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表紙

コンピュータサウンドの世界
―― 楽しく学ぶ<音楽>と<エレクトロニクス> ――


イントロダクション

 本書は「サウンド」を題材にしながら,エレクトロニクス技術のポイントを,専門用語をできるだけ使わずに解説しています。目に見えない「電気」と「音」の姿が具体的にイメージできるように工夫されていますから,サウンドエレクトロニクスからコンピュータミュージックまでの広範な世界を楽しみつつ学んでいきましょう。
 読者対象としては「文系」の,専門的な予備知識のない方々を想定しています。もちろん,機械系や化学系など,比較的エレクトロニクスに縁の薄い理系の方々にとっても,最終的には「電子工学のセンス」を得ることができる,という意味で役立つことでしょう。スタートラインとしては,中学校の理科で学んだ「オームの法則」(加減乗除)程度で十分です。

 本書は以下のような構成で,いろいろな基本的要素技術を少しずつ紹介・検討していきます.「積み上げ」方式で、次第に高度な話題になっていきますので,いきなり最後に行かずに,最初の章から順に進んでください。

◎第1章=サウンドエレクトロニクスの基礎は,サウンドエレクトロニクスを構成する要素技術について,わかりやすく整理することからスタートします。「アンプ」「オシレータ」などの基本用語を,サウンドエレクトロニクスの視点から理解しましょう。

◎第2章=エフェクタ(特殊効果)では、カラオケやバンドの音楽などで身近に接している「サウンド効果」について、エレクトロニクス的に原理から解明していきます。この用語をマスターすれば、テレビや映画で接するサウンドもひと味ちがって新鮮に聞こえてくるでしょう。

◎第3章=サウンド記録とサンプリングでは、まず「アナログ記録」から「ディジタル記録」へ、というサウンド録音の歴史をふりかえり、現代のサウンドエレクトロニクスの基本である「ディジタルサウンド」の本質に迫ります。ここでは同時に、アナログとディジタルの理屈も納得できるようになるでしょう。また、MP3など、なにかと話題になっているサウンドファイルの仕組みにメスを入れます。

◎第4章=MIDIと電子楽器では、シンセサイザ、電子楽器、という、まさにサウンドエレクトロニクスの「業界」の技術を全般的に網羅し、さらにインターネット上などでよく見かけるようになった、「MIDI規格、GM音源、SMF形式」などの概念を整理します。

◎第5章=コンピュータミュージックでは、パソコンの普及とともに一般的になったデスクトップミュージック(DTM)をはじめとして、さまざまなコンピュータミュージックを紹介していきます。

◎第6章=センサとメディア・アートでは、ちょっとハイレベルになりますがサウンドエレクトロニクスのシステムと人間との接点を検討・紹介します。多くのセンサ技術をはじめ、人間とコンピュータが「対話」するインタラクティブ・アートについても研究します。サウンドエレクトロニクスの先端領域では、人間とのヒューマンインターフェースを重視している、という事実に注目したいと思います。

 各章の末尾には、実験しながら体験的に理解できることをねらって、簡単な「電子工作」のコラムも用意しました。興味のあるテーマではこれらの電子工作に挑戦してみることをお勧めします。さらに巻末には、新種のパフォーマンス楽器をいくつも生み出した筆者の「電子工作ワークベンチ」を写真で紹介しています。自宅の机を電子工作デスクに変身させる一例として参考にしていただければ幸いです。

1999年 春


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