はんだ付け入門

吉田 幸作


 読者の中には,はんだ付けは初めてという方もいらっしゃると思います.付属基板では,自分ではんだ付けする必要があることから,はんだ付けの出来不出来が完成基板の信頼性を左右します.そこではんだ付けの勘所をお話ししましょう.


●はんだごてとはんだの選択

 はんだごては13W 〜 15W 程度の先の細いものを用意します.こて先は2mm 〜 3mm のものを選びます.30W,60W の大きなはんだごてでは,温度が上がり過ぎてうまく付けられないだけでなく,小さな部品を熱で破壊することもあります.

 はんだは径1mm 前後の糸はんだを用意します.糸はんだは図Aに示すようにはんだを糸状に加工して中心部にロジン(松ヤニ)を入れ込んだ構造になっています.はんだは鉛とスズの合金ですが,筆者はスズ60 %のものを使っています.鉛フリーのはんだもありますが,高価でより高度な温度管理を必要とします.初めての方は鉛はんだの使用をお勧めします.

[図A] 糸はんだの構造


●はんだ付けの呼吸

 図Bははんだ付けの手順を図示したものです.まず,図B(a)のようにはんだ付けする基板と部品を予熱します.熱容量の小さな部品の場合は必要ありません.次に糸はんだを当てて溶かします〔図B(b)〕.

 最初,図B(c)のように玉状になっていたはんだは,1,2秒で図B(d)のように部品と基板パターンにしみ込み始めます.ここではんだごてを引くのがコツです.

 この呼吸が大事です.早くこてを引きすぎると,はんだは玉状になったままになります.これは「イモはんだ」と呼ばれ,はんだ付け不良の代表です.

[図B] はんだ付けの手順


●上手なはんだ付けのコツ

 ロジンははんだを還元して粘性を少なくする働きをします.こてに付いたはんだは時間がたつと酸化して,ぱさぱさした感じになります.上手なはんだ付けのコツは,粘性の少ない溶けたてのはんだを使って手早く行うことです.

 古くなったはんだは濡れたスポンジか雑巾でぬぐい取ります.もったいないような気もしますが,酸化してぱさぱさになったはんだは捨て去り,溶けたての新鮮なはんだで素早く…というのが上手なはんだ付けのコツです.



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