EDS Fair 2001 現地レポート
(8) Virtual Silicon社のPLL合成ツールを日立の半導体部門とSTARCが採用
米国Virtual Silicon Technology社
は,同社のPLL合成ツール「eSi-PLL」を
日立製作所の半導体部門
と,産官学協同の研究組織である
STARC(半導体理工学研究センター)
が導入したことを発表した.
eSi-PLLで生成できるPLLの入力周波数レンジは24MHz〜200MHz,出力周波数レンジは50MHz〜1GHz,デューティ比は33%,50%,66%,最大のロング・ターム・ジッタは1%未満または100ps.このPLLモジュールは二つのI/Oパッド・スロットに配置される.また,外付けのバンドギャップ回路は不要である.専用のテスト回路が組み込まれており,ロジック・テスタを使ってPLLの各機能をテストできるようになっている.現在,ユーザが指定した仕様に合わせてPLLを自動合成するツールを提供しているEDAベンダやIPベンダは,Virtual Silicon社しかないという(仕様が固定されたPLLコアを出荷しているIPベンダは存在する).
日立製作所は0.18μmルールのCMOSプロセスで製造する半導体の開発にeSi-PLLを利用する.たとえば,日立製作所のASICユーザもeSi-PLLを利用できる.なお,日立製作所が使用するeSi-PLLは同社専用にカスタマイズされており,周波数レンジなどが上述の仕様と異なるという.
一方,STARCは,0.13μmルールのシステムLSI設計の研究・評価用にVirtual Silicon社のPLL製品およびその他のライブラリ製品を導入した.同社の製品のIPコアとしての使い勝手をSTARCが評価し,その結果をSTARCに出資する半導体メーカなどに公開するもよう.IPコアの評価には人手や手間がかかる.各半導体メーカがそれぞれ個別に評価するのは効率が悪い.そこで,STARCがまとめて評価し,各社にレポートするという.契約では,STARCに出資する富士通,日立製作所,松下電器産業,NEC,沖電気工業,ローム,三洋電機,シャープ,東芝などがeSi-PLLを評価用に利用できる.商用で利用するためには,Virtual Silicon社と半導体メーカ各社が個別にライセンス契約を結ぶ必要がある.
eSi-PLLの価格は25万ドルから.国内での販売は
ソリトンシステムズ
が担当する.
Virtual Silicon Technology社Vice President,
Pacific Rim Business DevelopmentのMahesh Tirupattur氏
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