ある春の日
(と)は福山駅のホームにおりました.買い物の帰りだったでしょうか.ただ,ぼぉ〜っとホームにたたずんでおりました.
そこに,ひとりの男性がやって来ました.一枚の紙切れをもって・・・・
わたしははなすこともきくこともできません。 福岡にいる母がきとくですが、お金がありません。 博多までの電車賃1万○○○円かしてください。 かならずかえします。 |
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そして,身ぶり手ぶりで一生懸命(と)にお金を頼むのでした.(と)はそっと財布をのぞき,1万円しか入ってないことを知ります.そして,こう言いました.
今うち1万しか持ってないから,5000円しか貸してあげれん・・・
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と,その後の彼の喜びようといったら・・・・涙を流さんばかりに喜んで,筆談で「住所を書いてください,お金を送ります」とか言って,5000円あげたら,むちゃくちゃ嬉しそううに去っていきました.
あれ?あのひと,耳が不自由じゃなかったっけ?
なんで,うちの言ったことわかったん? |
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とは,思ったものの,まっ,あれが嘘であれほんとであれ,あのひとが喜んでくれたことだけは事実やな,と自分に言い聞かせ電車に乗り込んだのでした.もちろん,その後お金は返ってこんかったけどね.そんな大金,あげるほうも,あげるほうだし・・・