第7章 クライアントの活用

 この章では,BackOffice SBSによるMicrosoft Networkで,クライアントを活用するために役立つ情報を紹介します.

7.1 クライアントのOS

7.1.1 Windows NT WorkstationとWindows 98

 BackOffice SBSのクライアントのOSとしてはWindows 98,Windows NT Workstationを使用できます(88).クライアントOSとして使用できるWindows 98とWindows NT Workstation 4.0には以下のような特徴の違いがあります.

  Windows 98 Windows NT Workstation
ユーザー管理 ×
セキュリティー機能 ×
ファイルシステム FAT16,FAT32 FAT,NTFS
マルチCPU対応 ×
ノートパソコンへの対応
MS-DOSとの互換性
ユーザーサポート 無償サポート期間あり 有償サポートのみ

 こうした特徴の違いは,ひとえにWindows 98はホビーユーザー向け,Windows NT Workstationはビジネスユーザー向けというようとの違いから来ています.

 なお,Windows NT 4.0はFAT32ファイルシステムに対応していません.1台のコンピューターにWindows 98とWindows NTをセットアップしてデュアルブート環境を構築する場合は,CドライブをFAT32ファイルシステムでフォーマットしないでください.Cドライブは必ずFAT16にする必要があります.

7.1.2 BackOffice SBSクライアントに最適なOS

 では,BackOffice SBSのクライアントとしてどちらが適しているのでしょうか? それはいうまでもなくWindows NT Workstationです.ビジネスで使用する場合,ファイルの破損やデータの盗難といったトラブルは許されません.しかし,Windows 98で採用されているFAT16/FAT32ファイルシステムは十分な堅牢性を持っておらず,容易にファイルが破損するトラブルが発生します.Windows 98では異常終了した後にシステムを起動すると自動的にスキャンディスクによるディスク検査が行われますが,これはそれだけFATファイルシステムの信頼性が低いことを意味しているといえるでしょう.またWindows 98自身,Windows NTに比較すると不安定で高い頻度でハングアップします.

 Windows 98にはユーザー管理機能もセキュリティーファイルシステムもありません.Windows NTではユーザー名とパスワードを入力しなければシステムを利用できませんし,フロッピーディスクからMS-DOSなどを起動してもハードディスクにアクセスすることはできません.非常に信頼性の高いシステムといえます.それに対してWindows 98ではたとえログオンパスワードを設定しておいてもEscキーを押すだけでパスワード認証をスキップできますし,フロッピーディスクで起動すればフリーパスでハードディスクにアクセスできます.Windows 98のパスワード機能は以下の2つです.

◆ Microsoft Networkへのログオンユーザー名を保存しておきます
◆ ユーザーごとにデスクトップの設定を切りかえる設定を使用しているときに,ユーザーを判別します

 これだけのものであり機密保持の機能は全くありません.Windows 98の方が安価であるのは確かですが,ビジネスで利用するのであればぜひWindows NT Workstationを導入すべきです.

 なお,Windows NTを使用していてもファイルシステムにFATファイルシステムを使用すると信頼性も低くなりますし,セキュリティーが維持されません.Windows NTを使用する場合はハードディスクをNTFSでフォーマットして使用するべきです.

7.1.3 Windows NTを使用する際の注意

 BackOffice SBSでもWindows NTでも,ユーザー名とパスワードを決して忘れないようにしてください.特に管理権限を持つユーザー(初期設定ではAdministrator)のパスワードは重要です.万が一,管理者のユーザー名やパスワードを失念したときに復旧する手段は全くありません.Windows NT系OSは政府機関や銀行でさえ使用されている信頼性の高いシステムです.失念したパスワードを修復できるようであれば高いセキュリティー機能を持っているとは言えないのです.

 管理者パスワードを失念した場合は,ハードディスクをフォーマットして再セットアップするしか選択肢はないと思ってください.システム情報ディスクがない状態での再セットアップも同様です.システム情報ディスクがないとユーザーアカウントを復元できませんので再セットアップしてもアクセス権が設定されたフォルダやファイルにアクセスすることはできなくなります.

 なお,再セットアップを行うとすべてのアカウント情報は新規に作成されます.たとえば,ユーザーtoshihikoだけにアクセス権が設定されているファイルやフォルダがあったとします.ここでOSであるBackOffice SBSやWindows NTを再セットアップして同じユーザー名toshihikoのアカウントを作成しても,以前のファイルやフォルダにはアクセスできません.アカウント=ユーザー名ではないことに注意してください.ユーザー名はアカウントの1つの属性に過ぎません.たとえば,ある銀行のある支店に岡崎俊彦名義の口座があったとします.この口座を解約してからもう一度同じ岡崎俊彦名義で口座を開設しても,以前と同じ口座番号ではありませんし以前の口座の情報はひきつがれません.これと似ています(90).

7.2 FAXとモデムの活用

7.2.1 共有FAXモデムのセットアップ

 クライアントからBackOffice SBSの共有FAXモデムや共有モデムを使用することができます.

 


<以下省略.文章,図版は出版されているものといくぶん異なります.
Copyright 1998 Okazaki Toshihiko>


「SBSによるSOHOサーバー構築法」のページに戻る