かれこれ5年前.(と)は,初めて山手線に乗りました.面接を受けるために西のほうから遥々東京にやってきたのでした.
面接も無事終わり,山手線でも座れ,ほっと一息.

しかし,恐怖はここからはじまる.

午後の山手線は人もまばらで,(と)は「新幹線に乗ったら,ビール1杯ひっかけよー」と一人うきうきしておりました.
と,そのとき,隣に座っておったおばちゃんがいきなりバッグの掃除をし始めました.掃除っていったら,ホンマに掃除.かばんの中身,全部出して,かばんをばっさばっさと振るもんだから,電車の中は,ファンデーションやら,なんかわからん埃なんかで,ぽわーんと煙たくなりました.
車内の人たちは困っておりました.そのおばちゃんからは,なにやら殺気のような,オーラのようなものがみなぎっておりましたので,誰も注意もできません.

そこに一人の紳士がおりました.ちょうど件のおばちゃんの目の前におりました.
「ちょっと,あなた,そんなことは電車の中でするもんじゃないよ」.
エライ!!!パチパチパチ・・・(と)はこころのなかで拍手喝采しておりました.おばちゃんもおとなしく荷物をかばんにしまい,そして,また平和な時間・・

と思ったら大間違い.

かばんバサバサおババは,何を思ったか,(と)に向かってこう言い始めたじゃありませんか.
バ「あんた,若いからってちやほやされて,いい気になってんじゃないよブツブツブツ
と)「は?」
バ「あたしだって,若かった頃にゃねぇ・・・ブツブツブツ
と)「・・・・・・・」

「なに言っとんじゃ,ババァ!!」
と喉の奥から出てきてましたが,「相手にしちゃイケン,イケン」とぐっとこらえておりました.たぶん,ちょっとはなしが通じそうもなかったので・・・
おババは,ずーっと(と)のほうに向いて文句を言い続けておりました.(と)はただうつむいて耐えておりました.「東京はこえ〜ところじゃ」と思いながら・・・

すると,そのうち,おババは降りる気配を見せました.腰をあげてからも,ずっと(と)のほうを向いて,ブツブツ言い続け,そして最後,電車から降りるってぇときに,

ごっつ〜ん
いたっ!! 肩痛い!!
なに!?なにが起こったん?
???????????????????
なんと,あのババァは,出口横に座っておった(と)の肩をグーで,グーでよ!!

殴っていったんよ,どー思う??

うちがなにをしたっていうん?

あんたに注意したんは,前に座っとったおっちゃんやろ?

なんで,うちが殴られんとイケンの?

周りにもほかに人おったやろ!! なんで,うちなん?
(まっ,最後の最後に我慢しきれんで,「うるせーんじゃ,ババァ」って言ったうちも悪いんじゃけどねー)

はぁ〜,まったく東京っちゅうとこは,おそろしいとこじゃ.絶対住まんもんねー.


と決意してから,5年.(と)は東京都民になってしまいました.

人生わからんもんじゃね.


みなさんも,山手のどつきババァには気をつけましょう.


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