業が長引くリスクを考慮して,今回のような取得のしかたに決めました.

妊娠10ヵ月

 妊娠10ヵ月目は「臨月」です.10ヵ月の最後の日(正確には,11ヵ月めの最初の日.週数で言うと,40週0日)が出産予定日になります.この時期,わたしはすでに産休に入っているので,すでに「妊婦編集者」ではないわけなのですが….

 第1子出産のときの経験で言うと,この時期はだんだん体が重くなり,動くことがおっくうになり,家で一日中ゴロゴロしていたりだれとも話さなかったりして,「わたしってなんてだめな人間なんだろう」などと思って涙が出てしまったりしていました(こういうのもマタニティ・ブルーって言うんでしょうか?).
 この時期は,とにかく無事に出産を終えることだけを目標に,またあまり自分を責めないようにして,のんびりお気楽にすごすことをお勧めします.ただ,いつ陣痛,入院ということになってもよいように,入院グッズや赤ちゃんグッズ,緊急連絡先のリストなどの準備も怠りのないようにしてください.
 また,急に入院しても冷蔵庫の中身を腐らせたりしないように,また両親がかけつけたときに恥ずかしくない程度には家を整えておけるように,夫を教育しておく必要もあるでしょう.わたしの場合,山形の友人からもらった高級サクランボが退院時にみごとに腐っていました…(あーあ).

 実際は,妊娠中よりも生まれた後のほうがたいへんなのですけれどね(笑).睡眠不足や過労に悩まされながらも,赤ちゃんのいる生活(Life with Baby)を楽しもうと思っています.みなさんも,機会があればぜひ!