のんびりやりたいもんだぁね


 ようやくたどり着きました.ここは,小郡.山口県.
 

 さて,お仕事.

わーぷ

 

 ようやくお仕事も終わり.あー,疲れたぁ(ホンマに仕事しましたよぉ).で,宿をさがさなくちゃ.全然地理勘のないわたしは,とりあえず湯田温泉駅に向かうであろうバスに乗る.でも,行き先は定かではない.

わたし 「すみません.これ湯田温泉駅に行きますか?」

運転手さん 「あー,それやったら,××で降ろしてあげるわぁ.駅には行かんからねぇ.」

わたし 「ありがとうございます.ところで,駅の周りに泊まるところあります?」

運転手さん 「うーん,駅の周りにはないねぇ.それやったら,湯田温泉まで行ったほうがええよ.この4月にできたホテルがあるけーねぇ.きれいなほうがええやろ.安いしねぇ.それじゃ,そこに連れて行ってあげるねぇ.」

 その後も,わたしはひとり運転手さんを独占しおしゃべりをし続けた.そして目的地に近づくと,

運転手さん 「あー,あそこ,××ホテル.見えるやろ? わかる? あそこがええよ.」

どこまでも,親切な運転手さんでした.


 さて,翌日.きょうもいい天気,さぁ1日がんばるぞ.バスの停留所に行くと,想像どおり1時間に3本くらいしか山口大学行きのバスはなかった.でも,ちょうどよく,あと10分も待てば次のバスが来る.ラッキー,ラッキー.
 そして,10分後.来ない.まぁ,ちょうどに来るわけないよねぇ,電車じゃあるまいし.

 そして,20分後.…来ない.いやたかだか10分遅れたくらい,なんてことはないよね.

 30分後….

 そして40分後.…

 き,来た! ようやく来た! すごい,まるでラテンの国に来ているみたいだ.いやぁ,東京でせこせこ生きていると,おこりんぼになっていけませんねぇ.たかだか30分遅れたくらいで,プリプリ頭にきてしまった.来ただけでも感謝なのにね.いやぁ,のんびり行こうぜ,のんびりさ.と,必死で自分をなだめていたわたしでした.

 まぁ,なにはともあれ,大学に着いた.よし,これから働くぞ!!

再び,わーぷ

  ようやく,学会も幕を閉じ,わたしも帰路へつく(いや,マジで働きましたよぉ).

 また,バス停へ.今度は小郡駅まで.
 バス停でベンチに腰を下ろし,気長にバスを待つ.すると,となりにちょこんと座っていた,おばあちゃんが話しかけてくる.


おば 「どこからかよよってんね(通っているの)?」

わたし「あっ,小郡まで」

おば 「まぁ,遠くからかよようてんねぇ(通っているのねぇ)」

わたし「はぁ,まぁ」

おそらく,わたしを学生と思っているのだろうが,この際,あえて訂正はしない.

おば 「わたしの孫もでゃぁがく(大学;この発音は少し難しい)にかよっとるんよ.東京のほうにおるんよねぇ.うちのこどももみんなでゃぁがくに行ったんよねぇ.うちのいとこは島根のほうで医者をしよるんよ.……」

わたし 「…(愛想笑いを浮かべながらただうなづく)」

こうして,バスがやって来る約30分の間,おばあちゃんのご家族のお話を聞かせていただきました.なかなかみなさんご立派な方たちらしい.


 しかし,山口のひとはひとあたりが良い.気軽に話しかけてくるし,方言のせいか,やさしいひとたちのように感じる.それとも,時間の流れが根本的に東京と違うのかも.なにはともあれ,いつも,こころに少しの余裕を持って生きていたいもんだ.