キラリと光るエンジニア人生の歩み方(1) 社会人としての大切な四つの考え方
インターフェースZERO技術を学ぶ ・教えるブログ 2012年2月23日
2.自責と他責
自責とは「問題の原因を自分側に求めること」,他責とは「問題の原因を他人(自分以外)に求めること」です.これは物理的な問題の所在ではなく,解決にあたる時の心構えとして考えてください.問題の解決には原因に対して対策を施す必要があります.
他責の場合,原因は他人にあるので,他人が変わらないかぎり,他人を変えないかぎり問題は解決しません.つまり,ある問題に対して他責という言葉を使った瞬間に,その問題は「自分では解決できない」と言ったことになります.仕事とは問題を解決することなので,それは「私にはこの仕事はできません」宣言でもあるのです.
例えば学生時代,「教科書が悪いから」とか「先生の教え方が悪いから」といった発言はしなかったでしょうか.それを真実とした場合,先生や教科書が変わらないかぎり問題(成績が上がらないなど)は解決しないことになります.
仕事でも,先に挙げた例の「仕様が不明確」などは一見不可抗力のように思えます.だからといって,上流部門や顧客のせいにしておいて問題は解決するでしょうか.どういうところが不明確なのか,あるいは明確にできるように自分はどのような提案を行うべき(だった)か,という発想が大切です.これが問題に対する自責という考え方です.
3.試験型人間からの脱却
以前どこかで試験型人間の条件というのを見たことがあります.それは,
- 必ず一つの答えがある問題に慣れている
- 簡単な問題から解くと点数がよい
- 科書通りの答えを書かないと×になる(と思っている)
というものです.
いくらかの業務経験を経れば,仕事の現場ではこれらはすべて逆であることがわかります.
問題に対して答えが一つしかない場合はむしろまれです.とりあえず解決策を思いついても,他にはないのかを考えることが大切です.
「簡単な問題から解くと...」は完全に逆で,仕事ではむしろ難しい点,ネックとなる技術を最初に洗い出して対策することが重要です.納期直前に簡単なドキュメントが一つ残っているのと,複雑なモジュールが残っているのと,どちらが良いでしょう.答えは言うまでもありませんね.
また,「教科書通りの答え」というのはナンセンスです.そもそも仕事においては,教科書なんてものが存在しません(個別技術の法則についてはありますが).たとえ似た事例があったとしても,それよりもさらに優れた方法を考えてみせる!というのが技術者たる者の心意気でしょう.
4.目的目標を明確に
平たく言えば,あなたは何がしたいのですか?どんな人になりたいのですか?ということです.図3は一生をシンプルに線表にしたものです.小学校からのあの長かった学生生活も一生の中では20%ほどにすぎません.
若いみなさんが定年を迎えるころには,定年が70歳まで伸びていることもあり得ます.そう考えると,この図にあるように「仕事人間」としての生活はおよそ50年間,半世紀にも及ぶのです.学生生活の3倍以上です.この長丁場を,冒頭にも述べたように与えられた仕事をこなすことで過ごして,ハッピーでしょうか.壮大なことでなくてもかまいません.やりたいこと,なりたい姿を具体的にイメージしてください(2).
図3 人生のスケジュールと立てよう
目的や目標ができたら,それを実現するためには計画が必要です.計画を伴わない希望は単なる夢にすぎません.計画を立て,着実に実行することで,希望は「志(こころざし)」となります.
実際には,計画を立ててもなかなかそのとおりいかないことは夏休みの宿題等で経験済みのことと思います.しかし,目的・目標が明確であれば,そしてそれに対する計画があれば,ずれを認識することができます.ずれていれば修正をかけていけばよいのです(図4).
図4 「なりたい自分」に向けた計画が重要
これは日々の開発業務でも同じです.最終目標,つまりどんなものを作るのかを明確にイメージせずして,開発計画は立案できません.いきあたりばったりの開発では,決して良い製品は作れないのです(図5).
図5 開発目標に向けた計画が重要
(2)自己年表については,チェンジビジョン 代表取締役平鍋健児氏の作成された優れたツールがある.また目標設定には同氏の作成された自分2.0ツールも役立つ.これらは組み込みネットからダウロード可能.
参考・引用*文献
・チェンジビジョン,平鍋健児氏;自分2.0 ~自身の過去・現在から未来を考える~
たち・のぶゆき
組み込みソフトウェア・エンジニア
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