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続・お部屋探しとシステムLSI
秋の空と音波と電磁界
鮫島正裕
(株)フュートレック 秋である.見上げると,空が秋の空.なんで秋になると空が高くなるのでしょう? 実家に行って親に聞いてみた. 「なぜ秋の空は高いのですか」 「澄んでるからでしょ」 「雲自体高いところにあると思いますが」 「巻雲(けんうん)は高いわよね,天女の羽衣のようなやつ」 秋の空が高いのはあたりまえらしい.親はカルビの残りでカレーを作っている.七輪で焼き魚といきたいところだが,今日は台風の影響で晴れと雨の繰り返し.猫も茂みを出たり入ったりしている. 飛び去る雲の合間の青空を見ていて,空間のインピーダンスは377Ωと教わったことを思い出した.なぜ377Ωなんだっけ? 家に入って昔のノートを見るとZ=(μ0/ε0)1/2と書いてある.正確には,376.73…Ω.ノートを読み進むと,波面によっていろいろな場合分けがしてあった.当時の謎が思い出される.いまだに謎である.特性インピーダンスって,感覚的にはなんとなく“柔らかさ”のような性質と解釈しているが,秋の空のインピーダンスは気分にマッチングしている.とはいっても,1 年中一定値なのではあるが…. * * * 夕方,空を見ていると,出勤中のコウモリが裏山に向かってヘナヘナと飛んでいるのをよく見る.コウモリは20kHz〜200kHzの音波の反射を見て(聞いて)飛んだり,虫を捕まえたりしているようである.音波の場合の100kHzの波長は空気中で3.4mm.波長でいえば,電波の100GHzに相当する. * * * パソコンのボードの動作周波数はちょっと前まで,60MHzが限界などと言われていたが,最近では100MHzを越えている.「なぜ?」という疑問に対する乱暴な回答としては,「扱う信号の波長の1/8より配線が短ければ,反射が起きても問題ない」ということらしい.ICの高集積化がプリント基板の配線を単純化したため,これが可能になったらしい.また,ラムバスのように動作速度の限界に近いところでは,間にグラウンドを入れて,コプレーナ線路にして帰りの電流を流し,磁界を打ち消すというようなこともやっている. >>> コラムに対する感想はこちらへ
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◆ 筆者プロフィール◆ さめしま・まさひろ.(株)フュートレック川崎デザインセンタに勤務.高速ディジタル回路のコンサルティングやEDAツール関係の仕事に従事. |
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