PC上でプログラムを組むとき,ファイルアクセスはいとも簡単に実現できる.プログラミング言語にすでにそのための関数や機能が用意されているからだ.
しかし組み込み機器ではそうはいかない.さまざまなCPUやプラットホームが存在し,標準アーキテクチャが存在しないからだ. しかし組み込み機器であっても,ディジタルスチルカメラやMP3プレーヤなどには,記録媒体としてコンパクトフラッシュやスマートメディアなどの記録媒体を使い,PCなどと画像や音楽データをやり取りできる機能を要求される.この場合,お互いに対応ファイルフォーマットが一致していないと情報の交換はできない.組み込み機器にファイルシステムを搭載する要求は,今後ますます増えるだろう.
現在,メモリカードなどで一般的に使われているフォーマットとしては,FAT系フォーマットが多い.また,CD-ROMではISO9660というフォーマットが基本となっている.この特集の前半では,組み込み機器で使われるであろうFATファイルフォーマットとISO9660フォーマットについて詳しく解説する.また後半では,本誌1998年9月号の特集「移植性を重視したファイルシステムの作成法」で開発したFFSの移植方法についての解説や,市販のファイルシステムの使用例など,組み込み機器にファイルシステムを実現するための事例を解説する.(特集とびらから)
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