第4章 インターネットへの接続

 BackOffice SBSのネットワークでインターネットに接続するには3種類の方法があります.ここでは,その3種類の方法による接続方法を解説します.3種類の方法の概要については,1.3.1も参照してください.

4.1 DREAM★SBSへの接続

4.1.1 DREAM★SBSは最も簡単

 BackOffice SBSによるインターネット接続方法の中で,DREAM★SBSのようなBackOffice SBS専用プロバイダーを使用する方法は最も簡単で確実です.プロバイダーとの契約さえ済ませれば,設定らしい設定はほとんど必要ありません.すべて自動的に設定を行うことができます.

 また,モデムやTAを使用したダイヤルアップ接続なので,ルーターを導入したり,回線工事をしたりする必要もありません.それでいて,専用線接続なみの環境…独自ドメイン名の使用やExchange Serverを活用した電子メール送受信も可能です.

 しかし,ホームページを公開したい場合,ほとんど1日中回線を使いっぱなしのような状態になるのであれば考察の余地があります.

 DREAM★SBSでホームページを開設する場合には以下のような欠点があります.

●ドメイン名の問題

 DREAM★SBSではドリームネットの標準サーバーサービスとドリームサーバーサービスの2つの方法でホームページを公開することができますが,ドリームネットでホームページを公開する場合には独自ドメイン名を使用できません.一般的な個人向けプロバイダーと同様に,http://www.provider.ne.jp/~myweb/ というスタイルのドメイン名になってしまいます.ドリームサーバーサービスを利用してホームページを公開すれば独自ドメイン名を使用できますが,この場合は初期費用30,000円,月額98,000円というSOHO規模には高額な費用がかかります.

 なお,ドリームサーバーサービスを使用しなくても,電子メールに関しては独自ドメイン名を使用できます.

●容量の問題

 ドリームネットの標準サービスでは4MBの容量までのホームページは無料で開設できますが,4MBを超える場合は月額200円の追加費用がかかります.ホームページの作り方によって非常に容量を必要とする場合もありますので,計画的に利用する必要があります.

●ホームページ管理の問題

 BackOffice SBSのIISでホームページを運用する場合には,Microsoft FrontPage 98 Server Extensions機能によって,Microsoft FrontPage 98を使用して簡単にホームページの運用管理を行うことができます.しかし,ドリームネットやドリームサーバーサービスはMicrosoft FrontPage 98 Server Extensionsに対応していませんので,一般的なプロバイダーと同様,慎重にファイルを構成してFTP転送を行う必要があります.

●接続費用の問題

 DREAM★SBSは月額20,000円の固定料金でアクセスできますが,ダイヤルアップ接続である以上アクセスポイントまでの電話料金が別途かかります.OCNエコノミーは月額38,000円ですので,アクセスポイントまでの電話料金を差額の18,000円で3分10円として考えると90時間分となります.つまり週休2日として1日4〜5時間分の通話料金です.また,電話回線を使用するわけですから,アクセス中は電話やFAXの使用が制限されます.こうした点も考慮する必要があるでしょう.

 以上のような点でOCNエコノミーと比較した場合,

◆ 大容量のホームページやIISの機能をフルに活用したホームページを作成する

◆ トータルで1日数時間以上インターネットに接続している
◆ ホームページにも独自のドメイン名を使用したい

 という希望があれば,OCNエコノミーを導入したほうが向いていると言えます.逆に,インターネットへの接続が1日4時間以内である場合,独自ドメイン名のホームページにこだわっていない場合などには,DREAM★SBSの方が通信費を少なくできるので向いていると言えます.

4.1.2 ドメイン名の取得

 DREAM★SBSでは多くの専用線接続と同様に独自ドメイン名を使用できます.ドメイン名の取得手続き自体はDREAM★SBSで代行してくれるのですが,その前にドメイン名を決めておく必要があります.もちろん,すでに取得しているドメイン名をそのまま使用する場合には,その旨を申込書に記入すれば既存のドメイン名をDREAM★SBSで使用することができます.

 ドメイン名を検討するにはJPNICのホームページ http://www.nic.ad.jp/ を使用してください.まず,ドメイン名の命名規則について確認し,つぎに,取得したいドメイン名が既に使用されていないかどうか検索サービスで確認します.

4.1.3 DREAM★SBSへの申し込み

 DREAM★SBSのようなBackOffice SBS専用プロバイダーへの接続は,BackOffice SBSが本来想定している接続方法で,最も簡単な方法です.BackOffice SBSのウィザードによって簡単にオンラインサインアップ(53)で契約申し込みを行うことができます.サインアップではモデムを使用しますので,モデムが正常に設定されていることが必要です.

 「サーバーの管理」の「その他のタスク」ページを開いてください.

 「インターネットアクセスの管理」をクリックし,「インターネットサービスプロバイダーっでのサインアップ」をクリックします.「インターネット接続ウィザード」が起動し,ウィザードの指示に従って所在地の市外局番を入力します.すると,ウィザードは近くにアクセスポイントがあるBackOffice SBS対応のプロバイダを検出します.

 「詳細」をクリックして,プロバイダーのサービス内容や料金,契約内容を確認してください.このプロバイダーで契約する場合は,「詳細」説明中の「申し込み」をクリックするか,いちど「戻る」でプロバイダ一覧に戻ってから「サインアップ」をクリックします.

 ウィザードは再び自動的にアクセスして,契約手続きを開始します.契約画面が表示されたら,必要事項を漏れなく入力してください.

 すべての必要事項を入力したら「申し込み」ボタンをクリックします.すると,後日,必要書類と定義データINSファイルが記録されたフロッピーディスクが送付されます.

4.1.4 DREAM★SBS接続のセットアップ

 DREAM★SBSからINSファイルが届いたら,DREAM★SBSへ接続するためのセットアップを行います.セットアップは非常に簡単で,フロッピーディスクをドライブにセットし,INSファイルをダブルクリックしてセットアップするだけです.

 セットアップが終了したら,BackOffice SBSを再起動してください.再起動後,インターネットに接続できるようになります.

4.1.5 DREAM★SBSの詳細

 BackOffice SBSをサーバーとしたMicrosoft Networkで外部のIPアドレスへの接続要求が発生すると,BackOffice SBSは自動的にDREAM★SBSにダイヤルアップ接続します.このとき,未送信メール,未受信メールがあればメールの送受信も行います.また,外部への接続要求が無くても,定期的に54DREAM★SBSにダイヤルアップ接続し,メールの送受信を行います.外部からのメールは一時DREAM★SBSに蓄積され,BackOffice SBSが接続したときにDREAM★SBSからBackOffice SBSのExchange Serverに転送されます.インターネットメールの送受信はすべてBackOffice SBSのExchange Serverを介して行われますので,個人向けプロバイダーを利用してダイヤルアップ接続するときのようにSMTP/POP3メールソフトをセットアップする必要はありません.Exchange ClientまたはOutlook97で,LAN内で電子メールを使用するときと区別無くインターネットメールを使用できます.

 もしOutlook ExpressなどのSMTP/POP3を使用するメールソフトを使用したいならば,BackOffice SBSのExchange ServerのPOP3クライアント対応機能を有効にし,クライアントのメールソフトからSMTP/POP3でExchange Serverに接続するようにします.

 また,DREAM★SBSへの接続はProxy Serverを介して行われます.そのため,各クライアントには「サーバーの管理」の「コンピューターの管理」によってProxy Clinetなどのクライアントアプリケーションェアがセットアップされていないと,正常にインターネットにアクセスすることができません.

 DREAM★SBSに接続するセットアップは単にINSファイルを開くだけですべて自動的に行われますが,以下に,INSファイルによるセットアップによって,BackOffice SBSにどのような設定が行われるかを紹介します.大きく,以下の3つのポイントがあります.

◆ コントロールパネルのTCP/IPの設定
◆ マイコンピューターのダイヤルアップ接続の設定
◆ Microsoft Exchange管理ツールによるExchange Serverの設定

 なお,以下の画面で使用されているIPアドレスやドメイン名は参考例で現実のものではありません.実際には地域や契約内容によってことなります.

 コントロールパネルで「TCP/IPプロトコル」のプロパティを開くと,インターネットドメイン名が設定されています.DNSサーバーはDREAM★SBSのものを使用するのでホスト名は任意です.初期設定ではMicrosoft Networkのコンピュータ名がそのままホスト名として使用されます.

 マイコンピューターの「ダイヤルアップネットワーク」を開いてみると,DREAM★SBSに接続するためのダイヤルアップ設定が行われています.内容は基本的に一般的な個人向けプロバイダーの場合と変わりません.

 スタートメニューから「Microsoft Exchange管理ツール」を起動してみると,BackOffice SBSのExchange ServerがDREAM★SBSの中継メールサーバーとメールの交換を行うためのさまざまな設定が行われています.これによって,まるでLANで使用しているように簡単にOutlook97やExchange Clientで外部とメールの送受信ができるようになっています.

 「ダイヤルアップ接続」ページでは,どのダイヤルアップ接続を使用するかの選択,定期的に未受信メール,未送信メールを送受信するための間隔の設定が行われています.

 「ダイヤルアップ接続」ページの「メールの取得」ボタンをクリックすると,ここではETRNコマンド(55)を使用してDREAM★SBSのメールサーバーとメールを交換するための設定がされています.

 「ログオン情報」ボタンをクリックすると,DREAM★SBSのメールサーバーに接続するためのユーザー名やパスワードの設定が行われています.

 「接続」ページでは,BackOffice SBSからメールを転送するDREAM★SBSのメールサーバーの宛て先や,宛て先のメールアドレスが見つからなかった場合の再送信の間隔などが設定されています.再送信の間隔は設定変更可能です.

 「アドレススペース」ページではSMTP(インターネットにおけるメール転送プロトコル)でメールを送信する宛て先IPアドレスが設定されています.「*」はすべてのアドレスに送信できることを示しています.「*」を削除して「作成(インターネット)」ボタンで特定のIPアドレスをしていると,その宛て先以外には送信できなくなります.

4.2 OCNへの接続

4.2.1 NTT OCNエコノミーの概要

 従来,専用線接続といえば月額少なくとも数十万円のアクセス料金がかかる非常に高価なものでした.とてもSOHOレベルで手が出せるものではありません.しかし,NTTのOCNエコノミーの登場によって状況は大きく変わりました.

 一般的な専用回線の契約には帯域保証が含まれます.帯域保証とは回線を流れるデータの容量を常に確保することです.たとえば,128Kbpsの回線であれば,どんなときでも128Kbpsの速度が常に保証されます.これに対して,OCNでは1本の回線を複数のユーザーで共有することによりアクセス料金を画期的に低価格化していますが,帯域保証はありません.OCNエコノミーの場合,通常1本の回線について数ユーザー〜10ユーザー程度が割り当てられるようですが,その1本の回線を共有するユーザーがいっせいにデータ転送を行った場合,通信速度が極端に低下する可能性があります.しかし,それでもなお,OCNエコノミーの圧倒的なコストパフォーマンスは魅力的といえるでしょう.

 なお,OCNエコノミーにはOCNスタンダードやOCNエンタープライズのようなネットニュースの配信サービスはありません.ネットニュースに関してはOCNのニュースサーバーを利用することになります.

 筆者の事務所でもOCNエコミーを利用していますが,おおむね,1ヵ月に一度程度の頻度で,上記のような通信速度が低下する現象が発生します.しかし,最悪の場合でも28800bpsモデム程度の速度は確保できましたし,通常は十分に高速ですので,OCNエコノミーに満足しています.


<以下省略.文章,図版は出版されているものといくぶん異なります.
Copyright 1998 Okazaki Toshihiko>


「SBSによるSOHOサーバー構築法」のページに戻る